合体、白き翼の戦士
ドゥン!
防ぎきれない衝撃波がリベルタを揺らし、兎歌は小さく息を飲む。
「うぅ、強いよぉ……でも、負けないんだから!」
動きの止まったリベルタへ、さらなる追撃が迫る!
ドゥン、ドゥン、ドウ───ッ!
ファランクスたちは一斉に荷電粒子砲を発射。
だが、即座にリベルタもE粒子キャノンを放ち、砲撃をかき消した!
ドゴォオン!
爆炎が戦場を覆う。
だが、その中で兎歌は歯を食いしばり、リベルタを急降下させた。
「負けないんだから!」
ギュォオオオ───ッ!!
リベルタが爆炎を突き抜け、両脚の鉤爪で2機のファランクスの頭部を掴む。
そのまま脚に搭載されたレールガンが唸りを上げ───ズドォオン!
2機の頭部が同時に爆発。黒煙が立ち上る。
残る胴体がよろめく。だが、別の機体が即座に荷電粒子砲で反撃!
「甘いよ!」
リベルタは咄嗟に粒子防壁を展開し、青白い輝きで砲撃を防ぐ。
だが、激震が機体を揺らし、兎歌の豊かな胸がコックピット内で揺れる。
「はぁ……! はぁ……!」
肩で息をしながら、兎歌は隙を突いて両足のレールガンを乱射!
ドガガガガ!
超音速の弾丸がファランクス一機の粒子タンクを直撃し───ドゴォオン!
そのまま爆発四散!
爆発が砂漠を揺らし、ようやく一機が倒れる。
兎歌は額の汗を拭い、叫んだ。
「烈火が任せてくれたの。だから、絶対負けない!!」
だが、ファランクスの非人間的な連携は依然として脅威だ。
残る3機がシールドと粒子砲を交互に展開し、リベルタを圧迫。
兎歌は操縦桿を握り締め、桜色の髪を揺らしながら戦い続ける。
~~~
さて、視点は烈火へと戻る。
ブレイズとソラリスは、激しい剣戟を繰り広げていた。
黄色いブレードと、青白いブレードが交錯し、火花が砂漠に散る。
その時、ソラリスの背中のリングが再び輝きだした。
拡散式粒子砲の不気味なチャージ音が戦場に響く。
「ク───ッ」
烈火の胸に葛藤が渦巻く。
あの時、一瞬だけ感じた、リエンの幼い顔。
コックピットを避ける余裕はない。
戦争だ。生き残るためなら手段は選べない。
だが、子供を殺したくない。
だが、敵だ。
だが、殺さなければ殺される。
だが、あの日の再現を、殺す側でやりたくない。
だが、だが、だが───
「イヤだ……!」
と、烈火の視線が一瞬、リベルタに向けられた。
視線の先では、兎歌がファランクスを相手に奮戦する姿
烈火は一瞬の逡巡の後、通信を開き、叫んだ。
『兎歌、アレをやるぞ!』
兎歌の声が一瞬、戸惑う。
『アレ?』
『合体だ!』
『……わかった!!』
「……!」
リエンは動きの変化を捉え、危険を察知した。
ソラリスのコックピットで、少女の無感情な声が響く。
「敵、連携行動。阻止」
『ふふ、リエン、遊ぶ時間は終わりよ。一掃しなさい』
セラピナの冷笑が通信に流れた。
リエンは頷く。
ソラリスは拡散式粒子砲をチャージし、ファランクス三機が一斉に荷電粒子砲を構える。
『───攻撃』
キュオオーン……ドゥン!
粒子砲の嵐がブレイズとリベルタを襲う!
無数の光が砂漠を覆い、爆炎が戦場を包む。
プラズマリアクター直結の拡散式粒子砲。
大型粒子タンク直結の荷電粒子砲。
どちらも、ノヴァの科学力に支えられた、圧倒的な兵器である。
だが───
───煙が晴れたとき、そこにいたのは無傷のブレイズだった。
時間を少しだけ巻き戻そう。
数秒前、リベルタはブレイズへと飛翔し、その背後に浮かんでいた。
同時に、ブレイズのバックパックが展開し、ジョイントが露出。
リベルタは白い鳥のシルエットを畳み、巨大なバックパックとしてブレイズの背中に合体。
『システムグリーン! 合体イクよ!』
『おう!』
おお、見よ! 赤と白の装甲が融合し、プラズマリアクターの鼓動が共鳴した、新たなる戦士の姿!
