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誕生日プレゼント

「実は、誕生日プレゼントを用意しているんですよ!」

「プレゼント?」


 突拍子もなく言いだしたのは、マシロだった。


「はい! ミーアトリアちゃんにだけ!」

「そこは俺のも用意しろよ……」

「悪かったネ。正直な話、メイメイが何を欲しがっているのか、見当もつかなかったんダ」

「あー……それはそうかもな」


 今の俺は、正直言って物欲がほとんどない。まあお金があり余っていた時代でさえ、そのほとんどをため込むだけため込んで使わなかった俺だ。根の性格が貧乏性なのだろう。

 酒かギャンブルでも趣味にしようかと考えたこともあったが、誰に止められるよりも先に自分で辞めた。


「ってわけだから、あげるものが決まってたミーアの分は用意してあるよ」

「私の欲しいものが分かりやすいと言いやがりますか? 私はそうちょろくはないですよ」

「いやぁ、それがわっかりやすいんですよねぇ」

「あ?」

「ふぃっ!?」


 マシロが変な声出して白目向いた。よっぽど怖かったんだろうな。まあ、俺もまだたまに怖いと思ってしまうくらいだし。


 でも、マシロの言い方でなんとなく予想がついてしまった。

 部屋の隅にあるはずの棚に目を向ける。何だか、前よりも寂しくなってるな。


「ってわけデ。これ、プレゼントだヨ」


 ハトリールは、しゃがみ込み、それを手に取ってミーアトリアに渡した。

 それは、ちょうどミーアトリアの両手に収まるほどの大きさをした、黒光りする金属質な直方体。


「……アダマンタイトの?」

「そうです! アダマンタイトの斧研! 高かったですが、ミーアトリアちゃんのためだと思えば安いものでしたよ!」

「お金払ったの全部私なんだけド」


 そりゃそうだろう。未だに武器がないマシロにそんな金があるはずない。ドラゴンを討伐した報奨金もまだ届いていないみたいだし。


「……」


 ミーアトリアは、うっとりとしたような目で研ぎ石を見下ろしている。そんなその石がいいんだろうか。ただ固いだけの希少金属。そんなの欲しがるのは外見を気にするだけの貴族だけじゃないのか。


 なんて言っても、ミーアトリアが本気で喜んでいるのは目を見るまでもなく分かるのだ。明らかに、心浮かれたオーラを出しているから。

 と、しまいにはそれを胸に引き寄せ、抱き抱えて頬擦りしだした。


 いや、頬擦りしたら頬が血だらけになるぞやめろ。ああいやだからって抱き着けって意味じゃない。それはそれでただでさえ平らな胸が無くな――


「おおっ!? それで殴るのはシャレにならん! 死ぬ! マジで死ぬから止めてくれ!」


 マシロに学ばないなとよく言うが、俺もまた学ばない男なのかもしれない。

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