表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冷やし上手な彼女  作者: カラスヤマ
世界で一番危険な彼女
35/80

出発

スーツに着替え、頬をピシャリと叩き、気合いを入れた。


「よしっ! 魔王退治に行くか。世界に平和を取り戻さないとな!!」


「ひっどい言い方……。私の父親に対して」


文句を言いながらも、俺の肩を揉んでリラックスさせてくれる七美に感謝。


マンション入口に、高級外車が何台も停まっていた。心が近づいてきて、俺の服装チェックをしている。


「なかなかその服、似合ってるじゃん。うんうん。いいね~」


なかなか俺の側から離れない心を引き離す卯月さん。暴れる心の頭を思い切り、殴っていた。


「天魔。いい加減にしなさい。このバカが困ってるじゃないですか」


「バカって……。笑顔でそれ言うあなたも相当ですよ……」


俺と七美は、それぞれ別々の車に乗り込んだ。

七美は、卯月さんの愛車、限定モデルのアストンマーティンに乗り込み、俺を置いて凄い勢いで消えてしまった。俺は…………心が運転するマセラティの前でまだ棒立ち。不安しかない。


「いやいや、無理じゃね? そもそも心さ、免許持ってないだろ?」


「失礼な奴だな!! 免許くらいあるわ。さっさと乗れ。夜になっちゃう」


仕方なく乗り込んだ。隣から、「あれ? アレ?」みたいな声が聞こえたけど、何とか発進し、高速に乗ることが出来た。


心がくれたお茶のペットボトルを飲んだら、乗り心地の安定感から、睡魔に襲われ、寝てしまった。



【夢を見たーーー】


小さな桜の花びらが、俺をからかうように鼻先を横切った。


「忘れ物ない? ハンカチ、ティッシュ持った?」


「持ったよ。ってか、子供じゃないんだから………。行って来る。そういえば、全然姿見ないな。心は、またサボり?」


「さっきまで普通に携帯ゲームして掃除サボってたけど、今はマコちゃんの遊び相手になってくれてるよ」


「そうなんだ。真琴に変なことしないように見張っててね」


「うん。………それより、いつものは?」


「あぁ」


重なる唇。愛する七美の小さな体が浮くくらい強く強く抱き締めた。



「あのさぁ、イチャイチャするなよ。ガキの前で」


「「 っ!? 」」


慌てて離れる俺達の前に、呆れ顔の心がいた。オモチャの拳銃を持つ娘の右手を優しく握っていた。


「パパ……おしごと?」


「うん。なるべく早く帰ってくるからね。心とママの言うこと聞いて、良い子で待ってて」


「うん。分かった。……あっ、そうだ! 幼稚園でパパにお手紙書いたから、後で読んでね」


そう言うと、娘は俺にカエル型の可愛いメモ用紙を手渡した。カラフルなクレヨンで大きく書かれていた為、内容がすぐに分かってしまった。


『パパ、がんばって』


この場の甘い雰囲気に流され、涙まで出そうになった為、俺は娘の頭を優しく撫でると足早に屋敷を出た。


「行ってらっしゃい。お土産絶対忘れるなよ~」


背中で感じた、俺だけの幸せ。

こんなに幸せで良いのだろうかと、少し不安になった。


門の外では、黒服を着た人間が何人も俺を待ち構えており、皆頭を下げ、外車のドアを開けた。



あの地獄のような後継者争いにギリギリのギリで勝利した俺は、正式に神華財閥の長になった。



闇の王にーーーー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