表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚されたら指名手配されたので逆襲する  作者: さかいたいち
グリス国都編
1/84

召喚された?

【召喚された?】


 僕は斎藤喬志(たかし)、28歳。

 1月生まれ山羊座のA型。

 建設会社の現場を経て営業職をしている。


 建設関連の会社はほぼすべてがブラックなんじゃないかと思う。

 うちは結構大手の会社で、ブラック追放とかで週休二日をうたっている。

 でも、実質休みは日祭日だけだ。

 繁忙期は、それさえも怪しい。


 労働時間も夜の8時前に帰れるなんてことはめったにない。

 ノー残業デーを設けてはいる。

 でも、こっそり残ってたりする。


 仕事が終わらないのだ。


 接待後、酔った頭で徹夜で見積もり作成なんてしょっちゅう。


 営業部はまだましで、現場だと飯場にずっと泊まり込み。

 1日数時間の睡眠で寝てる以外は仕事、という人も珍しくない。



 ただ、今夜は会社を追い出された。

 無理やりノー残業デーにさせられたのだ。


『8時前に帰るなんて何ヶ月ぶりだろ』

『斎藤さん、まっすぐ帰ります?』


 そういうのは同僚の加藤だ。

 3つ下で、たまに飲みにいく仲だ。


『最近、体調悪いんでまっすぐ帰るわ』

『そうですか、じゃあボクは誰か誘って遊びにいきますね』


 元気だなー。

 加藤は体育会系で酒は強いし、一晩ぐらいの徹夜は問題ない。


『明日は酒の臭いさせてくるんじゃないぞ』

『サウナでばっちりっすよ』


 加藤は手をひらひらさせて部屋を出ていった。

 家庭をもてば遊びもなくなるのかもしれない。

 しかし、僕たち独身者は家に帰っても虚しいだけだ。

 だから、夜の街に吸い込まれがちになる。

 僕も、飲み屋街から会社に出勤しているような時期があった。


 ただ、最近は飲むのは週1ぐらいに減った。

 遊ぶのに疲れ始めてきたのだ。

 というか、飲んでても虚しさが増す気がする。



 早く家に帰ってどうするかな。

 ビール飲んで寝てしまうか。


 仕事が忙しすぎるせいで、世の中で何が流行っているかとかまるでわからない。

 学生時代には結構多趣味だったが、今はほぼ無趣味である。


 学生時代から続いているものとすれば、ゲームだ。

 僕はアウトドアもインドアも等しくやるほうだった。

 しかし、仕事が忙しいせいで結局ゲーム以外の趣味はやらなくなってしまった。

 それも、スマホゲーム。

 最近は異世界ゲームがマイブームだ。

 課金も結構している。


 ただ、スマホゲームは腰を落ち着けてするもんじゃない、という気がする。

 スマホゲームはちょっとした時間の合間の暇つぶしにするもの。

 それが僕の習慣になってしまっているからだ。


 じゃあ何するか。

 僕はボーとしながら、会社の駐車場に向かった。

 僕の車が止めてあるのだ。

 車はSUV。

 最近は、たまに車中泊したりしている。

 まだ趣味と言えるほどではないが、これが結構面白い。


 単に山へ行って車でお泊りするだけでも新鮮なんだが、

 最近では食料は狩猟・採取物を中心にしたり、

 石鹸なんかも天然由来のもので自家製のものを持ち込んだり。


 こういうのをなんていうのかな。オーガニックな生活?ナチュラリスト?

 或いはスローライフというのか?

 スローライフってどういう意味だろう。

 田舎でまったりってことだろうか。


 なんていうのかはわからないが、意識高い系のつもりはない。

 店に行けば簡単に手に入る物を、極力自分の力で手に入れる。

 そこに驚きと喜びを感じているのだ。


 ボロボロのバイクや車を新品同様に再生する動画がネットに上がっている。

 中には数百万回もの再生を稼いでいるものもある。

 多くの人はあの動画を憧れを持って眺めているんじゃなかろうか。

 あれと似ている気がする。



 このまま車中泊してみるか。

 などとつらつら思いながら、車の鍵を取り出し解錠する。

 ピッという音とともに、車のランプが点滅する。


 と同時に、突然地面が白く光りだした。

 眩しさに顔をしかめると、複雑な文様を伴う円が浮かび上がった。


(なんだ?まるで魔法陣みたいだ)


 僕は瞬間的にスマホゲームを思い出した。

 と思う間もなく、僕は自分の体が発光していることに気づいた。


 僕は急速に意識が遠ざかり、闇に吸い込まれていった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