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リンパ浮腫  作者: 手古奈
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保険適応

 リンパ浮腫の治療は保険適応ではない。

 自費診療である。

 病院に定着しないのはそこである。

 いろんな団体が保険適応を目指して働きかけているが、やはり難しいと思う。

 何故ならリンパ浮腫は生死に直結する病気ではないからだ。

 世の中には、生命に関わる多くの難病が存在し、当然そちらの方が優先されるからである。


 そして病院がリンパ浮腫外来を開いたとしても、まあ儲からない。それがリンパ浮腫外来がある病院が少ない理由である。


 資格を持った看護師さんが多くいて、毎日リンパ浮腫外来を開いて上手く回っている病院もいくつかあるが(予約をとるのが三ヶ月待ちぐらいだったりする)、多くの病院は外来を開くのは週に一、二回ぐらいだと思う。(基本は自分の病院で手術した患者さんしか受け入れない。患者さんが押し寄せてくるのを避けるために公にせず、密かにひっそりと行っている病院もある)


 リンパ浮腫外来に携わっている看護師さんはかなり大変だという話をよく聞く。

 言うまでもなく、看護師さんたちのほとんどは別の仕事が本業である。片手間でリンパ浮腫外来をしているのである。


「時間が来たら、ちょっと抜けてきます、て仕事を抜けて、患者さんにリンパドレナージを施して、そして急いで元の部署に戻る。いっぱいいっぱいよ」


 かなり大変だ。

 リンパドレナージというのはたいへんゆっくりとしたマッサージであるので、街中のクイックマッサージのようにはいかず、確実に半時間以上の時間が必要である。

 貴重な病院のスタッフが一人の患者のためにまるまるその時間駆り出されるのである。

 割に合わない。

 病院からすれば慈善事業もいいところである。

 だから、折角、外来を立ち上げたとしても閉めてしまう病院も多い。




 ところで、リンパドレナージ等は保険がきかないが、弾性着衣スリーブやストッキング又は包帯の購入には、療養費申請という形で2008年から保険がきくようになった。


 弾性着衣というのは医療装具であり、非常に高価である。

 これもまたほとんどの患者さんがドン引きされる点のひとつである。

 みなさん、市販のストッキングのような印象をお持ちであるから弾性着衣の値段を聞いたとたん必ず、はあ? とびっくりした顔をされる。


 例をあげると、スタンダードなパンティストッキングタイプの弾性着衣で、一着、約二万五千円。


 2008年以前の患者さんは、それを全額自費で購入されていたのである。そう考えると、素晴らしい進歩だと思う。


 しかし、残念ながら全てのリンパ浮腫患者さんにこの療養費申請ができるわけではない。

 療養費申請の適応となるのは


「乳がん、婦人科系のがん、泌尿器系のがん、悪性黒色種の手術でリンパ節郭清をした患者」


 と定められている。

 もちろん、上記以外のその他の原因でリンパ浮腫になられた患者さんは数多い。

 生まれつきのリンパ管の不具合、事故によるリンパ管の損傷、消化器系のがん、放射線療法によるリンパ管の損傷……等。

 そういう患者さんは、弾性着衣を全額自費で購入されているのである。

 リンパ浮腫になる機序はどちらも全く同じで変わらないというのに、だ。全く不公平である。


 だが、たまにそういう患者さんも療養費申請がとおるパターンもある。

 患者さんが加入しているのが社会保険である場合、申請がとおったパターンをいくつかみてきた。

 さすがに患者さんが加入しているのが国民健康保険の場合は絶対に無理だけど。


 一度、私はこのことについて、厚生労働省さんに問い合わせてみたことがある。

 厚生労働省さんの返事は


「入られてる保険組合さんがOKと言うなら、イイです。こちらは何も言えません」


 でした。


 と、いうことです。

 全国の社会保険組合の担当者さん。

 全てはあなたの裁量次第です。








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