26.2 異物君と異世界無双
ある日の事だった、この俺 平井拓真は思った
「もしかしてこの状況ってラノベとかにある異世界無双出来んじゃね?」
確かにチートスキルとかは無いし、戦闘は訓練くらいしかして無いのでクソ雑魚だろう。
何なら命を奪う覚悟なんかない
だが考えて見てほしい
この世界は魔法が発達した結果便利になった世界なのだ。
よくある異世界のように不潔だったりも実はない、風呂とかはなんならこっちの方が良いまである。
だが、そう。この世界には無いものがあるのだ
それは機械!
電子機器の類が全くと言って良いほどない!
掃除機も電子レンジもないしオーブンもないのだ(オーブンは似たようなのがあるが火の魔晶石を消費するので一般人には少しお高い)
まぁ洗濯機はあるし、一応掃除用の魔法もあるから不便では無い
ともかく、日本にあってこの異世界に無い機械が割と沢山あるのだ
ならこれ俺が考えたって言って金稼ぎチート出来んじゃね?ってのが俺の考えだ
「でも機械の作り方とか知らねーんだよな、だからと言って転生もので良く作られてる水車とかは流石にこの世界だといらねーだろうし 多分ある…のか?井戸は見た覚えがあるか」
ぶつぶつと独り言をしながら考えてみるが、中々まとまらない。
というわけで俺が一番相談しやすい人に相談してみることにした
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「で?俺に何を聞きたいって?」
今俺の前で椅子に座って生意気そうに足を組んでいるのが俺が相談しようとした相手のラング・ハーパーだ
アンナの弟でもある彼はぶっちゃけこの世界で一番俺と交流があるのだ、アンナは普段は学院に行ってるのであまり話せないしな
「これを見て欲しいんだよ」
「何々?……んだこれ?」
日本にあってこっちに無い機械類を一通りメモした紙を渡すとラングは微妙な顔をしながらもそれを読んでいる
「イメージなんだが、そういう道具が作れたら金儲け出来ないかなって思ってさ」
「なるほどなぁ……一応言っておくがこれとこれ、あとこれは無理だな。もうある、あっちの国にだが」
そう言って掃除機をはじめとしたいくつかの機械を指差して指摘してくる
にしても掃除機はもうあるのか……って
「あっちの国って何?」
「お前まじか……まてよ?記憶喪失なんだっけか、しかも意味記憶も消えてるタイプのやつ」
「い、一応な」
それは嘘なのでちょっと罪悪感がある
「それであっちの国ってのは帝国の事だ、うちの国はライオノール王国って言って代々ライオノール王の家系が収めてきている国だ。対して大森林を挟んで向こう側にあるのがシュバリア帝国、あっちは実力主義で定期的にトップが変わる国だな。実力主義な分お前が書いたような特殊な道具なんかも良く開発されているらしいぞ」
「まじかぁ」
「だがまぁこれとかは本当に作れたら相当売れるだろうな」
そう言ってラングが一つの機械を指差した
そこにあったのは
「トランシーバー?おもちゃみたいたもんだぞこれ」
「んなわけあるか、道具を使って会話が出来る時点で相当なんだよ、この世界に長距離を連絡する手段があると思うか?」
「あー……」
そう、この世界で最もとも言える日本との差異がこれ、通信手段だ。
インターネットもないし電話もない、精神系の魔法でテレパシーみたいなのは出来るって本で読んだが精々その程度。テレパシーも50mとからしいし
何故ないかと言われればそれは間違いなく魔法のせいだ。
電気を利用する技術が発展しなかった結果、この世界では電波が発見されていない。
それもあり、長距離の通信技術の発展があまりにも遅れているのだ。
「もしかしてこれを作れたら大金持ちになれる?」
「間違いなくな、その仕組みは何にでも使えるだろうし戦争なんかにも利用しやすいだろう」
「うぇ、戦争かぁ」
作ったものを戦争に利用されるのは確かに嫌だろうなぁ、確かノーベル賞とかもそういう経緯だった気もするし人の業ってやつなのかもしれない
「嫌なら特許でも取って縛り上げろ、このレベルのものなら契約魔法の利用許可も出るだろ」
「何それ?」
