29 劫火の鬼窟-2
二人とも戦闘行為もある程度慣れてきたようで、あの後数回オーガとの戦闘を行ってみたが問題なく討伐や撃退、場合によっては撤退もこなせている。
「なれてきたねー」
「油断するなよルカ、こういう時が一番危険なんだからな」
「わかってるよー もし何かあってもママとパパがいるから大丈夫だと思うんだけどなー」
「二人に頼ってばかりじゃ街に行った後対処できなくなるんだからそうも言ってられないだろ。僕たちだけで全部やれることを証明しないと」
「当然だ、俺は助けるつもりもないぞ。 自分の身は自分で守れ」
ドラゴン君は厳しめでそう言っているが、いざという時は守れるように動いているのは私にはわかるよ。
昔から素直じゃないからなー、こういうのを異物君の世界ではツンデレっていうんだったかな
「お前、変な事を考えているだろ」
「別に?ドラゴン君が気に過ぎているだけじゃない?」
「お前な……っ 何か来るぞ、下がれアルフエルヴァ」
「はい ルカも下がるぞ」
「分かったー」
ドラゴン君は鋭いね、まだかなり遠かったのだけどこちらに近づいている存在は確かにいる。
私としてはそこそこ会う存在だけど二人に合わせておきたかったのもそうなので丁度いい、この子の事はドラゴン君ほどではないが少し干渉しづらく、私も隅々まで覗くのは骨が折れるから基本的には会話で対応したかったからね。
「おや、本日はご家族でピクニックですか? この場所はピクニックには少々不適切かと思われますが」
「「!?!?」」
「貴様、その突然現れるのをやめろ」
「これはこれはドラグレット様、お久しぶりでございます ご機嫌いかがでしょうか」
「今悪くなった、俺はお前の事は好かんのだ あまり話しかけるな」
「これは失礼をば」
「母さん、母さん、この人急に出てきたんだけど何者!?」
「このあのびゅーんってぎゅーんって出てきた!」
「ああ彼? そう、彼を君たちに紹介したかったんだよ、このダンジョンに来たのもその理由の一つ、もちろん管理の為もあるけどね」
今私たちの目の前にいるのは燕尾服を着た20代ほどの人間の男性……に見える存在だ。
人間的に見るとどこか胡散臭く感じるかもしれないが最初からこの正確なだけで本人としては騙したりするつもりはないとのこと、ただ、遠回しな言い方を好むので誤解が広がることも間々あるそうだ。
そんな彼の事を人間たちが故障している名で呼ぶならこうなる
「元気だったかい?ダンジョンマスター君 その様子だと元気には見えるけどね」
「ええ、とても好調ですとも我らが母よ そちらのお二方は新たな眷属でございますか?」
「そうだよ、君にも紹介しないとと思ったからね ほら二人共、自己紹介して」
「あ、アルフエルヴァです アルと呼んでください」
「ルカはルカだよー ダンちゃんってルカ達のお兄ちゃんなの?」
「アル様にルカ様でございますか、私が兄……少し違いますね 貴方方は我らが母が直接お産みになられた眷属でございましょう、私も母から産まれたのは同じでございますが、私自身は自然発生した超域精霊でございますので」
ダンジョンマスターくんは私たちと同じ精霊ではある、だが彼は最初から私たちと同じ立ち位置の精霊(?)もとい、彼が言うには超域精霊と呼ばれている存在なのだ。
私はこの大森林すべてを管理する精霊としたら彼はこの大森林のダンジョン限定で管理できる精霊なのだ。
幾つものダンジョンの集合体でもあるので私たちのように個別の名前を持たないのでダンジョンマスターと呼ぶことにした。
因みに、リコリアやローリアの方にもダンジョンマスターはいるらしいのだが会ったことは無いのでどんな子なのかはわからない。
ダンジョンも森林の一部なので彼を含めたダンジョン全体を把握することが私にはできるが、ダンジョンはそれ自体がある種の別世界でもあるので少し大変とも言える、そんな時に私に代わって管理してくれるのが彼だ。
会社で言う私が会長で彼が部長と言ったところだろうか、そう考えるとなんか可哀想に感じてくるけど
とにかくそんなことを説明して二人に伝えると納得はいったようでダンジョンマスターくんに話しかけに戻っていった。
「つまり、貴方は僕たちの先輩とも言えるし目標とも言えるんだね」
