表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冷やし上手な彼女  作者: カラスヤマ
世界で一番危険な彼女
22/80

愛した女

泣いていたーーーー。


俺が。


私が。



怒声と銃声。血の香り。飛び散る肉片。あっちでもこっちでも死体が転がってる。


本当に、ここって日本かよ………。



「どうして、来たの?」


「今週、暇でさぁ」


「結婚式に招待した覚えないけど?」


「………酷いよな、お前。元カレでもさぁ、せめて結婚することくらいは教えてくれよ。二川さんがいなかったら……。番条さんが記憶を戻してくれなかったら、俺は死ぬまでお前のこと忘れてた」


「今すぐ帰って。お願い……。ここにいたら、死ぬから」


「帰る時は、お前と一緒だ」


「この状況見ても、まだ分からないの? 無理だよ。無理に決まってるじゃん。このホテルは今、世界で一番危険な場所になってる。これ以上、彼………夢神さんを怒らせないで。今ならまだ、私が彼に頼んで、アナタだけでも助けてもらうから」


「俺は、お前とここを出るんだよ。必ず。その為に今、卯月さん達にも協力してもらってる。二川や番条の危ないお仲間にもこの戦争に参加してもらってる。今さら、後戻りなんか出来ない」


「殺されるよ。みんな……全員…殺される……」


「かもな。でも、みんな俺とお前の為に命をかけてここに来た。集まった。覚悟は出来てる」


「アナタは、誰よりも神華の恐ろしさを知ってるはず。奇跡的にここから出れても死ぬまで彼らに追われる身になる。いくらバカでも、それくらい分かるでしょ」


「前に座ってるのが、結婚相手か? ハハ……すげぇ、イケメン……。その隣が、七美の両親?」


「これ以上、バカなことしないでよっ! お願いだから……」


俺は、七美を無視して歩く。目の前に座っている悪魔までーーー。俺の命を全方位から狙っているのが分かった。


「この度のご無礼、大変申し訳ありません。えっ……と……さらに無礼を重ね、恐縮なんですが、今から娘さんを誘拐します」


『青井君。キミは、ここから生きて出られないよ。娘の言う通り、大馬鹿者だ。私達とあちらの夢神さんを敵に回して、助かるわけないだろう』


黄金のマスクを被っていて、父親の素顔が分からない。


「バカは、どっちだよ…………。なんで……。アナタ達は、まだ座ったままなんですか? 今、大事な娘さんがワケ分からない、こーーんなバカ男に拉致られそうになっているのに」


『……………』


「どうして、さっさと動かないっ!! 何でだよ………助けようとしろよ……。大事な娘なんだろ? 男の格好させるくらいに……。なんで……。アンタ等の……そういう所が昔から………死ぬほど嫌いなんだよ……」


七美の父親は、ようやく立ち上がると俺に装飾銃を向けた。


『愚かな賊よ。最後に言い残したことはあるか?』


「パパっ! やめて!! この人を殺さないで」


神華の屈強なボディーガードに拘束された七美。



ごめん。


卯月さん。二川……番条……。



みんな、ごめん。


こんなに俺達の為に動いてくれた。今も血を流して戦ってくれてるのにーー。


「七美………。彼女の心の声をもっと聞いてあげてください………。苦しみを一緒に共有してください。お願いします。俺が言いたいのは、これだけです……。大事な式をメチャクチャにしてしまい、すみません……」


俺は頭を前に出し、両親の前で土下座した。昔、親父と屋敷の門前でした土下座を思い出した。



なぁ………親父。


やっぱり、親父は間違ってたよ。



「タマちゃん……」


七美はさ。


少なくとも俺が愛した女は、悪魔なんかじゃなかったよーーー。



『さようなら。青井君』



ダァンっ!!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