1 森のおさんぽ
空は晴天、穏やかな風が吹き気温も熱すぎず寒すぎず丁度いい感じ。
「うん、今日はとってもいい日だね」
ふとそんな事を呟いた私、ルクアリアはとある大きな森の中で今日もゆったりとスローライフを楽しんでいる。
というわけではなく、この私ルクアリアはこの世界一大きな森ルクアリア大森林の意思そのものだ。
一応区分としては精霊になる…とは思うのだけど実際は不明。
森や木の精霊にも色々言い方はあるみたいだけど私はドリアードになるのかな、コダマとかキジムナーとかかもしれないけど
この森限定でなら色々出来るしもしかしたら神様みたいなものなのかもしれない
まぁなんでもいいか
そんな私はこの森の中の生物たちを見守りながら暇を持て余している。
こんな日にやる事は一つ、散歩に限る。
私自身が森なのである程度なら中の様子も把握できるんだけど、視覚や聴覚を利用して確認する方がずっといいし、何より暇つぶしになる。
人間的に表現するなら、自分の身体のどのへんが悪いとかは分かっても詳しい位置とか細かい影響や原因は分からないよねっていうのもあるけど。
あぁ、散歩ついでに昨日会った異物君の補助した影響も確認しておかないといけないか。
昨日私がいつも通り暇に襲われていた時に森の中に突然生物の反応が増えたのだ。
明かな異常事態だったのでその生物の情報を知ろうと少し記憶とかを覗いてみたらあら不思議、この世界の生物ですらないとのこと。
普段は自然を守るため生物に干渉を行わない私なのだが、完全な異物なら別。速やかにご退出願いたかったのだ。
それで私は出来る限りあの異物くんのサポートを行って森の外まで誘導した。
木々を調整したり、危ない動物とかを離したりしてね。異物が森の中で死なれると困るし。
まぁ、最後にゴミを不法投棄していったのはちょっっっっとだけ気に入らないけどね。
…地中深くに埋めなおしてやるか
そんなわけだから、私が結構干渉しちゃって森の自然に影響がないかを確かめないといけないわけだ。
私は精霊とはいえ物理的には姿とかは持たないのだけれどこういう時のために分身的なものは生やすことが出来る。
生やした今の私は人型になっており、年齢は15歳前後の女子だ。
髪はウェーブがかったミディアムヘアで、色は桜色をベースとしているがいろんな色にグラデーションがかかっていて結構カラフルな感じになっている。
服は薄い緑のワンピースを着ている。
因みにこれは春仕様なので他の季節は姿が違ったりもするのだ、お洒落さんだな私は
ま、実際は服装以外の体系とか容姿とかは自分で作れるわけじゃなくて森のイメージから出来てるので変えようがないのだけどね。例えば狼型になったら今なら全身花まみれの桜色の狼とかになるだろうとは思う。
人型の理由としては言葉を使っても違和感がないからである。
言葉は便利だ、直接的な行動を取らなくても生物を追い払うことが出来るからね。
後この姿だと視覚や聴覚が使えるからっていうのも大きい。
細かい変化っていうのは一つ一つ確認するのが大事だから。
昔は服とかよくわかんなかったから全裸だったけど会話すら出来そうになかったから仕方なくそれっぽいものをつけるようにしている。まったく人間ってのはめんどくさい生き物だなって思うよ、使う分には便利だけど
さて、そろそろ散歩に向かおうかな
まずはとりあえずここ、異物くんが飛んできた場所だ。
気になることは先に確認しとかないとね
「…んー、土の状態とかには変化なし。周りの植物や気候にも特に悪影響はないかな?あ、あー…これはなるほど変な感じになってるね。」
生物が暮らすこと自体には特に悪影響はなかったのだが、大気に含まれる魔力が異常に増えている。
魔力は詳しくないけど多分普通の魔力でもない…と思う。私は詳しくないのでわかんないな、熱の魔力とか液体の魔力とかあるんだったか。じゃあこれは空気の魔力?…うーんわかんない
私は魔力とか使えないから詳しくはわかんないし今度誰かに教えてもらおうかな、記憶を覗く形になるけど。
変な影響が発生しても困るので影響の確認が出来るまではこの辺りには生き物が入りづらいようにしてこの魔力もこれ以上広がらないように膜を貼っておこう。確か結界とか言うのだったかなこれ
