尋問
「いや、そして、じゃないヨ? お金入ったならもううちじゃなくてもいいよネ?」
「そう言うなって、俺たちの仲だろ?」
「居候とは思えない態度だよネ……」
ハトリールが呆れたような、というよりは諦めたような顔をするが、きっと照れ隠しだろう。ハトリールだって俺たちと一緒に生活できて楽しいはずだ。間違いない。
「あと、その子は誰かナ? これ以上居候が増えるのは困るんだケド」
「あ、気にしないでほしいっす。自分はちゃんと宿とってるんで、旦那と違って」
「そりゃいいことだナ。じゃあめいめい、暗くなる前に帰してね。未成年監禁罪はいやダ」
「俺だっていやだよ。あと成年だ」
「……これガ?」
「これ⁉ ネナって名前っす! 旦那の運び方もそうっすけど物扱いは意外と傷つくっす!」
まあ実際ネナはイゼよりも幼く見える。ハトリールが年下と勘違いするのも不思議はない。イゼですらクォンに未成年と間違われていたからな。獣人は若く見られやすいのかもしれない。
「まあそういうことだから。部屋借りるぞ」
「はいハイ、もう何も言わないヨ。あ、ただミーアは帰ってきてるから、そこんとこ気を付けてネ」
「ミーアトリアをなんだと思ってるんだ?」
別に突然暴れだす凶暴な性格でもないんだが……。
しかし帰ってきてるのか。なら尋問を手伝ってもらうか。あの斧は脅し道具としては十分すぎる迫力がある。ネナのアジトを粉々にしたこともあるし、目の前に出されただけですんなり情報を教えてくれるかもしれない。
階段を上がって2階へ。俺が普段借りている部屋へと向かう。
扉を開いてはいると、ミーアトリアが窓を開けているところだった。ほうきがあるのを見るに掃除中だったようだ。
「主様、お帰りなさ……ネナさま?」
「げっ、金ロリ……だ、旦那? 流石にあの斧で拷問とかは、しないっすよね?」
おお、まさかミーアトリアを見ただけで反応するとは。相当トラウマになっているようだ。
あと金ロリとか言うな。
「なんかやらかしたっぽくてな。尋問だ」
「なるほど。でしたら、ちょうど掃除用に用意した洗剤がございます」
「洗剤で何する気なんすか⁉ え⁉ 怖いんすけど! は、放して……!」
ネナは必死にもがく……というか、じゃれあいみたいなもんだな。多分力を抜いてる。こいつが本気になれば、俺の拘束なんてすぐに開放できるだろうし。
が、ミーアトリアは本気だ。
「犯罪者は黙りやがれでございます。さあ、情報を吐くか洗剤を飲むかどっちか選びやがれです」
「え、目がガチなんすけど」
「まあ、本気だろうからな」
俺が言うと、ネナは今まで浮かせていた両足を付け、首をひねって俺を見た。
「冗談、っすよね?」
「そう見えるか?」
目で見えるほどに大量の冷や汗をかきだしたネナは、俺の手を2度たたく。それに応じて放してやると、音もたてずにきれいなお辞儀をした。
「この度は誠に申し訳ございませんでした」
「素直に反省できてよろしい」
「ッチ、つまんねーですね」
「やっぱり本気だったんすね……」
ネナ、再び涙目であった。




