気持ちに気づく
新しく点滴を差し替える為、ふくよかな看護師の星崎さんが部屋にやってきた。
その姿をボーッと眺めていると声をかけてきた。
「正人君、最近明るくなったわね。お見舞いにくる子のおかげかしら?」
原因は一人しか思い付かず、誠の姿を思い出して笑顔で答える。
「悔しいけどあいつのおかげです」
「ふふっ 友達は大事にしないとね」
「友達...おれ誠のこと友達だと思ったことないです」
否定したおれに、星崎さんは不思議そうに首を傾げた。
「え? 仲良さそうに見えたけど違うの?」
「誠は友達だって言うんですけど、おれには違和感しかなくて、もっとこう...」
その違和感の正体を言葉に表しきれないおれは口ごもっていると、星崎さんが答えを出してくれた。
「...好きってことかしら」
「好き...ああ、そうです。好きなんです」
違和感の正体が分かったおれは、素直に納得すると、星崎さんはニヤニヤした顔をしていた。
「あら、もっと恥ずかしがると思ってたのに素直ね」
「自分の気持ちには素直ですよ」
「正人君にも好きな人ができるなんて、人生何が起こるか分からないわね〜」
感慨深そうに話す星崎さんを見て、にっこりと微笑む。
「...人生何が起こるか分からないなら、長生きできる奇跡も起こりますかね」
「ええ、そうね」
「誠と海に行く約束したんです」
「行けるわよ...必ず」
柔らかな声で優しく勇気づけてくれたことで、おれも子供のようにワクワクする。
「楽しみだな〜」




