普通教
アジアのはての そのまた東
ちいさな島国がありました
国教は 普通教
「わが国の国教 普通教
国民は皆 敬虔な 信者でございます」
普通がいちばん
普通でなきゃだめ
和をみだすひとは 死刑
空気よめないひとは 追放
あなた 普通じゃないね
その一言 言われたら
もう おしまい
へんなひと 普通でないひとは 異端として 宗教裁判にかけられます
だから 善良な国民はいつも びくびくおどおど
みんなおんなじなら 平和です
みんなおんなじなら 平等です
みんなおんなじなら 楽ちんです
あれやこれやと 違う意見を議論する 時間がおおいにせつやくできるのです
合理的な 宗教なのです
そして 合理的にせつやくしたじかんで
国民は もっともっと たくさんはたらけるのです
ふつうのくらしを まもるため
朝昼晩
皆いっしょうけんめい 祈ります
今日もいちにち 敬虔な 信者でいられるよう
ふつうのひとで いられるよう
我が国の国教 普通教
国民はみんな 輪になって
力あわせて おくるよ 電波
同調圧力電波で あなたを コントロール
いい感じに コントロール
普通であるよう コントロール
だけど教祖様は一体どこに?
ほら あそこに
誰かが指差すと
後ろに「常識」と「世間体」をお供に従え
教祖様がやって来る
姿見えない教祖様
だけど なんかきっとすごく えらいひとなんだよ
普通教を 信じなさい
そうしていれば まちがいない
普通でいれば それがしあわせ
みんなおなじなら みんなおなじように しあわせ
しあわせでないとしたら それはあなたが おかしいからなのです
ふつうじゃないから なのです