マッサージ
以前お話ししたが、リンパ浮腫の方に行うマッサージ(医療徒手リンパドレナージ)というのは、皆が想像されるマッサージとは全然違う。
とても優しい圧、主に皮膚を動かすのがメインの特殊な手技である。
このセラピストの資格は本来、約20日間の理論、実技講習(ほとんどが実技)を終えて最終試験(筆記、口頭、実技)に合格しないと取れない。
なおかつ、この資格は医療有資格者でないと取れない。
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師しか取れないことになっている。(一時期、柔道整復師が含まれた時もあった)
しかし、巷には紛らわしくリンパドレナージをうたった美容、リラクゼーションの店があふれかえってある。患者さんの中には間違ってそのリンパドレナージを受けてしまい、むくみが悪化してしまう方がいる。
気をつけていただきたい。
あちら側は、健康でリンパ管に問題がない方を対象にしたマッサージであるので根本的に違う。
違いとして。
マッサージをする方向が全く違う。
健康な方というのは、脚のリンパ液はソケイ(脚の付け根)のリンパ節、腕のリンパ液というのは腋窩(わきの下)のリンパ節に流れるようになっている。
だから、美容やリラクゼーションに携わるセラピストは、脚は脚の付け根、腕は腋の下に向かってマッサージする。
リンパ浮腫の患者の場合、これは完璧にNGである。
その部分のリンパ節が無い、もしくは問題があってむくみが起こっているというのに、その部分に向けてマッサージをすれば負担をかけるだけである。
一般的には(患者本人の既往歴等によって違うこともあるが)、脚のリンパ浮腫の方は同じ側のわきの下に向かって、腕のリンパ浮腫の方は同じ側の脚の付け根、反対側の腋の下に向かってマッサージをする。
もうひとつ、大きな違いとして。
美容系のマッサージでよく使われるオイル。
リンパ浮腫の患者には、オイル等はまず使わない。皮膚を動かすのがメインのマッサージなのに、オイルを使えば表面で滑ってしまい皮膚はたいして動かないからである。
効果が落ちる。
そして最後に。
医療リンパドレナージの圧、力加減は本当に優しく心地よいものである。
痛いマッサージ、なんてのは言語道断である。
むくんだり、むくみの可能性がある部分に対して強い刺激を与えると、体が自衛のためにその部分に体液を送り込む。そうすると、リンパ管の負担が増し、かえってむくみを増大させるだけであるからだ。
美容のマッサージというのは、かなり強い力でグイグイ揉む場合が多い。そういうのを受けて、むくみが悪化した、あるいはそれをきっかけにリンパ浮腫を発症した、なんて悲劇例を私は何度も聞いたし、見ている。
ぜひ患者さんには気をつけて欲しいところである。
ちなみに何故、美容系のリンパドレナージやマッサージは痛いことが多いのか。
その理由として考えを述べていた医師がおられた。
「痛いと筋肉は収縮するでしょ。だから、脚が細くなるんです。痛みで収縮させているのだと思います」
私もそういうことだと思う。
ただ単にむくみをとって脚を細くするならば、優しい圧のマッサージで十分だし、それ以前にメディキュッ◯やスリムウォー◯を着用するのが一番効果的なのだから。
しかし、脚が細くなりたい女子にとっては細くなりさえすれば細くなる理由なんてのはどうでもいいのである。
私も細くなるなら、痛いくらい我慢しようと思う。




