侵入
「さあ、出発だ!」
諸々の準備を済ませ、布陣を整えた俺たちは洞窟に突入することにした。
ギフト持ちが4人、最強の剣士が1人、聖竜教の助祭が1人。そして荷物持ち。
これ以上に最強の布陣があるだろうか。いや、無い。
「本当に一人で置いて来てもよかったの? あの緑髪、武器も持ってないんでしょ?」
「大丈夫だ。あいつ、体固いからな」
「……? それがどうしたのよ。体が固い戦士なんて使い物にならないじゃない」
「何を言って……ってああ、柔軟性に書けるって意味じゃない。文字通り固いんだよ。あいつはギフト持ちでな。普通の人間より耐久力が高い」
「ああ、そういう。なら大丈夫そうね」
とアズリアの納得が得られたところで……って、こいつなんかすごい話振って来るな。もしかして案外気難しいやつでもないのか? いや、そういえばこいつ初めて会った時も幽霊騒ぎ止めに……とか何とか言ってたか。
大きな宗教で助祭なんてやってるだけあって、根っこのところでは間違いなく善人なんだろうな。
そんなことを考えながら、先を行くレイアの背中を眺める。
薄暗く、湿った洞窟で戦闘を活かせるような体躯ではない。小柄で、細くて弱々しい。俺がレイアくらいの年だったときだってもっと体を鍛えていた。マシロは例外として、レイアは《守り手》こそあるが体は普通の女の子。
それでも前を歩かせるのは、レイアがそれを望んだから。そして、レイアはにはそうするだけの力があると、認めざるを得ないから。
でも、その背中はやっぱり小さくて、震えてる。
その隣に立っている、もっと小さなミーアトリアがまったく怯えていないのを見ると感覚が狂いそうになるけど、おかしいのはあの金髪の方だ。普通、こんなの怖くって仕方ない。
すぐ後ろをついてくるハトリールにしたってそうだろう。怖くないはずが無い。アズリアだってそうだろう。
……そう考えると、イゼとミーアトリアはやっぱりおかしいな。俺も正直ビビってるんだけど、2人は全然そんな雰囲気を感じない。
と、そこでレイアが立ち止まる。先の方を見てみれば、そろそろドラゴンのいた最奥にたどり着くところだった。
「……それじゃあ、行きます」
「まあ待てレイア、少し息を整えてからでも問題ないぞ」
「え? で、でも……」
「大丈夫、慌てることはない。それよりも万全の状態で戦おう。そっちの方が、きっと上手くいく」
「メイゲルさん……はい、分かりました。すぅー、はぁー」
レイアが大きく息を吸い、吐く。それを何度か繰り返し、少しだけ安心を表情に浮かべた。
「もう、大丈夫です」
「本当か? 装備は確認したか?」
「はい、ばっちりです」
「そうか。……それじゃあ、みんな行くぞ。ぶっつけ本番になるが、それぞれのエキスパートが集まってるんだ。信じて任せろ。自分のことだけしてくれればいい」
誰にともなくそういえば、みんな思い思いに頷いた。
それを確認して、俺も大きく息を吸う。
「それじゃあ、ドラゴン討伐開始だ!」




