26 眷属実践会
ルクアリア大森林 中層南部
ルカとアルの2人に精霊本来の力である霊力の使い方を教えたので、これから実践を行おうとなっていた。
「よし、いくぞ。……ふぅぅー!!」
アルは腰を落として反動に備え、勢いよく息を吹きかけるように力を入れる
するとアルの前方には火炎放射器程度の炎が放たれた
放たれた炎は目標の的に命中し、対象を完全に焼き尽くすことに成功した。
「これは…すごいな……、魔法よりもよっぽど使いやすいし」
「当然さ、私達の本来の身体機能だからね、手足を動かすのとなんら変わりはないよ」
「ルカもやる!!ふーー!!」
ルカも同じように火を放つが、アルのそれとは違いひょろひょろと弱く小さい火しか現れなかった
「えー?なんでー!?」
「ルカ、お前のは違うだろう?母さんも言ってたがぼくは父さん…ドラゴンの素材がコアになっているからブレスが使えるんだ、ルカも多少はドラゴンの魔力もあるから火は出せるけど威力はないってこと」
「ルカもアルみたいにどかーんって炎を出したいのに…」
「こればっかしは諦めるしかないと思うけどなぁ」
「ん?そうでもないよ?」
「「え?」」
霊力は確かに身体能力だけど育たないわけじゃないしねぇ
「霊力ってのは筋肉とかと一緒で使えば使うほど強力になっていってやれることも増えるからね」
「魔力と一緒じゃん」
「魔力は使っても増えないよ、魔法行使に使う量が減っていくだけ。鍛えても血の量が増えるわけじゃないのと同じだね、魔力が多い食べ物とか食べたらちょっとずつ増えるのも同じだけどね」
「それで鍛えたらルカもぼくくらいの炎を出せるってこと?」
「そうだよ、私は元は完全な木の精霊だから精霊としての力はそっちよりなんだけど、これくらいなら出来る。」
霊力を口元に集めて上を向き、火の特性に変化させてと……
放つ!
——ゴウッ!!
「すっごーい!!!」
「ぼくのと比べても圧倒的に強い炎だ…母さんは苦手なんだよね?これ」
「まぁね、それでも私がこうなる前は結構使ってたからね、それに近くに良い見本もいたからさ」
私が放った炎はアルのものと比べても数倍は強く大きいものだった、ドラゴンくんのブレスと比べると月とスッポンだけど昔は結構役にたったものだ
「さ、こんなもんでいいかな?ルカも得意な方でやってご覧」
的を再生成してルカに促す。
「わかった!!こうだよね……むむむ…!」
ルカの手に小さな光が集まってくる。
そしてピンポン球くらいの大きさになると握りしめて腕を振りかぶった
「おーーーりゃあーーー!」
投げる容量で飛んでいく光は的の手前辺りで落ちてしまう
しかし、その場所から蔓が生えだし動物のように的を握りつぶしてしまった
「できた!!」
「これがルカの力か、ぼくのとは方向性が違うがかなり強力だな。母さん、これはぼくにはまだ難しいんだよね?」
「そうだね、得意不得意の範囲だけどとりあえずはアルはブレスをちゃんと制御出来るようにした方がいい。まぁどちらも魔法での再現は難しいものだから人前では控えるようにね、緊急時専用って感じで考えておいて欲しい」
「わかった」
「はーい」
さて、2人の霊力の扱いはこんなものでいいとして
次はどうしようか
あぁそうだ
「2人ともさらに苦手になるとは思うけど他のやつも少し練習してみようか」
「他の?」
「うん、当然霊力で出来ることは自然現象に限るんだけど、それは何も成長や熱反応だけじゃない。他にも自然現象は沢山あるからね」
「なるほど」
「?」
「ルカには難しいか、見せた方が早いかな。わかりやすいのだとこれだ」
そう言って霊力を使う。
見た目上の変化は何も起きてはいない。
「ん??何が起きたんだ?何も変わらないけど」
「アルわかんないの?」
「え?ルカにはわかったのか?」
「うん」
ルカの顔は自信満々と言った様子だ
「なら、何が起きてるか言ってご覧」
「えっとね、びゅーってなってる!」
「びゅー?水?」
「ちがう!」
「ルカは正解だね、アルはどうする?もう少し考える?」
「うん、びゅーってなって水じゃないとなると……あ!」
