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転生して女の子!?恋なんて絶対無理!  作者: 東雲草
ジェレミー・ブリアック編
7/30

Story 初恋 × 元遊び人①

 俺が選んだカードは……



 ¨ジェレミー・ブリアック¨



 とりあえず、気が合いそうで友達として、仲良くなれそうだし、あの中だと、妥当な選択だと思う。

 ……恋人っていうのが、どうにも、想像できないんだけど、この選択が、どういう風に影響するのかも分からないし、まぁ、様子を見ながら、大人しくしておこう。


 光に包まれたはずの、俺は、気がつくと自分のベッドで眠っていた。辺りはまだ薄暗い。


(……夢、だったのかな)


 ぼんやりと考えながら、俺はまた、夢の中へ戻っていった。


 翌朝、見事に二度寝してしまい、マリーにまた、叩き起こされ、髪も服も適当なまま、馬車に放り込まれた。


 怒りのマリーに制服のボタンすら、付けてもらえなくて、リボンとかも、よく分からないけど自分で付けた。

 髪は髪質がふわふわしているのが幸いして、適当にとかせば、なんとなく落ち着いたが、結ぶのは、洋服よりもっと難しくて、こちらも適当に紐で縛った。


 馬車通りで下ろされると、前を歩くオレンジ頭が見えた。どうやら、ヤツは遅刻の常連らしい。


「よー!ジェレミー、おはよー」


 声をかけずに、後ろを歩くのも気まずいので、一応挨拶はしておく。


「んあ?レイチェルか、はよ…って!ええ!?」


 ジェレミーは、俺を見て、真っ赤な顔をして、口をパクパクしている。


「おい!レイチェル!なんて、格好しているんだよ!」


「んだよ、朝から、うるせーな」


 令嬢がうるせーとか言うな、こっちに来い!と言われて、通りの木の陰に連れてこられた。


「いいか!とりあえず、ちゃんと服を着ろよ!」


 真っ赤な顔で、横を向きながら、注意してくるジェレミーに言われて、よく見ると、俺のワンピースの前ボタンは、段違いになっていたり、所々ばかっと空いていて、下着まで見えていた。


「あら」

 

「あら、じゃねーよ!おっっ、お前馬車の中で何していたんだよ!」


「え?寝坊しちゃって、侍女にちゃんと着せてもらえなくてさー。自分でやったら、上手くいかなくて。参ったなー、なんで女の服ってこんなに面倒なんだよー、とりあえず全開にしてやり直すか……」


「待て!こんな人目のある所で、バカなことはすんな!」


「じゃこのままで……」


「いいわけないだろ!ちょっと、クソ、もう知らないからな!貸してみろ」


 ジェレミーは、段違いの場所を、上手く調節しながら、穴が開かないように、ボタンを留めてくれて、ついでに、リボンまでちゃんと結んでくれた。


「へぇー、上手いもんだね。ジェレミー慣れてんな」


 褒めたつもりだったのに、なぜかジェレミーに睨まれてしまった。


「レイチェルは、恥ずかしいとか、そういう気持ちねーのかよ」


「んー、うち、両親忙しくて、ほとんど一人だったから、いつも、適当だったんだよね。確かに、その辺の感覚ないのかも」


 そう言うと、ジェレミーは、なんだか気まずそうな顔をした。

 気を使わせるつもりはなかったので、明るく言ったのだが。


「そうか、うちは、小さい妹が二人でいるからさ、着替えとかは、慣れてるから……その…」


「うん、ありがとう!助かったよ。ほら、もう遅刻だけど行こう。悪かったな、時間遅くなっちゃって」


「あぁ、俺は、別に。いいよ、いつもだし、朝は、なかなか起きれねーんだ」


 時間は過ぎていたが、一応、急いでいる体で、二人で小走りで、校舎へ向かった。


「ったく、今日いたのが、俺だったから良かったけど、気を付けろよ」


「うん、寝坊しなきゃ大丈夫なんだよね」


「あー、それに関しては、俺も強く言えないわ」


 二人で笑いながら、教室の前で別れた。

 ジェレミーは、普通に良いやつだ。実に、良い友人になれそうだ。


(友人?あっ……なんか、選んだんだっけ……)