「目標……でございますか?」
「うん!ルカ達はすごくなりたいんだよ!」
「補足すると、僕たちはその超域精霊にいずれなる事を目標としているんだ。 その前にまず母さんの頼みを聞いてからになるんだけどね」
「超域精霊に……そんなにいいものではございませんよ? 基本的にダンジョンの外に出ることは出来ませんし、中の生物達に深く干渉することは世界に禁じられております 例外はございますが」
そこで私の方を見ないで欲しいんだけど、私だってちゃんと干渉は最小限にしてるし影響を与えないように細心の注意を払って行動してるんだけどな
「それでもなりたいんだ、僕たちはいつか母さんと同じくらいすごくなって母さんの負担を軽減したい、貴方みたいに」
「うんうん! ルカ達もぐぐーんってなってぽわわぁって出来るようになりたい!」
「そうでございますか、それならば止めるわけにもいきませんね 我らの母の力になりたいと思うのは私も同じでございますから」
「ああ!」
「遅れましたが私も改めて正式に自己紹介と行きましょう」
そう言いながらすたすたと距離を取るダンジョンマスターくん、どうやら二人の事は気に入ったようだ。
彼は独特な感情表現をする、気に入った相手には色んな部分を見せてほしいという好奇心が強いらしい
干渉はあまり行わないと言ったがそれは一般的な相手に限る。彼は気に入った相手にはとことん干渉を行うのだ。
「まずはコチラを、それっ」
彼が手を振ると、黒いもやが生まれて広がっていく、それらはゆっくりと形作られて行き2~3mほどの塊となった。
「これは?」
「アル様、こちらはあなたに贈る私からの贈り物でございます。 超域精霊になればこういったことは出来ませんが今のあなたは精々高位精霊。 なればこそこういう歓待もよろしいかと、どうか心ゆくまでお楽しみを」
「ルカの前にも! なになに~?」
「ルカ様は純真無垢なようでコチラが妥当かと思います、お楽しみくださいませ」
もやは晴れてくるとそこには二体の生物が出現していた。
アルの前には氷の鳥、ルカの前には炎の獅子が現れる。
しかし贈り物と言われたそれらは決して友好的な様子はなく明らかに敵対的であった。
「これは……どういうつもり!?」
「ルカと相性悪そうなねこさんだ……!」
「こちらのモンスターを討伐していただきたく思います、もちろん討伐した暁にはアイテムドロップもございますのでご期待をば。」
「そういう事じゃなくて……!」
「こちらは私の能力でもございますモンスターを召喚して使役する術でございます、私、ダンジョンマスターですのでこういったことが本業でございます。」
「二人共、これが彼の感情表現だ、受け入れてあげて それに丁度よくダンジョンの特殊な面、アイテムドロップも確約してくれたんだ、いい勉強になると思うよ」
「なんていうか……めんどくさいなぁ!」
「アル、逃げるのは無理そうだよ やるしかないかも」
「わかってるよ、気を引き締めていこう」
二人が近づいて連携をしようとしたその時だった
──ゴゴゴゴゴ!
二人を分断するように壁がせりあがってきた、二人は離れないようにしていたのだが、その努力もむなしく分断されてしまった。
「もちろんこういったことも出来ますよ、ダンジョンマスターですので。 今回は個人での戦闘を見せていただきたい」
「さっさと終わらせろよアルフエルヴァ」
「二人共頑張ってね、言い忘れてたけど、命を奪う事を目的としたダンジョンの超域精霊である彼は命を奪う権利があるから保険はないからねー」
「えっ、ちょっと!?」
ダンジョンマスターくんは両手を広げるようにして高らかに宣言した
「それではこれよりお二方にお見せするショーを最後までどうかお楽しみください! 最後になりますがちゃんとした自己紹介をば! 私の名はドルフィラ!森林のダンジョンマスタードルフィラでございます! それでは開演でございます!」
現在、別作品の執筆中の為、当分の間更新が停止する予定ですがまた余裕が出来た時には更新しますのでよろしくお願いします
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