22 眷属クエスト 幸運兎-1
引き続きルクアリア大森林 中層南部にて
「アルー!いくよー!《ぼこぼこぼーん》!」
「なんだそれ!?《バリア》!」
ルカが放った土魔法で足元から飛び上がった土塊をアルが風魔法の応用でバリアにして防いでいる。
うん、この子たちも戦うくらいは出来るようになってそうだね。
という感じに今ルカとアルには最低限の戦闘が出来るように軽く魔法とかを教えて組み手をさせている。
魔法で手加減とかはほぼ無理なんだけど、私が見てる限り死ぬことはないし簡単に止めれるので安心だ
「決めるよー!《めらめらどかーん》!」
「ぼくに火属性は効かないぞルカ!《サーキュラ》!」
「あっ!?そうだった!!」
ルカが放った火魔法は火精霊でもあるアルに全くと言っていいほどダメージを与えられず、その隙でアルが放った風魔法による刃がルカの左肩に命中した。
「きゃぁ!?いてて……」
悲鳴をあげて尻餅をついたルカの腕はバッサリと斬られており胴体にまで亀裂が入っている。コアは私が守っているので無傷だが人間的に見て致命傷だろう。
「うん、そこまでだ。お疲れ様、ルカ、アル」
「うん、わかった」
「負けたーー!!くやしー!!」
「ルカは相性を覚えような、ルカもそうだがぼくらは父さんの影響で火は効きにくいって母さんが言ってたじゃんか」
「わすれてたの!次はないよ!」
「だったら良いんだけど……」
この子達を育て始めてもう2週間くらいになる。
生活も慣れてきたようだし今の組み手を見る限り戦闘も問題なさそうだ、ならば、うん、段階を進めようか
ルカの傷を治してから二人に提案をすることにした。
「よし、2人とも。今日からは依頼の練習をやってみようか」
「最初に母さんが言っていたやつだね、わかったよ」
「ルカも大丈夫かな?」
「??…うん!!!大丈夫!!!!!!」
よく分かってなさそうだなぁ、アルがいるから大丈夫だろうけどもさ。
「じゃあ今回は二人にはラッキーラビットの頭をなでてきて貰おう」
「うさぎ?ルカうさぎ好きだよ!」
「それは良かった、じゃあ2人に説明をしよう」
ラッキーラビット、その名の通り幸運を運ぶと呼ばれる兎だ。
彼らが生息するのは森の中でも中層の東部と西部にそれぞれ少数のみとなっている。
力自体は弱いが警戒心が強く、さらに特性として高い幸運を持っているので自らにとって危険な生物と出くわす事自体が稀な生物だ
天敵がいない生物の為その肉はとても柔らかく味も良い。人間たちの間では高級食材としてもやり取りされている生物でもある。
中層の生物の中でも珍しく危険性がないこの生物であれば最初の相手に丁度いいだろう、場所が場所だから戦闘も体験できるだろうしね
「あとは2人に見た目も教えておこう、と思ったけどそこも調べる練習にしようか」
バサバサと十冊程度の本を生やして2人に渡す、この本は王国で使われている本と内容も大体同じ……はずなものだ、この子達には対象の生物を調べる力もつけてもらわないとね。
「じゃあ二人ともこの本の中に見た目とか習性とかが書いてあるから調べて行くといい、完遂期限は……そうだねどれくらい欲しい?」
「うーん……」
「母さん、移動手段は徒歩になるのかな?」
「そうだね、それも良いんだけどまだあまり人間に見つかってほしくはないからある程度までは私が飛ばしてあげよう、そのあとは2人で相談しながら探索するといいよ。私も見てはいるけど口出しも手出しもしないつもりだから頼れるとは思わないようにね」
「わかった、じゃあそうだなぁ…ぼくは5日もあればいいと思うけどルカはどう?」
「え?えーっと……んーと…………じゃあ…10日くらい?」
「わかった、ならさらに余裕を見て12日にしよう。それでいいかな?母さん」
「いいよ、なら今から12日後、具体的に言うと288時間立った瞬間に未達成なら失敗として強制的にここに戻すからね。達成したら何か一つご褒美をあげるから頑張るようにね、他に質問はあるかな?」
「今はないよ」
「ルカも!」
「いいね、じゃあ始めてくれ」
