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冷やし上手な彼女  作者: カラスヤマ
20年後 長女『モモ』彼氏と同棲しています!
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12

三週間後。僕達は、高級ホテルから出て格安アパートに引っ越した。

モモちゃんは文句一つ言わず、僕についてきてくれた。


引っ越しそばを食べた後、狭いソファーでくっつきながらバラエティーを見ていた。


「あ、言うのが遅くなったけど新しい仕事見つかったよ。早くお金貯めて、もっと広い所に引っ越すから。だから、それまで我慢してね」


「えぇっ!? もう仕事見つかったの? 嘘でしょ? ゲームと現実、ごちゃ混ぜになってない?」


「それくらいの区別つくわ……。研究施設の夜間警備の仕事なんだけどさ。今、人手不足みたいで面接一分ですぐ決まった。タイミング良かったみたい」


「おめでと………」


「頭がガクガク揺れてるけど、大丈夫?」


妻は、涙目で僕の胸元にすがりついた。


「くっつける時間……減っちゃうね……」


「ハハ。そんなに心配しなくても大丈夫だよ。基本的に残業もないみたいだし。前の仕事より、よっぽどホワイト。二人の時間は、そこまで減らないから」


「夜勤でしょ。幽霊さん出るよ?」


「ホラー大好きだから、むしろ大歓迎!」


「変態さんも出るよ?」


「勤め先は、超一流企業の『バブルフィーダ』だよ。セキュリティ万全だし、そんな変な輩はそもそも侵入出来ないって」


「………簡単なお弁当作るから、持って行ってね。お腹すいたら軽く摘まめるように………」


「ありがとう」


モモちゃんの頭を撫でようとした。


ビュッ!


その瞬間。凄まじい速さで腕を背中側に捻られた。


「いだだだだだだだぁーーー!!!! 痛っ……。なんでぇ!?」


「貴様は、そんなんで本当に警備なんて出来るのか? ビルの中は、血に飢えたモンスターだらけだぞ。油断するな!」


「……あ、うん。気を付けるよ」


「よしっ! そろそろ一緒に風呂でイチャイチャするぞ。油断するな! 気合い入れろ!」


「はいっ!!」


僕達は、軍隊の行進のように風呂場に向かった。



でもーーーー。



この時のモモちゃんの言葉が、あながち間違っていなかったことを僕は後日、嫌というほど思い知ることになる。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


深夜一時。


【バブルフィーダ施設内 第八隔離エリア】



静かな部屋。

私以外に誰もいない。天井から、声がする。パパの声だ。


「何か欲しい物ある?」


『…………』


「そう……。何かあったら、パパに教えてね」


『はい』


「じゃあ、次の悪者退治もお願いね」


『はい』


ビーーーーーッッ!!!!


目の前のドアが、開いた。少しだけ外が、見えた。私が知らない外の世界。

産まれてから、ずっと私はここにいる。この白い部屋にいる。部屋の外は危険だから、絶対に出ちゃダメだとパパに言われている。いつものように私の部屋に悪者が入ってきた。


私は、悪者が嫌い。


パパが、悪者が嫌いだから。


私が彼らを退治しないと、世界はもっとダメになってしまうとパパが前に言っていた。


この悪者は私を見ると、


「あなたを倒せば、ここから出られる。あなたを殺せば……」


『……?』


意味が、分からない。でもこの悪者も前の悪者と同じことを言っていた。


私は、少しだけこの悪者と話をすることにした。


『ここから出て、どうするの?』


「えっ! 何、これ!? 言葉が頭に響いてくる」


『ここから出て、どうするの?』


「……………そんなの決まってるじゃない。家族のとこに帰るの! あなたにもいるでしょ? 心配してくれるパパやママが」



カゾク?


ママはいないけど、私にはパパがいる。まだ一度も会ったことがないパパ。いつも声だけ。


パパは、家族?


分からない。


「ごめんなさい。あなたには、悪いけど。私は……。私は……もう帰りたいのよ!!」


悪者は、いつものように首に大きな注射を突き刺した。中の緑色した液体を流し込む。


十秒もしないうちに悪者の体が、だんだんと大きくなる。


「だがら………死ん…デ……」


私を襲おうと向かってきた。鋭い歯。爪。尖った耳。


『やっぱり……。悪者は、みんな一緒』


私を傷つけようとする。仲良く出来ない。



ピギュッ……。



私は、思い切り悪者の顔面を殴った。すると悪者の頭から、ブリュッと脳ミソが飛び出て、目玉や良く分からない血の塊が、部屋に散らばった。


あ~ぁ。また、部屋が汚れちゃった。


「良くやった!! さすが、パパの娘だ」


『パパ……。パパは、私の家族?』


「あぁ。もちろん」


パパ……?


なんで嘘をつくの。


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