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2話

『踊る自分達に囲まれる状況』から、たぶん2時間後くらい、あたしは自分切り倒した木にもたれてグッタリしていた。


「はぁ~、思い付く限りで色々やってみたけど・・」


まだ日が高い。このアリエスティアだっけ? の世界が私達の世界と同じかどうかはちょっとわからないけど、地球と同じ感じだとすると私が起きたのは午前中だろね。

太陽自体は動いてた。

よくわからない所で夜になるのは避けたいかも? 本当は宝物庫の力の使い方や物凄く強くなってる自分の身体能力なんかの確認もしたかったけど、私は少し休むと、立ち上がって、周囲の様子を伺った。


「・・・」


五感も凄く鋭くなってる、風に乗って、人間の生活臭、食べ物や家畜、加工される金属のニオイなんかがした。

風上に村とか町があるみたい。


「行ってみよ。おんなじ場所でバタバタし過ぎたし」


ずっと『手の内』を他の勇者候補者? にカンニングされてたとしたらゾッとする!

あたしは一応、4つ分身を出して、連れて歩くことにした。まず先に森がある。入ったら、あたしと分身で距離を取って歩こう。

ビームとか出す能力じゃないから、保険掛けまくるしかないよっ。



森に入ってしばらくすると、なんか『スライム的なヤツ』『芋虫っぽいヤツ』『蝙蝠っぽいヤツ』『食虫植物っぽいヤツ』に次々出会して、最初はビックリしたけど、圧倒的なパワーと『5人掛かり』の物量で簡単にやっつけられた。ふんっ。

あたし強い! そして、他の勇者候補者もこれくらいできるはず。ヤバいよね?


「お腹空いたなぁ・・餓死でゲームオーバーとかありそう」


ボヤきながら森を歩き続ける。


「マック、KFC、ミスド、シャトレーゼ、回転寿司、ファミレス、はぁ~・・これがゲームなら、飲食店巡りで大食いバトルとかの方がよかったよ・・・」


もはや食べ物のことしか考えていない。ふらふらしていた、その時っ!


ドスゥッッ!!!


目の前の何も無いはずの空間から突然現れたあたしと同じような格好をした同年代くらいの小柄な男子がっ、あたしと同じような棒の武器であたしのお腹を突き刺して! 背中まで貫通させたっ!!


「げはっ?!」


血を吐くあたしっっ。


「はははっ! やったっ。やってやったぜ?! お前勇者候補者だよなっ? あの空間で顔見たぞっ? 悪く思うなよっ。俺は勝ち残」


ボフンッ。煙と共に貫かれたあたしは消えた。


「なっ??!!!」


小柄な男子は驚いていたけどっ、


「「「おりゃ~っ!!」」」


『4人の無傷のあたし達』が森の茂みや幹の陰から飛び出しっ、木を切断できるフルパワーで小柄な男子を打ち据えたっ!!


ドォンッッ!!!


「ギャーッッ?!!」


着ていた服がボロボロになって持っていた棒を取り落とし、小柄男子は白目を剥いてダウンしたっ。

うん、『木を切れるあたし達が木より頑丈』なのはわかってた。


「しゃっ! 完勝っ!!! イエーイっ」


あたしは自分同士でハイタッチをして喜びあった。


「ごほっ、ごほ・・なんだその能力! ズリぃだろっ?!」


「ズルくないよ? 自分だって姿消してたじゃん? あんなの反則だよっ。でもなんか前の方にいる感じがしたから、分身1つわざと目立つ感じで前に出してたんだ。まぁ『1体殺されただけでも』超痛かったし、死ぬかと思ったけど」


平気な顔を作ってるけど、今、吐きそうにらなってた。この身体が頑丈で回復が早くなかったら、5分の1の分身が殺られただけでも気絶してたかも?


「くっそぉ~・・殺れよ! どうせ、元の世界でも死んでたし、こっちでもスカみたいなスキルで、チビの女子に負けるしっ! あーっ!! もうでうでもいいやっ、殺せ殺せっ!!」


小柄な男子は駄々っ子みたいに言って、大の字になって不貞腐れちゃった。何コイツ~っ。


「あんた信用できないし、たぶんすぐ裏切るだろうけど。お互いもうちょいこの変なゲームみたいなののルールがわかるまで共闘しない?」


そこまで計算ずくじゃなかったけど、言ってた。正直、こっから抵抗しないコイツを棒で殴り殺すのが嫌過ぎたし・・


「はぁ?」


「だって、絶対ウチらより強い能力の人だっているし、こういう殺し合いが得意な人だっているじゃん? あの空間には大人も一杯いたし」


小柄な男子は少しの間、つまんなそうに口を尖らせて(子供かっ)たけど、身体を起こした。

あんだけボコったのにもう回復してきてるっ。あたしもすっかりお腹痛くなくなってるし、あたし達の回復力は覚えとかないと危ないねっ。


「・・わかった。契約だ。よっ」


小柄な男子は宙返りして立ち上がった。


「俺はケンタっ! 中2だっ。能力は『透明』っ。しばらくは仲間になってやるぜ?! 言っとくけど先に裏切るのは俺だかんなっ? 順番守れよっ!」


「はいはい。あたしは・・ケムコ! ケムコでいいわ。中2ね。能力は分身だから」


「今、喋ってんのが本体だよな?」


「それはどうかなぁ~?」


「ウゼ~っっ」


結構険悪で信用できないし『先に裏切る宣言』してきたけど、透明の力を持ってる勇者候補者、ケンタが仲間になった。


一応ねっ!

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