月の光に寄り添う影
夜空に輝く欠けた月
カチューシャのような孤を描く
真っ黒な黒髪の中を
綺麗に見せるように浮かぶ姿に
うっすら寄り添うように
黒い円が付き従う
本来の月の形
太陽の光が当たらずに
影になった場所
月の影
この月の影が見えるようになったのは
いつの頃からだったろうか
月へと還った彼の人を思い
夜空の月を見上げるようになってから
そう記憶している
それまで月の影は見えなかったのだろうか
子供の頃に見上げた月は
ただ欠けた月の光としか見えなかった
見えなかったのか
見ていなかったのか
敢えて知ろうとは思わない
今は月の影も見えている
光に寄り添いながら
それでいい
月の光は
どんな姿をしていても優しい