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異百年戦争  作者: 鈴木颯手
第一章【王立士官学校】
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第二話:シャルルの過去

今日の授業を終えて図書館へと向かう途中のシャルルはふと学園の中央にある花畑に赴いていた。学園では補助科目で使用されるものもあるため様々な種類の花が植えられていた。中には危険な花もあるが基本的に少数しかない上にこの花畑に来るのは手入れの清掃員か恋人同士位のため問題は起きていなかった。


そんな様々な花が咲き誇る花畑にシャルルは心が癒されていくのを感じながら近くのベンチに腰を下ろした。


「…ふう」


心地よい風を体で感じリラックスしたようにベンチに体を預けていく。遠くでは生徒の声が煩わしくない程度で聞こえシャルルはそれを聞きながら花畑の花を眺める。


そこへ一匹の蝶がふらふらと儚い動きでシャルルの前にやってきた。蝶はゆっくりとシャルルの膝の上に止まり羽を休めるように羽をゆっくりと動かしている。黒と黄色の模様が美しくもあるが捕まえればすぐにその命を終わらせてしまう程に儚い蝶の姿はシャルルの心を清くしていく。


そんな蝶の姿に笑みを浮かべるとふと、これまでの事を思い出す。シャルルは目を閉じこれまでの経緯を思い出していく。






☆★☆★☆

僕ことシャルルは前世の記憶を持っている。それもこの世界とは別の今よりも発展した世界の記憶を。


当初は変な記憶がある程度の違和感であった。それを感じたのはまだ二歳の頃である。それからは少しずつ記憶がよみがえり初め6歳になる頃には完全に前世の記憶を思い出していた。勿論この事を知っているのは誰もいない。今まで誰にも話した事なんてないしたとえ教えたとしても変人扱いを受けるだろうしね。6歳の当時でも前世の記憶のおかげかそのくらいの事は理解できたよ。


前世の世界はとっても平和だったらしい。記憶をあさればこっちの世界じゃ見た事もないような建物や高い塔、鉄で出来たとても早い乗り物。そんなたくさんの記憶が見えてくるよ。


そして記憶の通りなら僕が住んでいる場所は元の世界ではフランスと呼ばれていた場所にいるらしい。そして十三世紀から十五世紀くらいと言う事も何となくわかった。でも、そんな事を知っても意味なんてないしあっちの世界ではなかったこともある。


その一つとして魔術があげられる。魔術は空気中の魔素を集め術式に魔素を注ぐことで使える物だ。種類は攻撃に仕える魔術から日常生活で使える魔術もあるけど基本的に使える人はそんなにいない。僕が住んでいるこの国、ガリア連邦王国では魔術が使える物は卑しい存在であると言われている。最近はそんな事も無くなって来たみたいだけど一昔前前は魔術が使える物を魔女として大量に処刑していたらしい。男でも魔術が使えれば魔女って言われていたみたいだけどその言い方はどうなのかなと母に教えてもらった時は思っていた。


けど魔術は神父様が使えなければいけない必須能力だから一部の神父様を除いてこの国では神父様が大量に殺されたらしい。そのせいで東にある領地に住んでいる教皇様がお怒りになり当時のガリア王を破門にしたらしい。


この世界にはキリスト教が存在しない。統一神話と呼ばれる神話が一般的みたいだ。初めて聞いたときはギリシャ神話みたいだなと思ったけど。


キリスト教ではないにしろこの世界でも宗教は大きな力を持っている。だから破門されると言う事は簡単に言えば統一神話を信じている人を敵に回すと同じことだ。中には国の事情により友好関係を維持するところもあるかもしれないけど基本的に破門されれば国が立ち行かなくなる。だから当時のガリア王は慌てて謝罪して国内で神父様だけではなく魔術を使える人の処刑を禁止したみたい。


まあ、前世の記憶を持っているとは言っても僕も統一神話を信じているし神への御祈りを毎日欠かさず行っている。立派な信徒さ。


統一神話:この世界で広く信じられている神話。神が世界を創造した五千年前から人間が自立し魔王によって滅びを迎えそうになるまでの二千年前までの話。地域によって認識の違いがあるがほとんどが同じ内容。

ガリア連邦王国:西欧に位置する連邦制国家。一応王制を敷いているが貴族の力が強く今一つまとまりに欠ける。魔術後進国の一つで魔術を卑しい者としている。その為国内にいる神父を除き魔術師はほとんどが戦力外。ブルーニュ大公国とルターニュ公国を属国に持つ。

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