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異世界森精霊  作者: P223
36/37

28 劫火の鬼窟-1

ルクアリア大森林 下層 北部


夏にだけ現れるダンジョン、劫火の鬼窟(ごうかのきくつ)と呼ばれるそれに私達は来ていた

眷属の二人の知識に植え込んでもいるが実際に体験することで分かることもあるだろう。


「さて、このダンジョンは火を操る生物が多く生息することが多い。二人共火に耐性はあるけどルカは私と同じドリアードの類だから燃え移らないように気をつけるんだよ」


「はーい」


「アルフエルヴァ、ここはお前の力が強く働く場所でもある 身に余る力すらも使いこなせるようになれ、いいな」


「わかったよ、父さん」


そんなことを言いながらも進んでいく

ダンジョンと言っても広義的に見れば洞窟のようなもの、上を見ても空は見えないし入口を除けば密閉空間とも言える。

それでも周りがちゃんと見えるのだが、それはダンジョンの特性にある。


「ほらルカ、そこを見てごらん」


「この壁? …なんか光ってる! 宝石かな?」


「それは魔石の一種だよ、その光ってるのは光魔石と言われるものだね」


「ませき?」


魔石、それはダンジョンをはじめとするこの世界に多く生成される魔力の結晶だ

魔力が濃い場所で生成されることがあり、その中の魔力は道具に使用したりしてエネルギー媒体となる。

含まれている魔力は魔石によって変わり、光魔力を含んだ魔石はこういう風に光って光源となるんだ。


当然光魔石が存在しないダンジョンも存在するが、その多くは人間にとってはただの洞窟と扱われてダンジョンと認められていない。

因みに光魔石にも他の魔力、例えば熱魔力が含まれていることが殆どだ。

同じ魔力だけが保存されており不純物が一定以下の魔石を純魔石と言い、その特徴として動力としての性能が通常の魔石と比べても数倍から数十倍の消費効率で扱えることから非常に高値で取引されている。


異物君に渡したのもこの純魔石であるのだが、それに含まれている魔力は空間魔力と言って結晶化すること自体が稀なものなのだが、まぁ今はこの話は良いだろう。


そんなことを解説しながらもダンジョンの奥へ進んでいくととある生物と出会った

その生物は二足歩行で歩き、腕で大きな棒状の鉱石の塊をもって武器とする魔物、オーガである。

このダンジョンが鬼窟と言われるのはこの魔物が多く生息することが多いからである、人間からしたらオーガは危険も危険、一般の村程度なら瞬く間に壊滅するくらいには戦闘能力も高く獰猛な生物なのだ。

そんなオーガは鉢合わせた私達を当然敵と認識しており、威嚇行動として咆哮をしている。

正確には敵と認識しているのはルカとアルの二人なんだけどね、私はこういう風に敵対されることがないからね。それが私達という存在なのだ


「わぁ…!」


「これは無理だ、母さんどうする?」


「そうだなぁ、命を奪うって行為は私達には許されない事だ。無傷で無力化するか、戦闘を避けるかのどっちかならいいよ」


「なんて無茶を……!」


「これくらいで怯むな、やれアルフエルヴァ」


「父さん!?」


ドラゴン君はスパルタなようで戦いを避けることは許さないみたいだ。

ルカも怖がっているようではあるが、戦意が全くないというわけでもないようでいつでも動けるようにしている。


「……わかったよ、やるぞルカ」


「う、うん」


「手加減も出し惜しみも無用だ、今回は特別に殺す前に止めるし怪我も治すから思いっきりやればいいさ」


「「わかった!」」


そう言ったのを皮切りに二人はバッ!と動き出し、戦闘行動に移った。

近接戦闘が比較的得意なアルが前衛、後衛でサポートがルカである。


二人とも戦闘も慣れてきたようで最近は自然とこういう風に連携も出来るようになってきた。

だからこそこのダンジョンに連れてきたってのもあるけどね


対して、オーガ…火鬼くんは1体しかいないとはいえその強靭な肉体と高度な火属性魔法を操ることが出来る。

普段の二人では相手をするのは難しいだろうが今の二人なら大丈夫だ、その理由はすぐに分かる。


「ゴアァ!!」


火鬼くんが先制で金属の棍棒を振りかざした。

アルはそれを剣で受け流すように受けるのだが…


「ッ! 重すぎる……! 何度も受けるのは無理そうだ!ルカ!」


「分かった! 《くぐーんとちからもち》!」


遠隔で発動する強化魔法、かなり高度なそれなのだが対象がアルである事限定でルカはそれが可能である。

二人が同時に生み出されており体の構造…DNAのようなものがほぼ同じだからこその荒業なのだ。


「よし、これならやれるはず。 《フレイムセイバー》!」


前にも使った剣に熱魔力を纏わせることで疑似的に炎を付与する魔法なのだが実のところそこまで攻撃に威力が変わったりすることは無い。

炎の剣で斬ったところで別に一瞬熱いだけだし何なら火力が高ければそのまま傷口が塞がるので寧ろ弱体化だったりするのだ。

しかし今のアルはその事もちゃんと理解してこの魔法を使用している。

ならなぜ今こういう行動をとったのかという事なのだが答えはすぐに分かるだろう。


「ゴアッ!!」


「強化は長く持たないからな……! ふっ!!!」


──ッッギィィィン!!!!


