帝王に謁見。歓迎会は胡散臭かった3
【帝王に謁見。歓迎会は胡散臭かった3】
いったいどのくらい経ったろうか。
途中で他の召喚者たちが帰ってきた気配がする。
なにか、嬌声が聞こえる。
だが、僕は一心不乱に解錠を続ける。
(解錠しますか? はい/いいえ)
僕はそのとき鍵の構造が頭に浮かんだ。
(はい)
(カチャリ。解錠に成功しました)
(解錠スキルレベル5を獲得しました)
よしやったぞ。
いきなりレベル5か。
高いのか低いのか。
※解錠レベル5は最高レベル
もう一方の翻訳の腕輪も試してみる。
(解錠しますか? はい/いいえ)
やはり鍵の構造が頭に浮かぶ。
(はい)
(カチャリ。解錠に成功しました)
今度は一発だ。
翻訳の腕輪をはめてみる。
そして、解錠を試すとやはり一発で解錠した。
翻訳の腕輪をはめ直す。
では、次は扉だ。
(解錠しますか? はい/いいえ)
(はい)
(カチャリ。解錠に成功しました)
このときも鍵の構造が頭に浮かんだ。
そうなると解錠が成功するようだ。
盗賊スキル様々だな。
僕は部屋の明かりを消して、ほんのちょっぴりだけ扉をあけた。
廊下から僅かに明かりがこぼれてくる。
大丈夫そうだ。
もう少しだけ扉を開けて、やはり少しだけ顔を出してみる。
廊下はろうそくの明かりで案外明るい。
周囲の気配を探ると突然、脳内に地図と赤い点滅が表示された。
(気配察知レベル3を獲得しました)
これはいわゆるマッピングか?
赤い点滅は生物だろうな。敵と考えていいんだろうか。
隣の部屋の中にも赤い点滅が表示されている。
召喚者の若者だろう。部屋の中は一人だけのようだ。
さらに範囲を広げてみる。
すると、廊下の両端に一つずつ赤い点滅がある。
おそらく警備兵だろう。
僕は見つからないようにしばらく気配を探っていた。すると、
(気配操作レベル3を獲得しました)
気配操作か。おそらく、気配を消すことができるんだろうな。
僕は気配を消したまま、廊下に出た。
大丈夫だ。
警備兵に近づいてみた。
運良く、警備兵はこちらを向いていない。
ある地点で脳内にアラートが鳴り響いた。
おそらく、これ以上近づくと敵に気づかれるんだろう。
僕は一旦部屋に戻った。
どうするか。
嬉しいことに、やたら簡単にスキルとやらを獲得していく。
城側がいうように僕たちは特別な能力を持っているようだ。
これからも様々なスキルが発現していくんじゃないか。
いろいろチャレンジしてみよう。
部屋を探索してみる。
部屋はホテルのスィートルームのように広く豪華だった。
窓、はめ殺し。
天井、壁、床。おかしな点なし。
ベッドもクローゼットも抜け穴のようなものはなかった。
トイレとお風呂がついている。そこも問題ない。
天井は折り上げ天井か。
よく見ると凹みも見える。
ボルダリングできそうだ。
僕の体力では無理そうだが、チャレンジしてみるか。
スキルが発現するかもしれない。僕は盗賊だからな。
折り上げ天井まで2m50cm程度。
なんとか届くな。
僕は天井に飛びついてみた。
すると、
(身体強化レベル3になりました)
よし、スキルが進化したぞ。
再度ジャンプするとさっきよりも楽に天井に手がとどく。
凹んだ部位に掴まりぶら下がってみた。
なんとかいけそうだ。
廊下を見渡し、廊下も折り上げ天井であることを確認した。
これを伝っていくか。
僕は部屋に戻り、裸足になって折り上げ天井に掴まり移動練習を繰り返した。
1時間ほど繰り返すと身体強化レベルが4に跳ね上がった。
まるで蜘蛛のように移動ができるようになってから、廊下に出た。
気配を最大限に消し、折り上げ天井に掴まり慎重に移動した。
警備兵の頭上付近に来た。
心臓の鼓動が警備兵に聞かれそうだ。
しかし、アラートは鳴らない。
(いけるぞ)
さらに5mほど伝ってから、僕は部屋に戻った。
1時間ほど天井を這う練習をし、
身体強化がレベル5になったところで長い1日を終わらせ眠りについた。
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