どうやらわかったようだ、今も常に2人に対して使い続けてるからね
「風か!風を発生させているんだよね?」
「正解、霊力を使って風の動きを発生させたんだ」
「でもこれって風魔法を使えばいいんじゃない?」
確かに風魔法を使えば風を発生させることも可能だろう、だがこれは違う。
「正確には風魔法って言うのは人間が付けた名前だ、風を操る魔法ってわけじゃないんだよ」
「え?でも使う時のイメージは風の操作なんだけど」
「ルカはなんかぎゅっぎゅって感じだよ?」
「ルカのがある種の本質かな、風魔法は厳密には硬化魔法だ、深くは魔法について語らなきゃいけないけど長くなるから別にするけど風自体を操ってるわけじゃないんだよ」
「その風自体を操れるのが霊力って事か…」
「そういうこと、じゃあ次行くよ」
そう言って地面に穴を空けてその中に水を生やして小さな池のような状態にする。
「これは霊力じゃないからね、この後ね」
生成した水に色付きの水を足していく。
「準備はこんなもんかな、じゃあ見てて」
池の中に対して霊力を行使すると、以下の中の水の色がきれいに分かれていき花の模様に留まっていく
「これは、もしかして水流?」
「いいね、正解だ。もちろん水魔法でも似たような事は出来るけどかかる時間は圧倒的にこちらの方が早い。それも原理があるのだけど後日ね」
「きれー!ルカもやりたい!」
「いいよ、やってごらん」
ルカがウキウキしながら霊力を使っていく。
水は綺麗にまとまることは無くかなり弱い渦を生成する事となった
「できない!」
「だろうな、ぼくたちにはまだ早いんだよ、慣れてからまたやろうな」
「うん…」
「2人で協力すればやれる事も増えるから悲観しないでいいよ、頑張ってね」
「「うん」」
「後は、アルも男の子だしカッコいいのでいこうか」
的をまた生成する、それも十を超える数だ
「一瞬だよ」
霊力を使う、すると的は一箇所に集まっていきバキバキという音と共に丸くなってしまった。
その中には的の下にあった土なんかも混じり小さなクレーターも生まれている
「これは!」
「これはわかりやすいよね」
「重力だ!これは魔法じゃまず再現出来ない!」
「じゅーりょく?」
「そう、重力だよ。2人が立っているのも重力が働いての事だ。正確には自転してないから引力って言う方が正確だろうけどね」
ぷかぷかと重力球が浮いているが、これ自体にも重力がかかっている。出ないと自転の影響を受けなくて飛んでいってしまうからね
まぁこの辺は特に教えなくてもいい事なので割愛
「危険度が高い使用法だし、これを得意とする精霊は今の所私も知らない。いるとしたら星自体の精霊だろうけど……それこそ神みたいな存在になるだろうね」
「そんなに凄いんだこれ…」
「よくわかんないけどこれが出来るママはもっとすごい!」
「だな」
「褒めても何もないよ、あぁ、引力が出来るなら当然」
その瞬間球が勢いよく弾け飛ぶ。
木片が辺りに飛び散るが全て結界を使って受け止めた。こんな事で生物を傷つけるわけにはいかないからね
「びっくりした!」
「今のは!?」
「斥力だよ、磁石とかが反発するアレ」
「爆発したのかと思った…引く力が使えるなら押し出す力も使えるのは当然だけど、規格外って感じだ…」
「そうだね、この二つは使わない方がいいだろうね、誤魔化しが効かないからもし見られたら碌なことにならない。」
「うん、出来そうにはないけど」
「危ないのはルカもいや!」
他にも使えるのはあるけど、まだリコリアの連絡も無いことだしゆっくりと用意していこうかな
「よし、今日はここまでにしよう。2人ともお疲れ様」
「わかった」
「つかれた!」
「じゃあ家に帰ってゆっくりしようか。」
まだ普通の精霊である2人には疲労がある。
それに反芻する時間というのも大事なのでゆっくりさせよう
それにしても、私もそろそろまた散歩がしたいな。
ドラゴンくんでも誘ってダンジョンでも行ってみようかな
次回結構間が空きます
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