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病室のすみで  作者: 高美
8/8

永遠に

最終話まで、お読み頂きありがとうございます!


こちら、70年後の松本誠のお話です。

〜70年後〜


学生の頃、通い慣れていた病室のすみで私は五年間

時を過ごしていた。


「村田さん...行きたいところがあるんだが」


「え? どこですか?」


「この近くの海だ」


 隣で点滴を変えている看護師に目を向け、窓の外からぼんやりと見える海を指さした。


「ダメです! 体に障ります!」


「最後のお願いだ...」


 物悲しげに微笑む俺に困った顔をし、渋々承諾してくれた。


「....分かりました。先生に聞いてみますけど、あまり期待しないでくださいよ」


「ありがとう」


 窓の外を見ながら待っていると、車椅子を押しながら医師と一緒に戻ってきた。


「松本さん...20分だけ外出許可取れました」



ーーーーーー



 海沿いの道路に車を止め、俺は看護師に車椅子を押されながら海を見る。

 医師は、近くの車で待機していた。


「松本さん。なんで海なんですか?」


「昔約束したんだよ」


「待ち合わせでもしてるんですか?」


 久しぶりの海の匂いを胸いっぱいに嗅いでいると、浅瀬の方で足をつけて無邪気に遊んでいる人影が見えた。その人は、笑顔で俺に手を振っていた。


「綺麗だな〜」


嬉しそうに遊ぶ君は、やっぱり綺麗だった。


「え? ええ、綺麗ですね。海」


「やっと君に海を見せられた。遅くなってごめんよ」


 君は首を横に振り微笑む。

なんだか今日の君はよく笑っている。


「松本さん...誰と勘違いしているんです?」


 ポケットから手紙を取り出すと、俺の手紙を君が受け取るかのように強い風が吹き、海の方へと飛ばされる。それを見届けた俺は、手の力が尽きてしまった。


「あっ手紙が... 松本さん? 松本さん! 先生! 急いで来てください! 松本さんが」


「村田くん! 松本さんの家族に電話してくれ!」


「たしか松本さんは独り身です」


「ああ、そうだったか...」


「先生...見てください。松本さんの顔」


「ん? ああ、海が好きだったんだな」


ーーーーーーーー


正人へ


いつまでも君を愛してる。


最後の看護師さんとお医者さんの会話は、主人公が亡くなり、もうこの状況を説明する人はいないというのをイメージしているので、二人の会話だけにしてみました!


最後までお読み頂きありがとうございます!

感謝、感謝、感謝。

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