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計画の始まり

作者: 雉白書屋

 その試みを人類はパソコンやテレビ、スマホの画面の前で、熱心な者は現地で見守った。

そのロケットに内包されているのは千にも及ぶ数の小型のポッド。

 一つが炊飯器ほどの大きさのその小型のポッドには

これまた小さなジェット噴射口が備わっており

地球を出たら風に吹かれるタンポポの綿毛のように散り、宇宙を旅する。

 中身は地球の写真、位置座標、本、酒、食料、植物、おもちゃなど。

保存状態は完璧だ。

この計画の目的は言わばメッセージボトル。

宇宙のどこか遠い星の誰かに届けと願いを込めたもの。

本命の惑星探索計画は順調に進んでいる。

これはその息抜きやパフォーマンスのようなものだ。

ポッドは頑丈であるとはいえ、知的生命体のいる惑星に着く確率などたかが知れている。

 それでも白線引いて空に昇るロケットに目を輝かせる子供たちを見ると

計画はすでに成功したようなものだなと誰もが思うのであった。



 それから時が経ち、とある惑星に漂着したポッドに近づく影が。

彼らは得体の知れない物だと十分に警戒していた。

それは地球人も同じだった。

ポッドの中身がよその惑星の生態系に影響を与えてはいけないと

滅菌処理。十分に警戒していたつもりだが、それでも穴というものはあるもので

開いたポッドの前に立ち、自分が開発したとばかりに

我が物顔で唾を飛ばしながらマスコミ連中に解説、アピールする政治家。

またはテレビ番組の取材。ベタベタと触る芸能人。

学校や町、各地を回る広報活動。

実物を使いアピールしたのが仇となった。

 全てではないが、なんてことないウイルスが

いくつかのポッドの中に混入していたのだ。

『なんてことない』

無論、それは抗体、抵抗力を持つ地球人にとっての事。

彼ら宇宙人にとっては未知。脅威。

最高の保存状態が裏目に出たのだ。


 こうした出来事は複数の惑星で起きていた。

 何もウイルス云々だけの話じゃない。

 ポッドの墜落場所がいわば世界遺産。

 または枕の上にあるお偉いさんの顔の上。

多くのポッドは彷徨うか破損していたが、数が数だけにそうした事案が起きた。


 被害に遭った宇宙人たちはそれを乗り越え、そして誓いを立てた。

ポッドに入っていた情報を解読し、何年かかっても必ず復讐すると。


 こうして彼らの計画は始まり、一方でばら撒き計画も好評につき未だに続けられている。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ありましたよね、なんでしたっけ。ゴールデンレコードとかアレシボメッセージとか。実際危険性も指摘されています。何となくコロナのことも頭をよぎって、リアリティーを感じる物語で、面白かったです。…
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