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第七話『一日中冬子ちゃんと過ごす日』

☆★☆ 冬子ちゃんとのドッグラン ☆★☆



 6月10日(土)


 冬子ちゃんとのドッグランは殊のほか楽しかった。


 最近優しく淑やかに女の子っぽくなってきた冬子ちゃんだったが、ここでは以前の子供っぽさが、また全開になっている。


「楽しそうだね」


「うんっ、すっごく楽しいっ」


 笑顔全開の冬子ちゃんは、ボールを蹴り、フリスビーを投げ、おもちゃを追う犬たちをさらに追いかけている。


 土曜日のメンバーの中でも、コーギーの『タロ』とラブラドールレトリバーの『チョコ』には特に懐かれて、冬子ちゃんの可愛いお顔は犬の涎だらけである。


 おそらく犬たちからは『友達』と認識されているのだろう。冬子ちゃんは大きな『チョコ』に押し倒されたり、やんちゃな『タロ』にスカートの中に潜られたりされている。


 今度からドッグランに来るときは、スカート禁止だな。


 冬子ちゃんの可愛いおパンツを何度も見せつけられてしまった俺は、そう心に誓った。



☆★☆ 見えた? ☆★☆



「集合」


 俺は冬子ちゃんを助ける為、犬たちを集める。


 犬たちにとって、ちゃんと俺は上位の存在と認識されているからだろう。5頭の犬たちが俺に向かってお座りをする。


「全員で取って来い」


 そう言って5つのボールをなるべく遠くに投げる。


 犬たちは喜んでボールを追っていった。


「冬子ちゃん、大丈夫だった?」


 まだ『はぁはぁ』と息が乱れている冬子ちゃんを気遣って俺は声を掛けた。


 少しだけ落ち着いた冬子ちゃんが、今度は顔を赤くして逆に俺に聞く。


「あの……見えた?」


 え? もしかしておパンツの事かな?


「な、なにが?」


「その……スカートのなか……」


 やっぱりその事だったか……


 何と答えようか悩んだ挙句、俺は正直に言う事にした。


「うん……今度からは絶対にスカートは禁止だね」


 冬子ちゃんは俯いて


「はい……」


 急に子供っぽさが消えて、元の優しくて淑やかな女の子っぽい最近の様子に戻って、冬子ちゃんはそう答えた。可愛い。



☆★☆ 賢い犬たち ☆★☆



 その後はなるべく犬たちをはしゃがせないように気を付けながらフリスビーをした。


 1頭ずつ順番に



「タロ!」


 そう指示すればコーギーの『タロ』だけが走っていく。


 フリスビーを持ち帰って来た『タロ』へのご褒美は冬子ちゃんだ。


『タロ』が大好きな冬子ちゃんにわしゃわしゃと撫でてもらう。



「リボン!」


 次はシベリアンハスキー。


『リボン』へのご褒美は、俺が褒めながら撫でまわした後であげる大好きなジャーキー。こいつは甘えん坊の食いしん坊だからな。



「マーガレット!」


 真っ黒なラブラドールレトリバー。


『マーガレット』へのご褒美も俺が褒めながらわしゃわしゃと撫でる。



「ケポクポ!」


 産まれた時は虚弱で、よく乳を吐いていたから、その擬音をそのまま名前にされてしまった柴犬の『ケポクポ』。


 こいつへのご褒美は抱っこしての撫でまわし。虚弱に生まれたからなのか、かなりの甘えん坊だ。



「最後はチョコっ!」


 濃い茶色で、チョコレート色の毛並みのラブラドールレトリバー。


 俺の一番のお気に入りだ。だが、最近のチョコは俺よりも冬子ちゃんが大好きで……


 だからチョコへのご褒美の撫でまわしは冬子ちゃんに頼む。



 この5頭はまだまだ現役の繁殖犬だ。若い。


 順番も守れるし良く指示を聞いてくれる、賢い犬たちだ。


 ドッグトレーナーの資格を取ってからの忠臣兄さんが、最初に躾けた自慢の若犬たちだ。


 それに俺も忠臣兄さんの躾の方法を目で盗んで、褒めるタイミングなどはバッチリ学習している。


「そろそろ帰るぞ」


 適度な運動は大切だが、させ過ぎてもいけない。


 だから2時間を超えては遊ばないようにしている。


 犬たちもそれを分かっているのか、素直に従ってくれる。


 俺が3本のリードを持って、冬子ちゃんが『タロ』と『チョコ』2本のリードを持って『山忠犬王』に帰る。


『一日中冬子ちゃんと過ごす日』も、もう夕方だ。



☆★☆ 幸せな日々 ☆★☆



 それからの日々は瞬く間に過ぎた。


 充実したバイトと大好きな犬たち。


 恋人の夏音との楽しいデート。


 可愛い学童たちとは平日のバイト帰りにも何人かと挨拶を交わす。


 そして本当の妹のように可愛く思う冬子ちゃん。


 一日中冬子ちゃんと過ごす日も、もう俺には欠かせない大切な予定だ。


 そしてさらに楽しみにしていた夏休みがやって来た!



☆★☆ 農家にとっての夏休みとは ☆★☆



 普通の高校生にとって、夏休みとはバカンスだったり休暇だったりすると思う。


 俺だって一応知識では知っている。


 だが、農家にとっての7月下旬から8月末と言うのは『農繁期(のうはんき)真っ只中』と言う。


 そこには、バカンスも休暇もない。


 それでも、専業農家と言うのは自営業だ。一応働く時間を自分で調節することは出来る。


 しかも俺の場合はまだ学生で、単なる家業のお手伝い。そこそこ気楽だ。


 但し、繰り返すが専業農家の夏休みにはバカンスなんかはないし、もちろん家族旅行なんかもない。


 まぁ、お盆期間中なんかは結構手を抜いてるけどね。


 それでも俺、結構農業って好きなんだ。





 


 

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