マッサージ 2
前回に引き続き、リンパ浮腫の方に対するリンパドレナージと、美容、リラクゼーションとしてのリンパドレナージの違いについて述べたい。
何故なら、被害に遭われる方が多いからである。
えー、美容、リラクゼーションでお店を経営していらっしゃる方。もちろん商売である。経営者側としては、勘違いでいらしたお客様だとしてもこれを逃さないでおくべきか。離さないのがまあ普通である。
リンパ浮腫という症状を知らないでそのお客様を受け入れてしまった、というお店もあるだろう。しかし、リンパ浮腫の患者だと知りながらその方を受け入れ続けるお店も確かに存在する。
こわい。でもそれが商売なのだろう。
患者さん自身が少しでもリンパ浮腫というものについて勉強していれば、すぐ気づく。あ、ここは違うな、と。
しかし中には全く疑いを持たずに延々とそのお店に通われる方もいらっしゃる。いいカモである。
見分け方の違いをはっきりお伝えすると。
現状、日本でリンパ浮腫の方を専門に扱うところといえば、病院と、いくつかの治療院である。
あなたがもし、街中のリンパ浮腫を扱う治療院に行ったとする。セラピストが医師かあん摩マッサージ師の資格を持っていないならば、そこは疑うべきである。
この医療リンパドレナージセラピストは、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師しかなれない。この中で開業権があるのは医師とあん摩マッサージ指圧師だけである。(看護師、理学療法士、作業療法士は開業できない)
また、初診の際、主治医の先生からの診療情報提供書が必要になる。
どんな手術をしたか、患者さんがどんな既往歴を持っているかによって、リンパドレナージで流す方向は変わってくるからである。
お店に入ったとき、又は予約した時に。
即、「はい、受け付けます。今からマッサージします」という対応はまずあり得ない。本来は主治医の指示によって施術を行うものであるからである。上記のように簡単に受け付けてくれるところは明らかに医療ではないマッサージを行う所だということである。
そして、そこがもし圧迫療法を行わず、ひたすらマッサージを行うところだとしたら。
これは無い。
リンパ浮腫は、まず何が何でも圧迫ありき、これが鉄則である。
マッサージは確かにその時には効果はある。
柔らかく幾分むくみもスッキリとした感じになる。
しかしその状態も圧迫をしなければ帰宅するまでにもとどおりである。
こういう治療をそこのセラピストに言われるままに毎週、1年以上通われた患者さんたちを私は知っている。かなりの出費額である。
その中にはまだリンパ浮腫が未発症であるのに延々と毎週通い続けた方もいらっしゃった。
リンパ浮腫とは予防できないものだ。
発症しないように気をつけて、毎日マッサージを行っていたとしても発症する人は発症し、何も気にせず日々の生活を送っていても発症しない人は発症しないのである。
リラクゼーションのために通っているならまだしも、発症予防のために通っていらっしゃるのだとしたら、とんでもない勘違いであり非常にもったいない。
まともにリンパ浮腫に対して取り組んでいる治療院に行くと、最初は間隔をつめて通わなければならないが(それでも二週間に一回くらいを三〜四回程度が普通)ご自身でセルフケアを会得し、むくみをコントロール出来るようになってくると当然間隔は空いていく。個人差にもよるが、二〜三ヶ月に一回、というのが妥当な来院間隔ではないかと思う。毎週、というのはよほど重症でないかぎりそうそうない。(病院も治療室も)
さて、セルフケアを患者さんに指導する、というのは大方の治療院、病院がしていると思う。
しかし、中にはセルフケアを患者さんにあまり指導しない、という治療方針のところもあるだろう。
これは、経営面で考えるとごく自然でそれが一番正しい判断である。
セルフケアを会得して患者さんがむくみをコントロール出来るようになっちゃったら、来る回数減っちゃうじゃん! いや、来なくなるじゃん! 収入に結びつかないじゃん!
……そのとおりである。
私も時々迷う。
私はしっかりとした意志を持った=シビアな=自立心の強い=患者の鑑のような患者さんとの出会いが多く、たいていの患者さんはご自身のむくみのコントロール方法を身につけ、さっさと巣立っていかれるか、ご無沙汰になる。
……切ない。
でも、普段のセルフケアなしに改善というのはかなり難しい。(それこそ毎週通ってもらわないと)
行けば必ず改善する治療院。
何回通ってもなかなか改善しない治療院。
さて、あなたならどっちを選ぶ?
……そういうことである。
……経営って難しい。




