24 眷属クエスト-幸運兎3-
「そろそろ精域が切れる頃だ、ルカ行くぞ。警戒は大事にな。」
「うん」
相談も終わり、二人の行動も再開となった。
相談している時も覗いていたけど……まぁいいか、すぐにわかるだろう。
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二人はしばらく警戒しながら幸運兎君を探していた。
そんな時大きな茂みの前でルカがふと止まり、先を凝視している。
どうやら違和感を感じて気配を探っているようだ。
「アル、止まって」
「どうした?」
「えっとね、多分この先何かいる。大きさ的にはこれくらいかな?」
そう言いながらルカは両手を前に出し、30センチくらいの大きさを表現した。
「大きさ的には兎の可能性もあるが、形はわかるか?」
「んにゃ、そこまでは無理ー。ママなら簡単にわかるんだろうけどね」
「仕方ないか…じゃあ慎重に確認しよう、ルカは周りの警戒をしておいてくれ」
「わかったー」
アルはそう言い茂みの中に入っていく、そしてしばらくした後に声がした
「ルカ」
「あ、アルどうだった?」
「……」
「……アル?」
「どうしようこれ。」
戻ってきたアルの腕の中には30センチ程の黒い毛玉があった。
「なにそれ?」
「多分、兎だと思う。ほら」
片手で掴みなおしアルが毛玉の一部分をつまむとそこには兎の耳のようなものがあった。
「???????」
「ラッキーラビット、じゃないよな?これ」
「わかんない、そもそも調べてたアルの方がくわしいじゃん」
「いやまぁそうなんだけどさぁ……全然動かないんだけどこいつ。息はしてるっぽいけど」
黒い毛玉は膨らんだりしぼんだりしているので息をしていることはわかる。だが、毛玉は毛玉。それ以上は微動だにしていない。
二人は困惑しながらもこの毛玉をよく調べてみることにしたようだ。
「アル、ルカも抱っこしてみたい!」
「抱っこでいいのかわからないけど、ほら」
「っと、結構あったかいねぇ。うさぎちゃーん、顔はどこー?」
ルカは抱きながら顔を埋めてモフモフしている、これで調べてるつもりなのかな?
「あ、耳あった。でも顔がわかんないなぁ耳と身体がくっついてるみたい」
「そんなことは無いと思うんだけどな、うーん」
ずっと考えている二人だけど、実はというとこの毛玉かなり危険なんだよね。
この毛玉の正体はアンラックラビット。幸運兎君と対になる魔物だ
幸運兎君は強い幸運を持つことで外敵に出くわすこと自体が皆無と言ってもいいほどなくなる生物なんだけど、この不運兎君はその逆に外敵に不運をもたらすことで外敵を排除する特性を持つ。
今は二人を外敵とみなしていないようなので大丈夫なのだけど、もし外敵認定されれば二人は理不尽な不運に見舞われて最悪命を落とすことにもなるだろう。
因みに、顔はちゃんとあるのだけど今の状態は防御姿勢及び仮眠状態でもある。昔覗いた時に分かったことだけど一応岩に擬態しているつもりらしい。
「もふもふであったかくて枕みたいな子だよねぇ」
「気持ちはわかるがここで寝るとかやめてくれよ?他にも魔物はいるんだからさ」
「わかってるよぉ、でも持って帰りたいなぁ。一緒に寝ると気持ちよさそう」
ぴくぴくっ!
