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異世界森精霊  作者: P223
31/37

25 眷属勉強会

ルクアリア大森林 中層南部

春ももう終わりだしたこの頃、二人の依頼(おつかい)も無事終了したのでご褒美を考えていたのだけど、アルがもっと強くなりたいと言ったので自分たちの力を自覚することを目的として我々精霊についてを少し教えることにした。


「というわけで、勉強だ。いいね、二人共?」


「もちろん、ぼくらじゃまだ中層の地上ですら対応できないんだ。やれることは増やしたい」


「えー、あそぼーよー」


「ルカも力不足は痛感したんだろ?もっと頑張らないと母さんの頼み事もちゃんと遂行できないんだからな?」


「そうだけどさー、お仕事も終わったばっかりだし良いじゃん!」


「じゃあ遊びながら勉強にしようか、それでいいかな?アルも」


「「え?」」


アルはキョトンとした顔をした、アルにとっては勉強とは遊びとは対極にあるものという認識なのかもしれない。

逆にルカは勉強に苦手意識はあるようだが遊びと絡めることで興味を持ったのか少し嫌な顔が無くなってきた。


「そんなこと出来るの?」


「うん、出来るよ。簡単に例を見せよう」


そう言って私たちから20m程先に木の板を生やした。


「例えばだ、ここからあの板を的として破壊するにはどうすれば良いと思う?」


「魔法かな、割るだけなら風魔法、完全に粉々にするなら火魔法を使う」


「ルカはでっかい石を投げる!」


「ルカ…それは現実的じゃないよ…」


「いや、二人とも正解だ。見ててごらん。<<切り刻め>>」


私が風魔法を使い木の板を粉々に切り刻む。

木の板はその原型を失い完全に破壊されたと言うべきだろう


「これがアルの例だ、あっているかな?」


「うん」


「じゃあ次はルカだ、石は生やすね。」


そう言いながら新たな的を生やした後に手元に片手で投げられる野球ボール程度の大きさの石を生やした


「よし、それっ」


ビシュンッ!!

