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私達は、追ってくるパパから逃げ続けた。私を背中に乗せたこの男は、すごい速さで階段を駆け上がる。
「貴様! 止まれっっ!!」
「それで止まるアホはいません!」
男は私の体を支えながら、左手で小さな針を放った。行く手を阻む銃を持った大男の首に突き刺さる。
「すみませんが、とっても緊急事態なので辞表は後で郵送しますっ!!」
「びゅっ!?」
大男は、口から血の泡を吐いて地面に倒れた。
「もうすぐ地上だから頑張れ!」
男は、十三個目のドアを思い切り蹴り飛ばした。
『っ!?』
「はぁ~~…………もう朝…か…」
私達を眩しい光が包み込む。目の前には、見たことのない景色が広がっていた。
青い空…………。
その空を自由に羽ばたく鳥。
優しい風が、私の全身を撫でていく。
「この先で下ろすから。もう少し我慢して」
『はぃ………』
これが、外の世界ーーー。
すべてがキレイで新しく。
涙が止まらなかった。男のシャツを濡らしていく。
「よしっ!」
男は、私を背負い直すとまた走った。
『………』
その時、誰かの視線を感じた。
私だけに見える角度。建物の影からスッと姿を表した、銀色の髪の女性。優しく笑いながら、指先を口に当てていた。
『……………』
「どうした? 大丈夫?」
男は、全く気付いていない。
『はい……。大丈夫です』
女性は吸い込まれるように、音もなく、私達が壊したドアから建物の中に入っていった。