そう言うと二人は集まって相談をし始めた、初めての取り組みだから少し不安もあるけど二人共仲良くできそうで本当に良かった。
「ルカ、ぼくはこちらの五冊を調べるからそっちの五冊を頼む。何か見つけたら教えてくれ」
「わかった!うさぎの情報を見つけたら教える!!」
「ラッキーラビットなだけでいいんだけど……まぁいいか」
さて、二人が調べ物をしている間に私は森の中に異変が起きてないかの確認でもしておこう。
ドラゴンくんは寝てるね、元気でよし
生態系に変化もなし、エルフ達もいつも通りの暮らしをしているようなので気にしなくていいと
他には…おや、これは異物君かな?浅層に初めて入るようだ。
まだちょっかいをかけるには早そうだしここはスルーかな、仲間も出来たようで何よりだ。
ダンジョンの方は新たに攻略されたものはなし、スタンピードを起こしそうなものもないので大丈夫かな。
あとは……あぁ、そうだ。異空間魔力の確認に行こうかな、うんそうしよう。
「二人とも、私は少し用事があるから離れるよ。行く時になったら呼んでくれ、いいね?」
「「わかった」ー!!」
じゃあ、少し見に行こうかな
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「ただいま、戻ったよ」
「おかえり!!!!」
戻ってきたらルカが迎えてくれた、手にはメモがある。調べたものをメモでもしていたのかな、こう言うのはアルがすると思っていたので意外だ。
因みに異空間魔力に関しては変化はなかった、ただ少し覗きづらかったのは気になるけど問題はないと思う
「ルカ、アルは?」
「アルは今は支度中!ルカは待ってるの!」
「なるほど、ならもう行く感じだね。丁度いいタイミングだったね」
ルカの格好もワンピースだったのがシャツとズボンで動きやすそうな格好に変わっている、頼まれて作ったものではあるけどこれも似合っているのでいいだろう
「おまたせ、ルカ。そろそろ行こう。」
家からアルが出てくる、こちらも着替えており動きやすそうな服装に加えて防具を付けて防御力も高めているような格好となっている、こちらもよく似合っている
加えてこちらは鞄を背負っており、ある程度の期間を過ごせるようにしている、教えたことを覚えているようで何よりだ
「あ、母さん。準備出来たよ」
「うん、そのようだね。これから行くので良いかな?」
「うん、ある程度調べたから大丈夫…だと思う。本は持っていっても良いかな?」
「もちろん、それにもう一つ渡しておこうか」
そう言って私は二本の剣をそれぞれアルとルカに渡した
アルの方は片手で振り回せる程度の大きさのショートソード、ルカの方には魔法を使う際に安定性が上がる宝石が組み込まれたダガーだ
二人とも魔法戦闘型でまだ近接戦闘には慣れていないというかそもそも私には教えられないのだがないよりはマシだろう
「ありがとう母さん、使わせてもらうよ」
「おー、なんか強そうできれー!」
「人間たちの中では比較的貴重な金属であるミスリルが使用された武器だ、これは私が生やしたわけじゃなくて人間が作ったものだけどこれから使う分にはそっちの方がいいだろうと思ってね。あぁ、盗んだとかじゃなくて貰ったものだからそこも気にしないでいいよ」
「うん、わかった」
二人は剣を鞘にしまいそれぞれ腰に装備した、重さも気になったが見る限りは大丈夫そうなので良しとする
「じゃあ東か西、どちらがいい?」
「西!!アルが西の方が良いって言ってた!」
「東はぼくらと相性が悪い魔物と会う可能性があるからね、それにライオノールに行くのなら西の方に慣れておいた方がいいと思ったんだ」
「わかった、じゃあそちらに飛ばすよ」
そうして私は二人を西へと瞬間移動させ、私自身は体を霊体化して着いていくことにした
準備はバッチリしたとは思うものの、相手はラッキーラビット、幸運兎くんだ。
残り約11日、ちゃんと見つけて撫でられるといいね。
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