外科的治療
リンパ浮腫の改善には複合的理学療法がスタンダードだが、外科的療法もある。
静脈とリンパ管を吻合する手術である。
結局、心臓の手前で合流するリンパ管と静脈。
流れが滞っている部分のリンパ管を付近の静脈につなげてしまえ、という方法である。
患者さんにとっては、期待がふくらむ夢のような療法であるが、推奨される例は次のような患者さんである。
炎症(蜂窩織炎)を繰り返されている方。
陰部の浮腫がひどく、リンパ漏がある方。
複合的理学療法を試しても全く改善が見られない方。
皆さん、元のとおりの腕や脚に戻ることが出来るのではないか、と期待して手術に臨まれるが、激変する例はごく稀である。術後、気落ちされる患者さんは多い。
私自身、手術を試された患者さんを何人か見てきたが、細くなった方はいない。
でも、硬かった組織が柔らかくなった、という例はよく見る。患者さんにしては、細くなることが一番の希望だったのだろうが、組織が少しでも柔らかくなればめっけものだと私は思う。
そして当然ながら、術後もリンパドレナージや圧迫療法等のセルフケアは続いていくのだ。
上に記した推進される患者さんには、効果があると聞く。リンパ漏が止まったり、炎症回数を減らすことが出来れば、明らかなQOLの向上であり、手術をした甲斐がある。
このリンパ管と静脈の吻合術。
超ミクロの世界の手術である。
見えないくらいの針を使って、吻合していく。
やはり手先の器用さと細かさが結果を決めると思うので、世界では日本の先生が行う手術が一番ではないだろうか。
年々、技術や使用する器具も進化しているだろうし、これから期待が高まる分野である。