第四十三話「新しい公式」
第四十三話公開中!
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↑(R15内容です)
翌朝、春馬はいつものように登校したが、彼の内面は前日とは全く異なっていた。
母・春那から提示された新しい論理フレームワーク、U = G - R(幸福度=利益-リスク)、が彼のシステムにインストールされたのだ。彼の顔には、「生存」の警戒心ではなく、「新しい研究」への集中力が浮かんでいた。
「(再起動完了。俺の『孤独の最適解』は不完全であった。幸福の最大化という目的に対し、リスク回避は致命的な非効率である。よって、新しい公式に基づき、リスクを許容する行動を義務として遂行する)」
春馬は、席に着くと、背後の蒼奈にすぐに声をかけた。
「若宮。昨日、俺の旧論理が破綻したことは、君の論理的勝利として確定した。しかし、真の研究はここからだ」
「うん。知ってるよ、春馬くん。新しい研究テーマは、『リスク許容度と幸福の最大化』だよね?」
春馬は、蒼奈の理解力の速さに満足しつつ、新しい公式を改めて言語化し、論理的なプライドを保とうとした。
「その通りだ。俺の以前の論理は、『幸福』を『悲しみをゼロにすること(損失の回避)』で計算していた。しかし、真の幸福の公式は、『得られる喜び(利益、G)』から『負うかもしれない悲しみ(リスク、R)』を引いたものだ」
「幸福度(U)を最大化するには、利益(G)を最大化する必要がある。そのためには、リスク(R)をゼロに固定するのではなく、リスクを許容することでより大きな利益(G)を得る、という高度な戦略が必要となる」
「リスクを避けるのではなく、大きな利益を得る必要がある。なるほど。それは、私やお姉ちゃんが言いたかった『予測不能な楽しさ』を、春馬くんの論理で再定義した、ってことだね!」
春馬は、この新しい論理を机上の空論にしないため、早速、最初のリスク行動を提示した。彼のトラウマの根源から見ても、極めて大きなリスクだった。
「俺は、この新しい研究を遂行するため、最初の行動を実行する。効率的なデータ照合と、即時的な研究継続のためには、『私的な連絡先を共有する』というリスク(R_{contact})を許容する必要があると演算した」
春馬は、自身のスマホを蒼奈の方へ向けた。彼の表情は硬く、この行動が彼にとってどれほどの心理的な障壁であるかを物語っていた。
「君の連絡先という利益(G_{contact})は、このリスク(R_{contact})を上回ると演算した。よって、連絡先を交換する」
蒼奈は、春馬が感情ではなく、論理によって、最も怖れていた「裏切りのリスク」を克服しようとしていることに、深い感動を覚えた。
「了解!じゃあ、これが私のデータ送信経路だよ!春馬くん、リスクを許容してくれて、ありがとう」
二人は、淡々と、しかし決定的な意味を持つ行動として、連絡先を交換した。蒼奈は、その瞬間、二人の関係が変化していることを確信した。
今日は短くて物足りないかもしれません。すみません。