そうしているうちに不運兎君は目が覚めて動き出したようだ、ぴょこりと顔を出して二人を順番に見ている。
「わっ、急に顔が出てきた!」
「顔がないのかとも思ったけど…そんなことは無くてただ隠れてただけだったんだな」
「だねー、こんにちはウサギちゃん」
不運兎君はルカの言葉には反応せずルカの匂いを嗅いでいる。
幸運兎君もそうだが、この二種の兎は対象の匂いを嗅ぐことで自分にとっての危険度をある程度把握することもできる。基本的にはどちらも嗅ぐような距離に行くこと自体が稀ではあるけどね。
「ちょっとー、くすぐったいって!きゃはは」
「ちょっとうらやましいな、ルカちょっとぼくにも……」
「きゃはは、えー?アルもまた触りたくなったの?」
アルが近づくのだが不運兎君は数回ふんふんと嗅いだ後ぷいっ!とルカの方を向きなおした。
「なっ!なんでぼくはダメなんだよ!」
「ちょっとやめてよねー?アルがそういう態度をするからじゃない?」
「ぐぅ」
正確にはアルの身体に含まれる火属性魔力が多いからなのとドラゴン君の影響で小動物から脅威に感じ取られやすいせいだね、ルカは私の影響を強く受けているので自然に近くなっており警戒されづらい体質なのもある。
まぁ私みたいに相手が警戒できないレベルってわけでもないので飾りだけどもね
「まぁいいか。そいつを連れていくのはやめとけよ?遊びじゃないんだし。」
「わかってるって、ちゃんと別れるからさ」
そういってルカは不運兎君を地面へと放してやる。
不運兎君はすぐに逃げはせずその丸い瞳でルカをじっと見ている。
「ん?行かないの?どうかした?」
不運兎君は動かない
「んー?あ、そうだ。これあったっけ、食べる?」
ルカは服の中から一枚の葉っぱを取り出した。
「なんだそれ?」
「私のはっぱ」
「ちょっ!?大丈夫なのかそれ」
「大丈夫大丈夫~」
世界樹の葉に似ていると思ったけど、そっか。ルカの葉か。
もう新芽が出たんだね、早いもんだ。
不運兎君はその葉をかじって食べてしまった。
「食べたー」
「大丈夫か?発光したりしないか?」
「しないよ!ルカをなんだとおもってるの!」
不運兎君は食べ終わると茂みの方へと駆けて行き手前で止まった。
「あれ?行かないの?」
「ついて来いって言われてるんじゃないか?」
「あー、そうかも?ママがいたらわかるんだろうけどなー」
そもそも今いる場所自体が私だからね、常にいるとも言える。
今は教えないけどついて来いであっているね。
「とりあえず行ってみよ!」
「はぁ、枝に刺さらないように気をつけろよ」
「私はドリアードだから刺さらないよー」
「あー……うん」
正確にはハイドリアード、アルはハイサラマンダーなので枝とか植物で怪我をするけどその代わり熱ではダメージを受けなかったりする。
因みに私はどちらも効かない、というか何も効かないと言えるか。普通の精霊じゃないからねぇ
「おー、なんかちっちゃい広場みたいのに出たよー」
「こんな場所もあるんだな、なんか雰囲気が他の場所と違うな。」
ここは安全地帯だね、色々な理由があって獰猛な生物が近づかない場所の一つだ。
この安全地帯にも当然理由がある、その理由は簡単だ
「えっ?」
「ルカ、どうかしたか?」
「あ、ある。あれ…」
ルカが指をさした先には一つの白い毛玉。
いや、一つでなくもっとたくさんいる
その正体はこの場所が安全地帯である理由でもある、それは
「ラッキーラビット…」
「だよね、しかも一匹じゃなくていっぱいいる。」
「もしかしてここがラッキーラビットの巣なのか?」
「だと思う…わっ、なになに?どうしたの?」
幸運兎君たちと不運兎君たちがルカの周りに群がっている。
「お前の葉が欲しいんじゃないか?」
「えぇ~!あの一枚しかまだないよー!」
「安易にやるからだろ?……まぁこれで依頼達成だけどさ」
アルがそう言いながら近くにいた幸運兎君の背中を撫でた。
よし
「お疲れ、二人共。」
「「わぁっ!?」」
「びっくりしたぁ!?急に出てこないでよ!!」
「ごめんね、それにしてももう少し時間がかかると思ったけどあっさりだったね」
「あー、うん。運が良かっただけだし、結局ルカのファインプレーだったかな」
「でもまだまだってのも分かったよねー!あのカマキリほんといや!」
「念導蟷螂君の事だね、彼は中層だと一般的と思っていいよ。彼に一人で簡単に勝てないとここで安全にってのは無理だと思ってもいいかもね」
「そうかぁ、じゃあまだぼくらじゃきついなー、ルカ、強くなろうな」
「そうだね……あっ、ママ!」
「ん?どうかした?」
「この子たちのご飯どうにかして!」
ルカの周りには期待のまなざしでみている兎たちがいた。
「私が何かするのは不自然であまり良くないんだけど…」
「お願い!!」
「…まぁ幸運兎君たちは他の生物と関りが薄いし、特別にいいとしようか。本当に特別だからね?何度もすると生態系が崩壊したりするし危険も多いからね。」
まぁ、可愛い娘の頼みってことにしておこうか。リコリアとかにばれたら怒られそうだ。
というわけでミニ世界樹を生やしてみた。
「これでいい?兎君たちも食べていいよ」
それを聞いた兎君たちは一斉に葉っぱを食べ始めた、まぁ一日もしたら枯れるようにしてるから自然への影響も少ないだろう。少ないと嬉しい。
「凄いんだけど……凄いんだけど地味」
「なんかわーって詠唱してばーって出たりしないの?」
「そりゃ外なら魔法も併用して使わなきゃいけないから詠唱するけどここ森の中だしこれぐらい一瞬さ」
「えー」
「はいはい、そういうのはまた後でね。今日はもう帰るよ」
「はぁーい……じゃあねーウサギちゃん」
「わかった」
そうして、二人の初めてのおつかいは終わりとなったのだった。
前回に次回終わると言ったな、あれは嘘だ。
なんかあっさり終われました。
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