弾性着衣(スリーブ、ストッキング)
圧迫療法には、包帯のほかに弾性着衣を着用する方法がある。
腕の方はスリーブ(日焼け防止に腕につけるアレと似たものを想像していただければ)グローブ(手袋)等。脚の方はストッキング、フットキャップ(五本指靴下のようなもの)等である。
日中活動時にこれら弾性着衣を着用され、夜間に包帯を巻く、という患者さんが多い。
軽症の方なら、弾性着衣とマッサージでケアは十分な方もおられる。
リンパ浮腫を早期発見された方は、これでおさまるタイプが多い。
包帯を巻かずに済むのである。包帯でケアをしなければならない方とくらべると、天と地の差である。
かなりラクである。
早期発見される患者さんが今後もどんどん増えていってほしいと思う。
ある程度むくみが進行してしまった患者さんにとっては、弾性着衣は改善よりはその状態を維持する、というものになる。昼間、弾性着衣を着用して状態を維持し、夜間に包帯で改善させる、という使い方だ。
夜間に弾性着衣を着用するのはNGとされている。日中活動時に着用することを考えてつくられたのが弾性着衣で、就寝時に着用すると身体を締め付けすぎてしまう危険性がある。
ちなみに包帯は巻いて就寝してもOKである。その患者さんの身体に合せて巻いたものであるからだ。弾性着衣とは万人向けであるため、包帯のようにオーダーメイドで圧をかけたりはできない。
さて、この弾性着衣。医療装具である。
普通の市販のストッキング、スリーブを想像してはいけない。(メディキュッ〇、スリムウォー〇どころではない)
圧迫をかけることが目的である。
びっくりするほど生地は厚く、固く(ストッキングというよりはタイツ、という感じ)非常に着用は困難である。(困難でなければ効果はない)
皆さん、またもやドン引きである。
――え、これを毎日着ける(はく)んですか?
そしてまた当然の質問をされる。
――夏も、コレ、着けるんですか?
着けてほしいんです! このくそ暑い湿気の多い日本の殺人的な夏に!
包帯は無理かもしれないんですが、これだけは毎日かかさず着用してほしいんです!
ほとんどの患者さんは、弾性着衣だけは夏も欠かさず着用していらっしゃる。
リンパ浮腫の方は、常時圧迫、が基本である。
圧迫していない時間=むくみが悪化する のである。
なので、起床時アサイチで包帯をとったなら、即座に弾性着衣を着けるのが基本である。
入浴前までもちろん着用する。
お風呂に入った後は、包帯を巻く。……これがしていただきたい理想のケアである。
浮腫がそれなりに進行した方というのは、圧迫をしないのはお風呂とマッサージをするときだけ、が理想である。
皆さん、最初の試着のときは汗だくでふうふう言われ、着用される。それほどキツイのである。
着用を助ける補助具はいろいろある。ゴム手袋をはめて着用するのが一般的だ。
手のひらに突起や滑り止めがついているような手袋(炊事用のゴム手袋)をはめ、生地をなでると生地がついてくる。それを利用して生地を上にあげて着用する。
素手で生地を引っ張って着用していると腱鞘炎になられる方もおられる。
皆さん何回か数をこなすと、コツがつかめ、スムーズに着用できるようになる。
一番大変なのは夏場だ。
汗をかくと、生地が肌にひっついてしまいなかなか上がってこない。
朝起きて、部屋が涼しいうちに。
可能なら、ベビーパウダー等を肌にはたき、滑りをよくして。(業者さん的には、生地の目に粉がつまってしまうと品質が悪くなるのでおすすめできないということだが)
一気に着用する。
ほとんどの患者さんは毎朝、大変な思いをして弾性着衣を着用し、この暑い日本の夏を毎年、気が遠くなるほどの忍耐力で耐えていらっしゃるのである。