さて、ここはこの程度にしておいて次は異物君が通った道を歩いてみようか、結構無理に木を動かしたから傷んでないかしっかりと確認しないといけないしね。
ゆらりふらりとぶらついて、道なき道を往くってね。
異物君が歩いた道を歩きながら、植物たちの様子を確認していく。
見える範囲は見て確認、根などの見えない部分は少し覗いて確認する。
私の能力のようなもので森の中の生物なら体調や記憶など大体の事なら知ることが出来るのだけど、一つ一つしなきゃいけないしこの森の大きさからするときりがないからある程度は視界に頼ったほうがらくなのさ
おっと、ここらの木を動かした影響で少し根に傷が付いちゃってるので治しておこう。
他はそうだなぁ、道自体も獣道っぽくなっちゃってるけど放置でもいいかな?問題が起きたらその時は対処しようか
一回散らしたせいか動物をあまり見かけないなぁ、リスや兎のような小動物や虫は時々見るけどそれこそ狼とか熊のような動物は全然見ない。時間が経てばまた集まってくるだろうしここも放置。全然戻らなければその時は少し手を加えよう。
そうこうしているうちに異物君が穴掘りしてたところまでついた。
折角だし物色してみようか。
というわけで異物君が埋めたものを掘り起こしてみた。
あったものはカバンの中に確か携帯って言うものが1つに教科書が幾つかと筆記用具と財布とか小物類。
異物君の記憶から察するにこれらを持っているってことは本当に学校に行く途中だったみたいだね、彼も面倒なことに巻き込まれたものだねご愁傷様だ
にしてもこの教科書、多分この世界の言語じゃないね。他の人間の記憶でも見たことないし
なら折角だし借りておこういい暇つぶしになりそうだし。この歴史とかの教科書は楽しそうだ。
この携帯とかいうものも見てみたいけど充電っていうのが無くなったら使えないそうなので断念。生物じゃないから私じゃどうしようもないしね
じゃあこれも一旦誰にも干渉できないようにして地中深くに埋めなおしておく、異世界の物とか自然への影響酷そうだし。
さて、
「やる事は終わり!じゃあここからは気楽な散歩をするよ!」
と言ってみてもこの後はどこに行こうか、湖でもいいし洞窟でもいいしなんだったらエルフの里に遊びに行ってもいいかも…
「いやぁ!!!やだ!!離して!!」
———おっ?
結構近いな、これは女の子の声だ。こんな森の浅いところでトラブルかな?
これは野次馬するしかないよねぇ?
よーし行くぞー!
さて、声のあったほうまで来たけども…
「離して!!離してよ!!!」
「騒ぐんじゃねぇ!!いいからついてこい!!」
「どうせ今この辺にゃ誰もいねぇんだ、諦めな」
おー、やってるやってる。
襲われているのは今の私と同じか少し幼いくらいの少女、学生かな?
襲っている方は20代くらいの細身の男二人かやかましいのが一人と落ち着いてるのが一人って感じ
これは、何だろ?人さらいかな?
とりあえず隠れて様子を見てみようか
「お前も災難だが、騙された自分を恨むんだな。そもそもその歳でこの森に入るのがバカだったてな」
「うるさい!!離して!!!」
「いい加減にしろてめぇ!!」
ガスッ
あらら、殴られちゃった
「っ!ったいわね!!女の子には優しくしなさいよ!」
「優しくするよぉ?森の人が来ないところでやった後、優しく殺してあげるからねぇ?」
「チッ!ったく…まぁそういうこったもう誰も助けなんかこねぇよ」
「…最低」
「おー、最低だよぉ俺らはねぇ?最低じゃない君は最低な俺らを楽しませて頂戴ね?」
なるほどそういう感じね、こういうの久しぶりに見たなぁ
最近ご無沙汰だったからなぁこういう人たち、わざわざ森の中に連れてくる人も少ない訳でね
おっと、奥に入っていくみたいだし追いかけてみよう・・・
———パキッ
おっと、枝を踏んじゃったみたいだ。ごめんね。
「…」
「…」
「…」
あら?もしかして私のこと見てる?ばれちゃったみたいかなこれは
うーん、あまり干渉はしたくないんだけどなぁ
ここは便利な言葉を使ってみよう
「あー…お構いなく?」
「何見てんだてめぇ!こっち来いやおらぁ!!」
「おぉ、綺麗な子だなぁ。儲けものだ、君も一緒に遊ぼう?」
…ダメかぁ
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