 カードを選んだ記憶はある。夢でなければ、何かあるのだろうかと思ったが、普通に友人として過ごした感じだった。


(んー、こりゃ恋が始まりそうもないね)


 仕方ないので、情報収集といこう。


 わが社の優秀な部下、リュカに、ジェレミーについて聞いてみた。


「ジェレミー・ブリアック様ですか。そりゃ、知っていますよ。派手な外見で、ちょっと怖そうで目立つ方ですが、誰にでも気さくに接してくださると、生徒の間では評判が良いですね。特にオーブリー様と仲が良くて、お二人とも剣術の大会では、ルシアン王子に次ぐ腕前ですね」


(なんか、もう、友人でいいんじゃね)


「どうして急に、ジェレミー様を?まさか気になるとかですか?」


「内緒」


 リュカはずるいとか、ひどいとか叫んでいたけど、そのまま置いてきた。


 なぜなら、俺は職員室に呼ばれていたからだ。


「えー!空き教室の掃除ですか!?だってまだ…2回目なのに…!」


 なんと、遅刻常習者は、ペナルティがあるらしく、俺は教師から、お掃除係りに任命されてしまった。

 回数をアピールして粘ったが、2回目からは、逃れられないそうで、泣く泣く引き受けることになった。


 放課後、指定された教室に行った。

 今は、物置になっているが、今後使う予定というとこで、荷物の移動と、清掃を任された。


「マジかよこれ…、ゴミ屋敷じゃねーか」


 長年使われていない、学習用具だか、箱だか、教科書だか、もう色んなものが、うず高く置かれていた。


「おいおいおいー、先生達、ここに適当にぶっこんだんだろ!ふざけんなよー!」


 モップを振り回して、全部叩き落としてやりたい衝動に駆られたが、引き受けたことは、キチンとやる性分なので、黙々と作業を始めた。


 頭の上に、箱を乗せて、片手に、でっかい地図を持って、移動していたら、階段でジェレミーとばったり会った。


「え!?レイチェル?何してんの?」


 ジェレミーは慌てて、箱を持ってくれた。


「ジェレミー……、聞いてくれよぉ、うちの担任、鬼でさ、私、お掃除係にされちゃって、今一人で荷物運んでんの」


「嘘だろ、これを、令嬢一人に任せたの!?鬼過ぎるだろ」


「出来るところまででいいって言われたけど、こういうの、ちゃんとやらないと気がすまなくて」


「ふーん、レイチェル、そういうところ、真面目なんだな。よし!俺も手伝うよ!というか、遅刻魔は俺の方だし」


 そう言うと、ジェレミーは教室に行って、手際よく、箱を分け始めた。


「予定とかないの?大丈夫?」


「いや、へーきへーき!」

 

 さすがに、全部は終わらなかったが、重いものは、ジェレミーが担当して運んでくれて、俺は掃除を担当して、最初よりは、見違えるほど綺麗になった。


「やったぁー!これなら、先生喜んでくれるね!」


「………レイチェルさ、ペナルティとか言って、体よく仕事押し付けられたワケじゃん。よくそういう風に、思えるよな」


「そりゃ頭にくるし、大変だったけどさ。私、人に喜んでもらうの、好きなんだよね。それに、汚いところが綺麗になるって気分良いし」


「…………」


 いつも、ペラペラとよく話すジェレミーが、やけに静かになってこちらを見ていた。


「ジェレミー?」


「え!?いっっいや、なんでもねー」


 何だか、慌てた様子で、そっぼを向いてしまった。


「そうだ!ジェレミー今日手伝ってくれたから、お礼しないとな」


「いーよ、そんなの」


「なんでも言って、体力には自信ないけど」


 ふと、考え込んだジェレミーが、じゃあ…と言った。


「今度の休みの日、うちに来ないか?」


「いいよ、予定ないし」

 

 じゃ決まりといって、ジェレミーとは、そこで別れた。


 教師に報告に行くと、大変喜んでもらえた。もちろん、ジェレミーの名前も出して、二人でやったことも伝えた。


(休みの日の予定なんて久しぶり!っていうか、友達の家に行くなんて、初めてじゃね)


 俺はもう、カードの事とか忘れて、純粋に友人との交流を楽しみ始めた。



 □□□



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