エピソードⅠ 俺、魔法少女にスカウトされる。その3
うん、魔法少女なワケだし、男の姿のままではいけないよな、絶対に――。
故に、俺は性転換させられてしまったんじゃないだろうか――。
多分、俺が今いる迷宮図書館とやらの連中の手によって――。
ああ、しかし、なんてこった……最悪だ、最悪すぎる……こ、これじゃ帰宅もできねぇよ……って、どうやって帰宅すればいいんだ?
ここは現実世界と兎天原という異世界の境界線にあるらしい迷宮図書館の内部なんだろう?
そんなワケで、どこかに現実世界に通じる通路がある筈だ……間違いない。
さて。
「魔法少女について単刀直入に言うわよ。魔法少女は七十二人いるわ。んで、現実世界と兎天原を行き来しながら、百年に一度、襲来する〝人類の敵〟を駆逐するのが使命!」
「またまた、そんなご冗談を……ハハ、冗談は顔だけにしろよな!」
「冗談ではありません。ほらほら、私の顔を見てください。嘘をついているように見えるかな、かな?」
「ム、ムムムッ……と、とりあえず、信じるとしよう。オセと名乗る魔法少女と遭遇し、そいつが襲ってきた――という体験談があるしな」
「ああ、付け加えると七十二人いる魔法少女、皆々がフレンドリーな間柄ではないと言っておきましょう、主」
「他の魔法少女は敵だと思えばいいってワケ?」
「ええ、その通りです。それに魔法少年という連中とも敵対関係にあるのです」
「…………」
ちょ、マジで……敵が多すぎじゃないかぁ!
なんだよ、まったく!
困った困った、超困ったぞ、俺!
「と、とりあえず、元の世界……現実世界に戻りたいんだけど……」
「いいでしょう。それじゃ案内しましょうか、現実世界へと通じる通路へ」
「お、おう!」
「あ、その前に、この画像を見てもらいましょうか」
「む、それはタブレット型パソコン……ん、クレーター? まるで隕石の衝突によって出来あがったクレーターみたいだ」
「違うわ。アモンさん、アナタの専用武器である天駆ける螺旋の女神が暴発によって出来たモノよ」
「そ、それって、あのドリル?」
「ええ、その通りよ。で、アモンさんは天駆ける螺旋の女神の暴発に巻き込まれて瀕死の重傷を負いました」
「主、本当に危なかったんですよ。ここに運び込まなければアナタは死んでいましたし……」
「マ、マジかよ……」
そ、そうだ、思い出したぞ!
オセって魔法少女に襲われた時、俺は対抗策として専用武器――天駆ける螺旋の女神というドリルを召喚したことを――。
が、そんな天駆ける螺旋の女神が暴発し、俺は巻き込まれて――と、ここまでは覚えている。
俺は、その際、瀕死の重傷を負ったのか、それで迷宮図書館に運び込まれたようだ――ん、ということは、迷宮図書館内には医療設備があるってことかな?