と言う音をたてながら石は真っ直ぐ的へと飛んでいき、大きな音を立てて破壊した


コレも先程と同じように原型は残らず完全な破壊となった。


「どうかな?ルカのもこれで正解だ。」


「そっか…壊すだけなら石を投げても…って言ってもさぁ」


そこまで言うとアルは投げた石を拾って戻ってきた


「母さん的を出してくれ」


「ん?いいよ」


「じゃあ見ててよ、おらっ!!」


アルが力を込めて石を投げた。

その石は的に当たったものの壊れるどころか簡単に石を弾いてしまった


「ほら、威力が足りないんだよ。魔法ならまだやれるけどさ!<<サーキュラ>>」


風の刃が的を切断し真っ二つになった。


「言いたいことはわかった、だから今日は魔法以外の方法であの的を破壊する方法を教えよう」


「なるほど、そう言うことならわかった」


「んー」


ルカは勉強となるとやはり嫌そうな顔をする


「大丈夫だよルカ、今日の勉強は体を動かすものだ。退屈はしないさ」


「うん…やる…」


「さて、じゃあまずは説明だ。この世界に存在する力は大きく分けて何があるかわかるかな?」


「運動エネルギーを利用した物理的な力と魔力を運用した魔力反応を元にした力」


「そうだね、でもそれだけじゃない。私たち精霊だけが使える力もあるんだよ」


「精霊だけが使える力?」


「うん、こういうのだ」


私の手からふわふわと光の玉がいくつも現れる

二人ともそれを興味深く見ているようだ


「なにこれ!」


「これは私たち精霊の力の源、自然の力だよ。言い換えると生命エネルギーそのものと言ったほうがいいのかもしれないね。」


「母さんが何かを生やしたりしているのもこれで?」


「あ、ごめんね、それは別だ。あっちは精霊を超えた存在でしか使えないし、力というかなんと言うか微妙なものだしね。知りたいならまた後日って事で」


「わかった、今日のところはその自然の力を使えるようになるのを頑張るよ」


「そうしてくれ」


「ルカも出るの?これ!むむむー!!!」


ルカが力んでいるがそれで出ることはない。


「ちょっと出し方が違うかな、自然の力…なんかいい言い方あるかな。人間には知られてない力だから名前とかないんだよね。」


「すーぱーぱわーとか!」


「そのまま自然エネルギーで良いんじゃないの?」


うん、私自身考えることはそんなに得意じゃないからそれでも良いんだけど…せっかくだし異物君の世界にあった名前から借りようか


「魔力や気力と似た感じにするなら精霊力から取って霊力‥ってことにしようか。といっても他で名前が付いたりしたらそっちにするけどね」


「すーぱーぱわーいいのに…」


「まぁなんでもいいかな、それで?どうやって使うの?まさか光らせるだけなんて事は無いと思うんだけど」


「もちろん、今回はあそこに配置した的を壊す力を得る事だからね」


そうしているうちにいくつか的をさらに生やしていた、数としては20程度だが問題ないだろう。

なければ生やせばいいし


「霊力を使って攻撃はこういう風に使うことも出来る。それ」


霊力の球を股の方へと飛ばしていく。

的付近まで来た球は地面に吸い込まれていき、その地面からは太い蔓が現れ、的を締め上げて破壊した。


「こんな感じだ、今のは霊力でのみ起こしたことでいつも私が生やしたり覗いたりしている事とは完全に別物だよ」


「おー!すごーい!まほーではこんな事出来ないもんね!」


「そうだな、植物だって命だ。それを生み出すことなんて魔力では間違いなく不可能な事だ。精々種を急成長させる事が精一杯だし、その後の動作に干渉も出来ない」


「そういうこと、霊力は命を生み出して操ったり逆に命を奪ってしまう事もできる、こんな風にね」


そう言い黒い球を飛ばして木の的に当てると、そのままその的はしおしおと枯れていき、ボロボロに風化してしまった。


「これは…あまり人には見せられない力だな…」


「なんで?すごいじゃん!!」


「あのなぁルカ、簡単に命を作ったり奪ったり出来る力なんて本来この世には存在しないんだ。物理的に危害を加えたとしても即死なんてそうそうはしない、それが出来るのを知られたらどんな目に遭うかわからないんだぞ」


「うーん、とりあえず人間に見せなきゃいいんでしょ?」


「まぁそれでいいか」


「続けるよ、そんな霊力だって無限に使えるわけじゃない。エネルギーだからね、失うものもある」


「それは?」


「これだ」


そう言って私は左手を見せる。

左手は薄く透明になっており、傍目から見ても明らかな異常であることがわかるだろう


「透明じゃん!え!どうしたの!?」


「霊力を使うと身体が消えていくって事なの?」


「半分正解、精霊力って言うのは精霊の身体を構成する力そのものでもあるんだ、そのため消費すると身体にも影響が出る。」


「だとしたら、そんなに使えないし練習も出来ないんじゃ?」


「いいや、そんな事は無い。さっきも言った通り霊力って言うのは自然の力だ。自然から回復する事だって出来るんだよ、因みにここで言う自然っていうのはそれぞれの精霊のルーツによる自然だから気をつけるように」


「るーつ?ってなに?」


「何を元に精霊になったかって事だね、ルカなら私の種、アルならドラゴン君の角だ。と言っても二人とも私の力が半分を占めてるから(わたし)の中にいれば回復するから安心していい。」


回復速度はどうなのかはやってみないとわからないが、その辺はやっているうちに自分で分かるようになるだろう。昔の私だってそうだった。


「霊力を使いこなすと他にも色んな使い道があるから緊急時の対応として学んでおいてくれ、肉体的な力と魔力的な力、そして精霊の力である霊力。全てを使いこなすことが出来れば中層でも十分に通用するだろうし、私も安心してライオノールに送り出せるってものだ。頑張ってね」


「「うん」」


「よし、じゃあこれから感覚的に使い方を教えるから。その後簡単な遊びをしよう、あの的もちゃんと使ってね。」


3月に更新出来なくて悲しい悲しい、次回はGWかなってところです


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