手紙
ドラゴン討伐から、1ヶ月ほどが経っただろうか。
なんだかんだ自堕落な生活を送っていると、役所から手紙が届いて来た。
朝の散歩に出かけていたハトリールが持ってきた手紙を、俺とマシロは覗き込んでいた。
「なんですか何ですか。マシロの借金無くなったんですかね?」
「んなわけないだろ。てかまだ返して無かったのか」
何度か受けた依頼の報酬の中からちゃんと配分して渡していたはずなんだが。
「それがですね、マシロ、ご飯食べるじゃないですか」
「ああ」
「そしたら財布が空っぽなんですね」
「なるほど、頭と一緒だな」
「そうですね」
……ん? あれこいつ、今皮肉言われたことすら理解してないのか?
まあいいや、馬鹿は死んでも治らない。こいつのことは無視して手紙を読むとしよう。
手紙を見てみるが、ちゃんと正式なものだ。国立郵便を通しているらしい。差出人は……。
「おいおい、これ国の役所から出てるぞ」
「ニバール支部ですか?」
「違う違う。本部だ」
「本部って……じゃあ、王都からってことですか?」
「っぽいな。あれか、そろそろドラゴン討伐の報酬を貰えるってことかもな」
ドラゴン討伐は、国が指定した対象でなくてもドラゴン、と認定されればそれ相応の報酬を貰える。これは結構周辺のどの国でも同じで、ここメリウスはもちろん、俺の出身であるミクアでも報酬が貰えるはずだ。俺は勇者として支援されていてそっちで報酬を貰っていたから、詳しいことは分からないが。
「報酬貰えるんですか!?」
「そりゃそうだろ。ドラゴンだぞ? 貰えないんじゃ割に合わない」
「ど、どのくらいですか……!」
「俺たちが7人だろ? 全部で金貨300枚……いや、まだ幼かったし150枚くらいだろうから、1人20枚くらいじゃないか?」
「おおっ! 私たちの5カ月ぶんくらいの給料ですよ! ご飯どれくらい食べられますかね!?」
「まずは借金を返せ。確か金貨20枚くらいだっただろ」
どうしてこうも先見の明がないんだか。1人で遠くまで旅してきているくせに、こんなんでよく生きてるよな。
言いながら手紙の封を切る。
読んでみると堅苦しい文字で長々と書かれているが、まあ要するに、俺の予想通りだった。
「表彰式を来週末に開くんだと。ニバール支部でいいらしいから、行くとするか」
「行きましょう行きましょう! もちろんマシロと先輩の2人で!」
「あとでミーアトリアあたりに殺されても知らないからな」
「冗談ですよ! 皆で行きましょう!」
表情ひとつ変えず笑顔のままで言ってるのが恐ろしい。マシロが生き永らえている理由はこういう柔軟な対応力にあるのかもしれない。




