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第八話 周知の事実になっている

吸血鬼。

空想上の生き物の筆頭。

人間の血を吸い、若さを保ち続ける。

にんにくと十字架と太陽の光が苦手。

そして吸血鬼に襲われた人間は吸血鬼に

なってしまう。


マリーはイデアを吸血鬼と呼んでいた。

そしてイデアの一連の行動。


陽の光を恐れ、マリーの血を飲んでいた。


まぁ、そういうことなんだろう。


なんとなくただの人間ではないとは

思ってたけど、吸血鬼って。

なんでもありだなぁ。


疲れる。


とにかくマリーをイデアに押し付けることには

成功した。

俺は俺のすべきことをするまでだ。


まだ昼前くらいかな。

でも通りには人が増えてきている。

朝のマリーとの会話でこの世界では、

元々俺がいた世界のような

別の世界があることが周知の事実になっているらしい。


だったら親切な人に聞けば帰り方くらい

教えてくれるじゃないか?


俺はガンガン話しかけて情報を探った。

というか、


「よその世界から来たんだけど、

家に帰りたいんだよね。どうすればいいかな?」


とばか正直に尋ねてまわった。


「市役所にいけば?」

俺が尋ねた全員がそう答えた。


そういうわけで市役所に向かった。

この世界観で市役所ってさぁ。

なんかなぁ。でも日本語的にはそれが

一番合うんだろうなぁ。


市役所の中に入る。

床がピカピカだ。市役所前の通りから、

地面が石畳になっているので、

市役所の中に客が入れ込んでしまう土が少ないんだ。

もちろん掃除もちゃんとしているだろうけど。


どこにいけばいいのか分からないので、

とりあえず一番近い受付のカウンターまで

言って事情を話す。


ひっつめのお姉さんが相手をしてくれた。


「異界に帰るとなると、この役所の規模じゃ

手続きも実際の移動も出来ないんです。

北の方にひとつ街が有ります。

そこなら異界人管理専門の窓口がありますので

そちらに行っていただければ」


あらら。

ちょっとめんどいな。

でも帰る手段があるということがわかった。


「いくらくらいかかるのかな?」


「異界の方で有れば、お金は頂きません」


へぇ、ラッキーじゃん。


さらに得た情報は、


『北の街に行くなら、

荷馬車に載せてもらうといい』


『二日あれば十分着く、

でもそのときは《お礼》が必要になる』


というものだった。


俺はお姉さんにお礼を言って、

役所を出た。

教えてもらった行商人のたまり場にいって、

片っぱしから声をかける……つもりが

一人目からOKが出た。

ちょろすぎる。


「もう出ようかなぁーってさ!

ちょうど思ってたとこでさ!

あーんたついとるねーえ!」


訛りが強いじいさんだった。

じいさんは本を運ぶのが仕事らしい。

彼は行商人というか、

出版社の雇われ運送人というところなんだと。

この町に本を運んで、

また本社に戻るらしい。その経由地点に

北の街があるんだって。


食料と毛布だけのガラガラの荷台に

載せてもらう。


「ほんじゃ、いくねー!」

じいさんが元気に声をかける。


「はーい」

返事をする。


俺をのせて、荷馬車かゆれる。

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