「これも知らないか、契約魔法ってのは国に対してのルールを課す魔法だ。期限と決まりを決めて使う事で物事に対しての強制が出来る超級魔法だな」
「俺、まだ下級ですらまともに使いこなせないんだけど」
「契約魔法は大丈夫だ、そもそもこの国でも使える人は常に一人しかいないらしいからな。依頼してその人に使ってもらう事になる。」
「そんなやばいのを個人が持ってのか」
「まぁな、その人は王族で管理されてるとか聞くからなんとも言えんが今の所は問題は起きてないらしい」
「大丈夫かよそれ」
「知らん、大丈夫じゃなくとも俺らにはどうにも出来んだろうよ」
そう言ったラングの顔色は別に悪くないので、本当に心配はしていないのだろう
俺は民主主義の国で産まれたからか王族で管理とか言われても怖いが、この国で産まれた人にとってはそれで十分なのかもしれない
「とりあえずこれでわかったろ、このレベルの物なら作れたら国としても莫大な利益になる。その褒賞として契約魔法の行使も許可してくれるだろうしな」
「なるほど……じゃあこのトランシーバーを作るのを目標にするか」
「つーか、トランシーバーって名前どこから来たんだ?」
「えっ?」
そう言えばトランシーバーの語源ってなんだろうか、気にした事なかったな
そう考えているとラングは怪訝な目でこちらを見ていた
「お前、これ本当にお前のアイデアか?」
「うっ」
確かにこれは俺のアイデアではない、過去の偉人たちのアイデアのパクリである
「違うんだな、トラブルになるからやめとけ」
「だ、大丈夫だって……多分」
「はぁ?」
「これってさ、俺の記憶にあった道具だけど今ないなら少なくともこの辺には流通してないものって事じゃん?」
「アホかお前、なら何処かで流通してるって事じゃねぇか」
「それならそれでいいんだよ、俺の知り合いが訪ねてくるかもだし」
苦しい言い訳ではあるがいけるか……?
「……ったく、そういう事ならまだ良いが。その知り合いとやらが原因で戦争とかにならないようにしてくれよ」
「お、おう!」
大丈夫だよな…….?大丈夫だと信じたい
「で、そもそも前提としてこれを作るには色々物がいるとは思うが作れるのか?」
「大丈夫だとは思う、場所は必要だとは思うけど」
「それなら良いが、これ本当に作れるのか?」
「完全には多分無理、かなぁ」
俺、電気の使い方とか知らないし。通信機器を作るのなんてもってのほかだ
「じゃあどうするんだよ」
「人を頼りたい、それこそ電気についてかなり詳しい人がいいな」
「電気?それをなんに使うんだよ」
「この道具だ、ここにあるやつは全部電気で動くんだよ」
「電気でぇ?あんな目でも見づらいし触れもしないやつでか?」
「おう」
上手く行けば、トランシーバーまでとは言わずとも簡単な機械なら作れるかもしれないし。
機械系の知識があまりない俺ではあるがアイデアを出して他の人に作ってもらっておれは印税でウハウハという事なら出来るかもしれない
完璧な作戦だ
「いや、いねーんだけどさ。電気に詳しい知り合いなんて」
「えっ」
「あんなもん、基本的に攻撃にしか使われないからな、宮廷魔術師のにーちゃんでも他の事に使ってるとこ見た事ないし」
「でも世界って広いし一人くらいいるんじゃ?」
「いるかもな、でも俺は知らん」
「でもラング貴族じゃん!人脈あるんだろ!?」
「うるせーな!貴族だろうが王族だろうが知ってる人の数には限界があるんだよ!!知らんもんは知らん!」
そこまで言われたらどうしようもない、完璧な作戦だとしてもそれを実行するには実行できる人間が必要なのだ。
俺は一般学生だし、そんな事無理に決まってる。
なんなら水車もマヨネーズも作れない
「まじかぁ……」
「……まぁお前の記憶にあるのなら作れるんだろうしいつかは出来るんじゃないか?」
ラングは慰めてくれるが、そのいつかは何年先になるのだろうか
偉人たちの真似をするには偉人たちレベルの知能が必要。
そんな簡単な事に気が付かなかった俺は一生偉人になんかなれないのかもしれない
夢は夢、そう簡単に手に入るわけがないのであった
異世界無双はまだまだ出来そうにない
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