エピソードⅠ 俺、魔法少女にスカウトされる。その6
登場人物追加
・沙羅――はぐれ使い魔を自称する喋る烏
・アンドロマリウス――魔法少女の一人。アモンこと健太を師匠と呼ぶ。本名は朝比奈陽菜。
「アモン先輩……いえ、アモン師匠! 探していました! 私を弟子にしてください!」
「で、弟子ィィ! ウ、ウプッ……無駄にデカい胸が俺の顔面に……く、苦しい!」
「主、そうは言いますが口許がニヤけていますよ」
「そりゃ、嬉しいだろう? 兎である俺もデカイ胸は大好きだしな!」
む、むう、弟子にしろ……だと⁉
そう言いながら巨乳眼鏡の美女抱きついてくる。
こ、こいつは魔法少女アンドロマリウス……え、なんだか矛盾しちゃいないか?
そ、その前に何が目的だ⁉
「先輩とか師匠って言いながら、俺に近づいてきたのは、何が目的だ!」
「さっきも言いましたけど、弟子にしてもらうためですよぅ」
「ホントに?」
「はい、天地神明にかけて嘘偽りを言っていません」
「主、大丈夫ですよ。なんだかんだと、そこ女は嘘を吐いちゃいません。私の兎の魔眼が、そう言っています」
「そ、そうなのか……じゃ、じゃあ、一応、信じておこう」
兎の魔眼……嘘を見抜く魔力でも放出でもしているのかぁ?
ま、まあ、一応、ウサギウスの物言いを信じておこう。
獣は人間より第六感が優れているって聞くしな。
「わーい、ありがとうございます、師匠!」
「な、なあ、どうでもいいけど、お前の方が年上じゃないか?」
「あ、それは気にしちゃいけません。でも、それが気に入らないのなら……よし、こんな感じでどうです?」
「う、うおー! 十歳は若返ったァァァ~~~!」
どうでもいいけど、アンドロマリウスは魔法少女って年齢じゃない。
なんだかんだと、俺よりも少し年上だから二十代半ばだろう――う、眼鏡はそのまんまで十四、五歳くらいの姿に若返ったぞ!
外見年齢の操作が得意技なのか⁉ いや、魔法少女形態なのかも――。
「師匠、私のことは陽菜って呼んでください!」
「え、その名前って本名?」
「はい、私の本名は朝比奈陽菜です。アンドロマリウスは魔法少女名です」
「その前に、何故、男の俺が魔法少女だってことを……」
「あ、知りませんか? 魔法少女界では有名ですよ。男性が魔法少女に選ばれたって――」
「は、はあ……」
「ついでにですけど、魔法の力を使えば性転換もあっと言う間ですからね。そんなワケです。これから増えていくでしょうね。アモン師匠と同じ男性なのに魔法少女に選ばれるモノやスカウトされるモノが――」
むう、俺って魔法少女界では有名な存在なのね……な、なんだか嫌な話だな。
俺は目立つが大嫌いなんだ……中学生の頃、酷い目に遭ってね。
それ以来、なるべく目立たないように――と、心掛けているんだ。
「ところで、俺とお前を含めて魔法少女って七十二人いるんだろう?」
「はい、ですが今のところは二十人ちょいってところですね、師匠」
「なんだ、それじゃ七十二人全員がそろったワケじゃないんだ」
「そんなワケで知り合いのスカウトマン曰く、師匠のような男性も対象みたい。あ、ところで大人の私と少女の私ではどっちがいいでしょうか?」
「うーむ、どっちかっつうと少女の方かな?」
「なるほど、主はロリコンでしたか――」
「ロ、ロリコンじゃねぇよ!」
魔法少女は七十二人存在する――が、今のところは二十人弱のようだ。
で、なんだかんだと、アンドロマリウス――本名、朝比奈陽菜の話てでは、魔法少女を七十二人集めるためには、スカウトマンが俺のような男にも声をかけているようだ。
その前に、俺はロリコンじゃないぞ!
それだけは言っておく!