表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンパ浮腫  作者: 手古奈
3/22

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

 リンパ管系(リンパ管・リンパせつ)がどういう役割をしているかというと、身体の免疫めんえきを司っている。

 動脈や静脈と同じ、循環器系じゅんかんきけいに属する。


 ご存じ、心臓から出た動脈は身体中の組織に酸素、栄養をゆきわたらせる。反対に静脈は、組織から二酸化炭素や老廃物ろうはいぶつ等を受け取りまた心臓に戻って……という循環を繰り返している。

 この時、心臓からスタートする動脈が身体中の組織に行く分を100%だとすると、受け取る静脈分は90%である。残りの10%がどうなるかというと、これがリンパ管の担当分である。

 残り10%とは、静脈に入れない分子の大きな物質(タンパク質、細菌等)を多く含む組織液そしきえきである。この10%がリンパ管の中に入ると、リンパ液となる。

 リンパ管には途中リンパ節というものが点在する。リンパ節はいわゆるフィルターのような役割を果たし、リンパ管で運ばれてきた細菌等を無害にする。そして、リンパ液をきれいな状態にして心臓へと運ぶのだ。(心臓の手前で静脈と合流する)


 だから、リンパ管の形成や機能に異常があった場合、手術等で損傷した場合、リンパ液の流れが滞り免疫力が通常の人よりは下がってしまう。風邪をひきやすかったり、ケガが治りにくかったり、疲れやすかったり、疲れがとれにくい……といったことがおこるのだ。


 怖いのは、蜂窩織炎ほうかしきえんと呼ばれる炎症である。

 皮下組織ひかそしきという部分に細菌さいきんが入って暴れ回り、炎症を起こす症状である。

 一般の方でもなりえるが、特にリンパ浮腫の方に起こりやすい症状である。皮下組織の部分にリンパ液が滞っている状態なのだからなりやすいのは当然だ。


 症状としては悪寒おかん等、風邪のひきはじめのような症状から始まる場合が多い。

 炎症を起こしている部分が発赤し、熱感ねっかんをもつ。

 体温が38度以上の高熱に上がる。(普段から体温が低い人、高齢者はここまで上がらない場合もある)

 ほおっておくと、敗血症はいけつしょうとなり死に至ることもある。毎年、何人かは命を落とされているそうである。

 蜂窩織炎ほうかしきえんの疑いがあれば、休日でも夜間でも救急に飛び込んで治療を受けるのが適切だ。

抗生物質こうせいぶっしつの投与を受ける)


 一般の方でもおこりえるが日本では少ない。外国では多いそうである。

 リンパ浮腫の患者さんがインドに行った際、蜂窩織炎ほうかしきえんをおこし病院に運ばれたらスムーズに治療を受けられたそうだ。インドでは見慣れた多い症状だったのだろう。


 この蜂窩織炎と呼ばれる炎症は厄介なものであり、状態が悪化する原因となる。自分の身を守ろうとして身体が炎症を起こしている部分にじゃんじゃん体液を送り込むのだから、普段よりさらにリンパ液の回収が追い付かずむくみは悪化する。

 繰り返す人が多い。そのたびに浮腫状態が悪化する人もいる。

 この炎症は起こさないのが一番である。


 炎症を起こす原因としては、ケガ等による細菌の侵入がきっかけなことが多いが、それだけではない。

 水虫、巻き爪。原因になりうる。

 ひどく疲労したとき。多大な精神的ストレスを受けただけで発症することもある。ストレスは免疫力めんえきりょくに大きく関与するのだ。

 何度も炎症を繰り返していた方が、虫歯治療をしたらぴたりと炎症がおさまった、ということもある。

 身体は全部つながっているのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