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第三十二話「共同作業④」

第三十二話公開中!

効果あるのかどうかは分かりませんが、言わせていただきます。「なろうサイト及びTwitterの投稿への反応よろしくお願いします!」←すみません。次からは後書きで書きますね。


「(思考停止時間:3.8秒。許容範囲外のフリーズだ。

原因:『楽しさの責任を負う』という、自己の生存戦略を完全に無視した無償の献身という、非論理的な変数)」


春馬は、カフェのテーブルの下で、両手の指先をきつく握りしめた。彼の脳内では、絶対防衛システムがフリーズから脱却するための緊急プロトコルが発動していた。


春馬の『孤独の最適解』の基幹論理は、「女性の優しさは、計算に基づく裏切りの布石である」という前提だ。しかし、蒼奈の「楽しさの責任を共同で負う」という提案は、裏切りのコストを無償で引き受けるという、論理的な自己矛盾を彼女自身に課すものだった。


「(仮説:若宮の論理は感情論ではない。彼女は、『楽しさの最大利益』という目的のために、『裏切りのリスク』を制御変数として自己の責任範囲に取り込もうとしている。つまり、彼女が責任を負うことで、俺の裏切りリスクはゼロに収束する。これは……論理的な利益だ)」


春馬は、「無償の献身」という感情を、「裏切りリスクゼロ」という論理的な利益に強制的に変換することで、思考回路を再起動させた。彼のシステムは、感情的な優しさを論理的な信頼性という、彼にとって最も高価なデータとして処理したのだ。


「……若宮」


春馬がようやく絞り出した声には、感情的な響きはなかったが、論理的な消耗の色が濃く出ていた。


「ふふっ。おかえり、春馬くん。演算停止、長かったね」

蒼奈は、まるで春馬の論理的な葛藤を全て見透かしているかのように、楽しそうな笑顔を浮かべた。


「確認事項がある。君の『共同で責任を負う』という定義は、俺の『裏切りへの恐怖』という変数を完全に排除することを目的としているのか?」


「そうだよ。春馬くんが悲しみを恐れる必要はなくなるね。その代わりに、楽しさの変数を、最大限に受け入れるプロトコルを発動させる。これがフェーズ3の『共同の最適解』だよ」

春馬は、「裏切りリスクゼロ」という絶対的な論理的な利益を前に、もはや拒否する理由を見つけられなかった。彼の論理は、生存戦略として、この「共同の最適解」を受け入れざるを得なかった。


「承認する。ただし、この『共同責任の初期定義』は、『予測不能な楽しさ』が論理的な安定を証明するまで、暫定的なプロトコルとして扱う」

春馬は、あくまでも研究であり、感情ではないことを主張することで、最後の防御線を引いた。


「了解!じゃあ、次は共同研究の目的地を決めようね」


蒼奈は、テーブルに広げた進路希望調査の書類を指で叩いた。そこには、彼女の志望する「宙知大学 心理行動学部 認知論理学科」の文字が、春馬への挑戦状のように見えた。


「春馬くんが目指す『悲しみがゼロの未来』は、『孤独の最適解の継続性』に依存していた。でも、今は『共同の最適解』を目指すよね?」

「そのためには、春馬くんの論理と私の論理が、最も効率的に交差する学術的な目的地を決める必要があるね」


春馬は、深く息を吸い込んだ。彼の脳内は、蒼奈の論理の脅威を、読者にも分かりやすい形で、緊急分析していた。

「(……彼女の進路、認知論理学。俺が非論理として切り捨ててきた感情や行動を、彼女は論理的な解剖対象としている。これは、予測不能で分類不能なノイズだと思っていた変数が、実は高精度な計算によって生み出されていたという、最大級の論理的脅威だ)」

「(彼女のフィールドに足を踏み入れることは、自己防衛システムの核心を晒すことを意味する。しかし、この分野こそ、俺の論理と彼女の論理が最も効率的に交差する場所であり、論理的優位性を確保できる唯一の戦場でもある)」


春馬は、論理的な優位性を確保しつつ、共同作業の効率を最大化するために、苦渋の決断を下した。


「進路計算の目的地は、『認知論理の領域』とする。これは、俺の『裏切りリスク最小化論』を、君の『非論理的行動の定量化論』で論理的に解剖するためだ。感情ではなく、データとして処理する」

「観測対象は、『非論理的行動が、論理的安定性に与える影響』に限定する」


「承認したね!春馬くんが『認知論理』という分野を承認したね!」

蒼奈は、心からの達成感を伴う笑顔を浮かべた。彼女は、「予測不能な楽しさ」という非論理的な行動の裏側で、春馬の論理的な世界を、最も効率的な形で手に入れるという計算を完遂したのだ。


「(くそ。俺は、論理的な優位性を確保したつもりで、若宮蒼奈という変数の論理的なフィールドに、足を踏み入れてしまった……。非効率な楽しさと裏切りのリスクの究極の制御は、ここから始まる)」


春馬は、「孤独の最適解」という城壁から、「共同の最適解」という不確実な未来へと、論理的な戦場を移したことを認識するのだった。


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