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リンパ浮腫  作者: 手古奈
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リンパ節

 がんの手術でリンパ節を郭清かくせい(取り去ること)した際、リンパ管が損傷そんしょうをうけ、流れが滞りリンパ浮腫が発症する原因となるのだ。

 発症する可能性は個人次第である。

 生まれ持った個人のリンパ管の機能の強さ、としか言いようがない。

 リンパ節を郭清し、それまで主な流れ道となっていた道が分断され、リンパの流れが滞ったとしてもわき道はまだある。術後、その伏流となっていたわき道が上手く働けば、むくみは発生しない。この能力の強さの差が運命を分ける。

 リンパ節を郭清した数が多い患者より、少ない患者の方が発症したという場合もある。

 発症しない方は一生発症しないし、する方はする。術後すぐに発症する方もあり、四十年経ってから発症した方もいる。(これは、身体が老化してリンパ管も老化し能力が衰え、それまでのわき道だけでは流しきれなくなった、ということである)


 患者の八割が女性である。

 多くは婦人科系の癌(子宮頸しきゅうけいがん、体癌たいがん卵巣癌らんそうがん骨盤内こつばんないのリンパ節郭清かくせいをした患者である。この場合、むくみが起こる可能性となるのはおへそから下の下半身全てだ。

 あとは、乳癌にゅうがん腋窩えきか(わきの下)のリンパ節を郭清した方。手術した側の上半身(正中線上で左右に分け、鎖骨から下、おへそのラインより上、腕の部分)にむくみが起こる可能性がある。多くは腕に発症する。

 男性の患者もおられる。

 同様に泌尿器系ひにょうきけいのがん等で骨盤内のリンパ節郭清をした方、悪性黒色腫でソケイ(脚のつけね)部のリンパ節を郭清した方(この場合、むくみが起こるのは手術した側の下半身、正中線上で左右に分け、おへそから下の部分、脚の部分)等々。まれに乳がんの方もおられる。咽頭いんとうがんや喉頭こうとうがんの手術でリンパ節廓清をし、首から上の顔、頭部がむくまれる方もいる。


 むくみが最初に発生する部分には個人差があるが、体幹に近い部分から出ることが多い。脚なら内太もも。腕なら振り袖の二の腕部分。

 リンパ浮腫は『白いむくみ』と称される。

 皮下組織と呼ばれる部分にリンパ液が貯留するのであるが、これが原因で皮膚から透けて見える血管が見えづらくなる。手首の内側が一番わかりやすいが、片方にリンパ浮腫が発症した場合、もう片方に比べて手首の青く見える血管が見えづらく白っぽくなる。

 むくみが発症した初期は、指で押さえるとその箇所はへこみ、指のあとがつく。

 夜間横になって寝ると、朝にはむくみが改善しているときが多い。

 この時に浮腫に気付き、早期発見できるのが一番である。

 その後の人生、浮腫との付き合い方におおいに関係する。

 それから浮腫がすすむと、今度は夜寝て朝起きても改善しなくなる。押さえても指の跡が残らなくなる。

 ここで患者さんは指の跡が残らなくなったので改善したと勘違いする方がいるが、浮腫は進行しているのである。

 もっと浮腫がすすむと組織が硬くなってくる。リンパ液は長い間皮下組織に貯留すると、脂肪組織と合わさり、別のモノへと変性する。

 そうなると改善には長期戦が必要になる。


 リンパ浮腫は早期発見が一番なのである。



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