表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冷やし上手な彼女  作者: カラスヤマ
20年後 次女『レイア』運命の人を見つけました!
78/83

2

アパートに帰ってからも嫌な緊張が体を支配していた。


あれって、呪いの人形なのでは?


テレビ番組やホラー映画で見るような人間を呪い殺す類のものだったら、かなりヤバイ。安易に関わってしまった過去の自分をビンタしてやりたかった。


その夜。普段はあまり飲まない酒を浴びるように飲んだあと、気絶するように布団の中へダイブ。


…………………………。

……………………。

………………。



しばらくして、無音をかき消す突然のピンポーン。


「…………」


ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。


「…………………」


ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。


普段ならこんな深夜にチャイムなど鳴らない。嫌な予感しかしない。

俺は布団をかぶり、無視することを決めた。


ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。


「勘弁して……ください……静かに地獄にお戻りください……」


ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。


あまりにもしつこいチャイム攻撃。次第に恐怖よりもイライラが勝ってきた。


俺は飛び起きると、玄関まで走り、すぐにドアを開けた。


そこにはーーーー。



「こんな深夜にごめんね」


「んん? え…え………ダレです?」


知らない美少女が、ニコニコ笑顔で立っていた。とりあえず、あの呪いの人形でないことに胸を撫で下ろした。


「人間の姿になれるのは、深夜のこの時間だけだからさ」


「は?」


腰まである艶々した長い髪。モデルのようにスラッとしていて、顔は雑誌の表紙レベル。さっきまでとは違う緊張が襲う。


「あの……」


「先ほどは助けていただき、ありがとうございました。私は、あなたに助けてもらった呪いの人形でーーす!!」


「はぁ!?」


「……ここだと近所迷惑だから、部屋に入って良い?」


「え、いや、あの」


戸惑う俺をどかし、強引に部屋に入ってくる女。横切る瞬間、フワッと甘い良い香りがして、意識が途切れた。


「一人暮らし? 彼女さんは…………いないみたいだね。はぁ~良かったぁ……」


「あ……とりあえず、そこ座ってください」


部屋の電気をつけて、小さなテーブルの前に座ってもらった。


「キミも座ったら? ずっと立ってないでさ」


「え、はい。じゃあ……」


目の前で見た女は、今まで見てきた女とはオーラがまるで違っていた。田舎の祖父母に紹介したら、腰を抜かすレベルに輝いて見えた。


全身から漏れる大人の色気。また儚げな雰囲気もあり、普通の男なら入れ食い状態だろう。


「さっき、呪いの人形がどうとか言ってましたけど……」


女は、目の前のスナック菓子をチラチラ見ている。


「あ、いいですよ。勝手に食べて。今、何か飲み物用意しますね」


俺は、立ち上がると小さな冷蔵庫からリンゴジュースを一番綺麗なグラスに入れて、女の前に置いた。


「ありがとう」


なぜかうつむき加減の女は、恥ずかしそうに俺をチラチラ見ていた。


「……ハハ…スゴいな、都会は………。呪いの人形って、人間になれるんだ……なるほど(?)」


「あ、少し誤解があるみたいだから言っておくと私は正真正銘、人間だからね。魂を自由にあの人形に移動出来るだけ。幽体離脱の進化版みたいな感じかなぁ。スゴイでしょ?」


「ん?  いや、ナニソレ? ますます頭が混乱する。わけ分からな過ぎる」


「私の家って『神華』って言う財閥なんだけど…知ってる?」


「神華? いや、全然知らないっす」


「そっかぁ…。君って、世間知らずの田舎者だもんね…。神華の人間はね、普通とは違う特別な力をみんな持ってるの。例外なく。んん!?……ってか、美味しいね、このジュース。おかわりくださいな」


女から空のグラスを受け取り、再び立ち上がる。


「でも…そもそもどうして人形になろうと思ったんですか?」


台所から声を投げかける。

もう恐怖は消えていた。


「それは、もう少し仲良くなってから話すよ。あ、自己紹介まだだったよね。私は『口美 レイア』これから宜しく~。神華って名字嫌いだから、昔から口美って名乗ってるの」


「はぁ……。俺は、(みなみ) 海人(かいと)って言います。まぁ…これからがあるのか分かりませんけど、とりあえず宜しくお願いします」


………ん?


口美?


あれ……何か聞いたことあるな、その名前……。


口美レイア……。


「えっ!?」


振り返ろうとした俺の前に白い女が立っていた。全く足音がしなかった。幽霊のように近づき、その細い両手で優しく首を撫でられた。思わず、グラスを落としてしまった。


「あ、あ、あ…」


「フフ……君って…可愛いなぁ」


冷や汗。震えが止まらない。もしかしたら、失禁してるかも。


俺を見つめる女。

これが本当に人間の目なのか?

こんなに冷たくて、暗い目は見たことがなかった。


「そうだよ~。私は、全国指名手配中の凶悪犯。連続殺人犯の口美 レイア。……ちなみに海人ってさぁ、童貞?」


意識が途切れ途切れの状態で、女に操られるようにベッドに誘われた。


「さっき言ったでしょ~? 恩返しだって。私には、今はこれしか出来ないから……ごめんね」


優しく倒され、馬乗りになった女にキスされた。


夢と現実の狭間。


桃源郷。


とにかく、気持ちが良かった。


「……私。やっぱり、キミが好きかも」


連続殺人犯に好かれてしまった。

バッドエンドまっしぐら。すでに詰んでしまった人生。


俺を大学まで進学させてくれて、今も仕送りまでしてくれる祖父母に申し訳なさすぎて…………………でもやっぱり、エッチは超絶気持ち良くて……。


「…ゃ……もう一回しよ……」


「はぁ……はぁ…はぁ…」


ほんと、ワケが分からなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