アルの剣と火鬼くんの棍棒が撃ち合う。

アルの剣は見た目は棍棒と比べて細いのだが素材はリコリアから受け取ったアダマンタイトを始めとした金属の合金製だ。よっぽどのことが無い限りは折れたりはしないだろう。


「ぐっ……! もう少しぃ……!」


「グオオオォォッ!!!」


火鬼君が力任せに押し込もうとするが、ルカの強化を受けたアルの膂力には押し切れないようで拮抗している。

そしてそれがアルの狙いだった。


ズズズ…


「グオォ……!?」


「気づいたか? でももう遅いぞ!火力最大だ!!」


火鬼くんの使う武器は単純な金属、素材としても合金のように加工されたものではなく純粋な鉄や銅なのだ。

熱を与えると弱くなるのはどの金属だってそうなのだが、武器に使われる合金は耐久性能に合わせて耐熱性能を高く作られることが多い。

それが今の状況を作りえた。


剣にまとわせた炎が武器の温度を上げる、火鬼くんは火属性魔力を使うこともあって熱に耐性はあるが武器は別。

火鬼くんが異変に気が付くころには武器は柔くなっており緩やかに曲がっていっていた。

そこにアルの剣が細い剣身を当て続けることで徐々に切断することが出来るのだ。

そして……


──ゴトリ


「ゴァ!?」


「ふふ、これでお前は無手だ ぼくの作戦勝ちと言ったところだな!」


「グオォ…!」


武器を失った火鬼くんだが、まだ戦闘能力は残っている。

その身にから繰り出される格闘術は脅威ではあるし、火属性魔法だって可能だ。


「ゴォォ……」


口元に火属性魔力をため込んでいきブレスを放とうとしている火鬼くんだが


「お前、忘れているだろ。 ここにはもう一人いるんだよ ──ルカっ!!」


「じゅんびかんりょー!! 《ぐんぐんぐーんっとずっばばばーん》!!!」


ルカが放ったのは風の刃、しかしそれは一つや二つなんかじゃないしアルが使った《サーキュラ》と比べても大きさも大きい。


アルが火鬼くんと鍔競り合いをしている最中にルカはずっとこの魔法を準備していた。

時間はかかるが強力な攻撃が出来る純粋な魔法使い。その強みが出た形になるだろう。


火鬼くんはブレスを放つが数が多すぎる風の刃で拡散することも出来ず打ち消される。

それだけでなくその刃は火鬼くんの身体を切り刻んでいき、遂には膝をつく結果となった。


「勝ったか…?」


「うん、十分かな。 君もそれでいいかな?ドラゴン君」


「チッ、まぁいいだろう 今はこの程度だな」


「「……!」」


二人は顔を見合わせる。その表情は達成感から歓喜が漏れまくっていた。


「「やったー!!」」


「グオオァアアアアアア!!!!」


「「えっ!?」」


喜んでいるところで悪いが別に火鬼くんは戦闘不能になったわけではない。

体力で言うと最大を100として今で50程度と言ったところだろう。


「も、もう魔力が…!」


「やばば…!」


二人は焦っているが大丈夫だ、二人の試練は一旦越えた。


「ゴアアアアアアッッ!!」


火鬼くんが怒りのままにその拳を二人に叩きつけようとしたが


ぱしっ


「まて雑魚が お前の出番は終了だ。」


ドラゴン君が片手で受け止める、火鬼くんは押すも引くも全くできず困惑の表情となった。


「アルフエルヴァ、お前ならいずれこの程度は出来るようになる。俺を失望させないように精進しろよ?」


ゴッ! ガッ!!  バキッッ!!!


拳を掴んだ状態から引いてよろけた体に格闘を叩き込み、あっさりと火鬼くんを気絶させてしまった。

ここからは私の仕事だ。


「さて、じゃあ後片付けして先に進もうか。 折角だから魔法で…《治れ》」


その一言で傷ついた三人をまとめて全回復させる。

火鬼くんは目が覚めたら襲ってくるので端に避けて()()()()


「じゃあ、先に進もうか。」


「成長したと思ったんだけどな」


「ねー、るかたちもまだまだって感じ」


「「……はぁ」」


私達は規格外ってやつだから参考にならないと思うけど、まぁ目標は高くて悪いことは無いだろう。

そんなことを思いながらも私達はダンジョンのさらに奥へと進んでいくのだった。

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