銃を撃ってみよう
「なんで、女になってんだよ!?」
僕は目の前の出来事が理解できず叫んだ。ヨウについてはもちろん、自分が女になっている理由が分からなかった。
「なんでって、そういうゲームだからとしか……」
「は? どういう意味だそれ」
まるで意味が分からない、このゲームはただのFPSゲームじゃなかったのか?
「このゲームは『Battle Girl 』、通称バトガ、女の子になって戦うFPSゲームなんだ、男のアバターは選べない。」
「なんでそんな変なゲームを勧めたんだよ!」
とんでもない変態ゲームだ、女のアバターしかない時点でおかしいのに、加えて幼女限定なんて正気じゃない。
「無料なんだから文句言うな、ほらっ」
唖然としていると、軍隊が持つようなアサルトライフルを渡された。
「すげー、本物の銃だ……」
僕は感動と同時に少し緊張した。
「あの的に向かって撃ってみろ。」
ヨウが指で人型の的をさす、どうやらあれを撃てばいいらしい、僕は早速銃を撃とうとするが、あれ、どうやって構えるんだ? もたついていると
「全然なってねぇーな」
ヨウが声を掛けてきた。
「こうやって待つんだよ」
後ろから抱きつくような感じで指導される、
(中身がヨウとはいえ、金髪の可愛い女の子に抱きつかれると意識してしまう……)
ドキドキしながらも、指示された通りに、銃を肩にくっつけるようにし、グリップを左手で持ち、スコープを覗き込むように構える、
「よし、撃ってみろ」
パパパっと思ったより軽快な音が鳴る。それと同時に、銃口から放たれ弾丸が、的の胴体あたりに当たった。
「おおー」
初めての発砲に感嘆の言葉が出る。
「よし、次はあの動いている的を撃ってみろ」
指が差す方角を見ると、横に等速で動いている的があった。僕は銃をきっちり構え、狙いを定めてから撃った、しかし、弾は的のやや後方に当たってしまった。スコープの真ん中に入るように撃ったはずなのに……
「動いてる的は、動きを予測して、やや前の方を撃たなければいけないんだぜ」
ヨウがしたり顔で解説する。成る程と納得した、今度は前の方に撃つように意識してトリガーを引いてみる、すると、カカンと鉄と鉄がぶつかる音が聞こえた。どうやら当てることができたみたいだ。
「んまぁー、様にはなってきただろ」
なんとかチュートリアルは、クリアしたみたいだ。
「よし、マッチング行くか!」
ヨウは元気よく言った。
「マッチングって?」
よく分からないので尋ねてみた。
「実戦だよ実戦、実際に他のプレイヤーと戦うんだ」
ついに銃撃戦ができるのかと嬉しくなる反面、まだ撃つ練習をした方がいいような気がして不安だ。
「まだ、早くないか?」
「いや、銃の撃ち方が分かれば上出来でしょ、俺も見てるだけなのに飽きてきたし」
お前が飽きてきただけだろと訝しげな目でみてると
「まぁ、やばかったらカバーしてやるから安心しろって!」
と、背中を叩かれながら言われた。不安がないこともないが、どちらというと未知の世界への期待の方が大きい、最悪こいつが助けてくれるみたいだし、僕は期待を胸に、マッチング参加ボタンを押した。