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冷やし上手な彼女  作者: カラスヤマ
20年後 次女『レイア』運命の人を見つけました!
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7

次の日。


大学で午前の講義を終えた後、俺はそのままの足でバイト先の倉庫に向かった。

5階建ての巨大な灰色倉庫の各階には、大量のエロ本やグッズがジャンル分けされた金属棚にびっしりと収められていた。俺たちバイトは、それらを注文者のリストを見ながら、一つ一つ検品。その後、検品した商品を段ボールに詰めて発送…という流れを繰り返すのが主な仕事だった。


時給が良いのと、シフト調整に融通が利く点を気に入り、このバイトを始めてもうすぐ一年半になる。


「か、か、かか、カイちんは、この女どう思う?」


「う~ん……。顔は可愛くて好みですが、胸が大きすぎませんか? 俺はもう少し小ぶりが好みです。デカけりゃいいってもんでもないし」


バイト先の二年先輩。医大志望の浪人生、菊間きくま先輩がエロ本の背表紙を俺に見せながら話しかけてきた。


「わ、わ、ワシはこのくらい大きい女が好きだっ! 思い切り、この女の胸にむしゃぶりつきたい!! プルプルプルプル!!!」


「ちょっ!? 声が大きいっ! みんな、見てますって!!」


俺は慌てて、狂いだした先輩の口を封じた。周りのパートのおばちゃん達には、白い目で見られている。

だが、バイトリーダーのオジさんは,彼の凶行には見て見ぬ振りをしていた。

もし同じことを俺がしていたら、説教が一時間は続くだろう。


後になって知ったことだが、この先輩の母親が経営している会社が出版業界でかなり幅を利かせており、この工場自体、その会社から恩恵を受けているとのことだった。


「プルプルプルプルる――!!!」


「だから、それやめろって!」


「やめろ? 先輩だぞ、ワシは」


「あ…ごめんなさいです」


「許すっ! カイちんはワシのお気に入りだからな!!」


「はぃ。どうも…」


疲れるなぁ、この人の相手。バイト業務より。


………………………。

…………………。

………。


五時間後。


「じゃ、じゃあ、カイちん。ま、まま、また明日」


「明日は、休みですよ。次は、来週の火曜っすね」


「そ、そっか…」


分かりやすく肩を落とし、ガッカリした先輩は、派手なリュックから本を取り出すと無理やり俺のカバンにそれを押し込んだ。


「お土産だぁ~。社畜よ、受け取れ~」


先ほどのエロ本だった。


「先輩、マズいっすよ!! 盗んだら、さすがに」


「ちゃんとオッサンに金は払ったぞ。さっき、その本使ってトイレで二回抜いたから、それはお前にやろう。ありがたく、受け取れ!!」


「……はい。ありがとうございます」


拒否する体力がもう残されていなかったので、そのまま受け取った。先輩と別れた後、すぐにスマホで業務完了報告。即日申請して、一時間後には、今週のバイト代が全額銀行振込されていた。


よしっ!


これで、買えるな。


駅ビルで目的のモノを買った後で、足早にアパートに帰った。優しい光が外に漏れていた。


「おかえりなさい。今夜は、肉野菜炒めと餃子スープだよ」


可愛いエプロン姿のレイアが俺をお出迎えしてくれた。相変わらず、死ぬほど可愛い。


「え、料理を作ってくれたんですか? ありがとうございます」


「うん。あまり海人の負担になりたくないし…」


下を向いて、呟いたその姿。

可愛いぃ~。涙が出そうなほどの可愛さ。


夕飯後。

俺は、レイアにスマホをプレゼントした。


「え、スマホ? なんで」


「いや、あの…。いつでもレイアとは連絡取りたいからさ。レイアだって、連絡したい人いるだろ? 家族とかさ」


勿論、このスマホは俺の名義で契約した。さすがに脱獄囚がスマホ契約は出来ないだろうし……。



ブワッ!!



埃が立ちそうな、すごい勢いでレイアに抱きつかれた。そのまま有無を言わせず、キスをされた。


「どうしよう。好き過ぎて、アナタのこと殺しちゃうかもしれません。ごめんなさい…本当にごめんなさい……」


「ごめんで済まないって。レイアが言うとシャレにならんので、やめてください」



そのあと、ベッドまで我慢が出来なかった俺たちは、床で抱き合った後、狭い風呂場でシャワーを浴びた。

寝る前の歯磨きをしていたら、部屋が小刻みに揺れ始めた。


レイアの全身から黒いアノ、良く分からない暗黒物質が漏れ出ていた。

レイアは口が開いていた俺のカバンから取り出したエロ本を見ていた。


「あ! それは違くて」


「カピカピですやん。外で愛読してる」


「だから、それは!!」


「フフフッ…。冗談だよ~。先輩に無理やりカバンに入れられたんだよね」


「え…どうして、それを知ってる?」


レイアの目を見つめていると、すべて見透かされると分かった。


「千里眼」


「千里眼!?」


「ウソだよ」


「ウソなの!?」


でもやっぱり彼女は、控え目に言って、人間を超えた存在だと思う。


まぁ、超絶可愛いからいいんですけどね!!

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