ブレイズはその翼を広げ、悠然と佇む。
粒子防壁が青白い輝きを放ち、敵の砲撃を完璧にガードしていた。
コォオオ───
合体したブレイズは、まるで地獄の業火のような熱気を纏い、ゆっくりと頭を上げる。
そして、烈火は咆哮する。
「これが俺たちの力だ! アイツらをぶっ潰すぞ!」
『うん……! 一緒にやっちゃおう!』
兎歌も呼応するように叫んだ。
「……?」
ソラリスのコックピットでは、リエンが無感情にブレイズを捉える。
間違いなく直撃したはずだが、無傷。
その事実に、セラピナの声が苛立ちを帯びる。
『何よアレ!? リエン、叩き潰しなさい!』
「了解……」
ソラリスはE粒子ライフルを構え、その銃口をブレイズへと向ける。
同時に、ファランクス三機も再び粒子砲を構え、ブレイズを包囲する。
烈火は操縦桿を握り締め、ニヤリと笑った。
「来やがれ! 全部弾き返してやる!」
合体したブレイズは、滑るように飛び、一直線に間合いを詰める!
だが、頭部を粉砕されたファランクスが、まるで亡魂のように起き上がってくる。
ググググ……。
生物ではない機械ゆえ、頭が木っ端微塵になっても平然と動き、荷電粒子砲を構えるのだ。
残る3機も一斉に砲撃を放ち、青白い奔流がブレイズを襲う。
ドゴォン、ドゴォン!
だが、合体したブレイズの動きは───圧倒的に速い!
リパルサーリフトが唸り、空中を滑るように砲撃を回避。
烈火の巧みな操縦が機体を舞わせ、兎歌は合わせるように引き金を引いた。
ドゥ───ッ!
リベルタのレールガンがファランクスの1機に直撃。
リアクターが爆発し、ファランクスは黒煙を上げて崩れ落ちた。
そして、砲撃の反動を利用し、ブレイズは再び宙を舞う。
右腕のバルカンが火を噴き、粒子弾がもう1機のファランクスを撃破。
爆炎が砂漠を揺らし、巨体は砂漠の砂となった。
残る1機がシールドを構えるが、ブレイズの速度に追いつけない。
機体出力、そしてパイロットの実力が違うのだ!
兎歌の声が通信に響く。
『コクレアシステム正常! 覚醒リミットも外したよ!』
その声に、烈火はニヤリと笑った。
『おうよ! ぶっ飛ばしてやるぜ!』
グオオオオン!
ブレイズは赤黒いオーラを纏い、機械の眼で獲物を見据える。
コクレアシステムが2機のプラズマリアクターの粒子を循環させ、圧倒的な力を引き出しているのだ。
同時に、アニムスキャナ―のリミットが外され、覚醒が可能となる。
赤黒い輝きはまるで悪魔のようで。
「すげぇパワーだな、コレ……!」
烈火の脳裏に、以前のやり取りがよみがえる。
それは、新たな力を受け取った記憶───
〜〜〜
記憶の中で、烈火はメカニックの菊花・メックロードから説明を受けていた。
彼女はやや不機嫌そうに、説明を始めた。
「ええか。覚醒は確かに強力や。スキャナーの限界を超え、人間の反応速度の限界を超えられる。ただし───
その反動はデカい。次に発動すれば、今度こそ脳が壊れるで」
「───あぁ」
神妙な顔で烈火はうなずいた。烈火としても、死にたいわけではない。だが、戦い抜くには、覚醒しないわけにもいかない。
そんな内心を察したのか、菊花は続ける。
「だからな。覚醒中の負担を分割するように改良した。半分はリベルタ側に流れるんや」
菊花の指が、机の絵の上を滑る。
デフォルメされた「ぶれいずくん」と「りべるたちゃん」が、二股のケーブルに繋がっている絵だ。
「開放スイッチはリベルタ側に置いといた。アンタに渡すと、絶対無理やり解除するからな」
「そ、そんなことは……」
「やったから言うとるんや!」
菊花は声を荒げた。そして、ため息を吐いて続ける。
「とにかく、合体中以外は使わせへんからな。ええか! 命を大事に!」
〜〜〜
「あったく……心配しすぎだっつーの」
烈火は呟き、首をゴキリと鳴らした。
「さぁて、行くぞオラァ!!」
覚醒状態のブレイズはさらに加速し、ファランクスの反撃を流れるように回避!
烈火の視線が鋭さを増していく。
『烈火! 行ける……この強さなら、出来るよ!』
『ああ、勝つぞ!』
だが、リエンの先読み能力が烈火を捉える。
無感情な瞳がブレイズの動きを予測。ソラリスはE粒子ライフルを構えた。
「……当てる」
烈火が回避した先に、粒子弾が正確に飛来。
ズドォオン!
「甘ぇ!」
だが、ブレイズは寸前でリベルタと分離!
粒子弾は2機の隙間をすり抜ける!
リエンの瞳が見開かれた。
「分離……!?」
次の瞬間、ブレイズとリベルタは、空中で再び合体。
ジョイントが接続され、赤と白の装甲が一つになる。




