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魔法少女×七十二。  作者: はすた
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エピソードⅠ 俺、魔法少女にスカウトされる。その8

 妹の明日香には痛々しい妄想癖がある。


 ゲームやアニメでお馴染みの魔法が本当に存在しているとか、神々や魔物も本当にいるんだ――と、信じて疑わないしね。


 所謂、現実世界と二次元世界が脳内で一緒くたになっているってワケ……。


 とまあ、そんな明日香の目の前に喋る兎――ウサギウス、ハニエル、ヤス。


 それに喋るアヒルのアフロディーテと喋る烏の沙羅が現れたワケだ。


 当然、明日香は狂喜乱舞する――と、思ったんだが、意外にも冷静な反応を見せるのだった。


「ふむ、喋る動物との出逢い……これは地球が邪悪な宇宙人や異界の超越者に狙われている兆しなのかもしれないわね!」


「ほらきた、その流れ!」


 さ、流石は中二病!


 絶対に言うと思ってたよ、アハハハ……。


「とにかく、地球の危機を救うヒーロー……いや、ヒロインを探すためにやって来た正義の使者なんでしょう?」


「主、妹さんは妙なことを言い出しましたね」


「つーかさ、丁度イイから魔法少女にならないかってスカウトしたら、あっちゃん?」


「それもいいわね。魔法少女は欠員が多いしね。その穴埋めも兼ねて――」


「ちょ、明日香をスカウトするのかよ!」


「うん、なんだかんだと、普通の人間には理解できない私達の言葉を理解できるようだしね」


 うへぇ、後悔しても知らないぞ……。


 明日香は見た目は美少女だけど、中身は……とにかく、魔法少女にスカウトしない方が正しい選択だと俺は思う。


「そこのお嬢さん。魔法少女にならない?」


「うん、OKだよ、喋るアヒルさん☆」


「ちょ、即答かよ!」


 ア、アホだ、こいつ……す、少しは考える時間ってモノを知らんのかァァァ~~~!


「魔法少女になって地球を救う……そんな夢がマジで叶いそうだしね!」


「あ、ちなみに、君のお兄さんも魔法少女のひとりだ」


「え、マジで? でも、なんで……兄さんは男よ?」


「ん~……これでOKかな?」


「わ、変身……ちょ、勝手に変身したぁ!」


「わお、兄さんが女のコになった⁉ ムフフフ……」


「おい、笑うなって!」


 う、うおお、勝手に変身したッ……いや、性転換した……魔法少女アモンの姿に……ぐ、ぐぬぬぬ、しかも飛鳥の目の前で⁉


 おいおい、俺は任意で変身させられるのかよ、お前らァァァ~~~!

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