抒情詩片01
「流れる星」
空にしがみついていた星たちが
耐え切れず流れ落ちていく
輝いていた記憶を白く燃やしながら
地上に落ちてくる頃には
星たちは自分が空で輝いていたことなど
覚えてもいない
流れ落ちた世界では星たちは言葉を失い
衝動に任せ、消えてしまった輝きを取り戻すように
深い緑の森を駆け回っている
だけど、夜になると
理由も解らず泣き出して
森中の花々や木の葉を濡らしてしまう
空にしがみついていた星たちが
またひとつ
耐え切れず流れ落ちていく
「天使の仕事」
銀の翼を持つ天使の手から
神様から預かった大切な箱が
深い緑の森へ落ちていった
かわいそうに
天使は泣きながらその箱を探したけれど
森のどこにも、箱はなかった
冷たい森の闇も
木立たちも、鳥たちも
誰一人、それを知るものはいなかった
やがて、天使は神様に呼ばれると
まぶしそうに空を見上げ
一度も森を振り返ることなく
空の世界に帰っていった
森の中で
天使が翼を羽ばたかせるたび
小さな星屑が舞い上がった
森の中に
流れ落ちた星たちを
もう一度空に返すために