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見張り番

 再開!

 と言ってもリハビリがてら少しずつです。これからまたよろしくお願いします。

 食後、俺たちはテントの前に火を焚き、それの周りに並んで座った。


「それじゃ、見張りの番決めるぞ~」

「うオー、クソだル~」

「やりたくないですー」

「任せたわー」

「おやすみにゃー」

「あとはお願いします主様」

「あ、えと、ぼ、僕やります!」

「なんでみんなやる気ないんだよ……」

「僕やる気出してます!」


 約1名の涙目を除き、やる気のないこいつらをどうやって焚きつけようか。


「とりあえず、ハトリールには魔鉱石だろ? マシロには……防具一式は無理だけど盾くらい買ってやろう。アズリア、全部チャラにしてやる。イゼ、撫でてやる。ミーアトリアは……」


 いや、こっち見んな。そんな期待するような目でこっちを見るな。確かに研ぎ石も買ってやれてないしこの前怒らせちゃったから色々してやりたいけど。普段無表情だからそんなに見られるとなんか怖いんだよ。


「そうだな、今度一緒に旅行でも行くか。2人きりで」

「やります!」

「おおっ、思ったより食いついたな」


 抱き着く勢いだった。

 目を輝かせて近づいて、俺の足元で見上げてきていた。距離感おかしいだろ。何だこいつは。急に可愛いかよ。


「じゃ、それでいいな」

「は、はい! 僕、僕もやります!」

「おう、任せたぞ」

「あ……は、はい……」


 勢いよく手を上げたレイアが、俺の返事で意気消沈したように手を下ろす。

 ああ、あれか。どうして僕だけがご褒美無いんですか、ってやつだ。


「冗談だ。レイアには、今度稽古をつけてやろう」

「いヤ、それ褒美になってな――」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

「エェ……」


 ハトリールが引いてるが、まあ気にしないことにしよう。


「それで? 他の人たちは?」

「マシロ、謹んでお受けします!」

「マー、やるケド」

「仕方ないからやってあげるわ」

「にゃー、最初に寝るにゃー」

「よし。それじゃあ順番を決めようか」


 全員ちょろいなー、クソ楽。こいつら、子どもっぽいってことを除けば外見もそこそこだし、変な男に絡まれないといいんだが。


「それじゃ、二人一組で……やると1人余るか。最初に俺とミーアトリア。次にハトリールとマシロ、次がアズリアとレイア、そしてイゼ。で、2時間ごとに交代。俺たちが最後に1回やって終わり。分かったか?」

「いいけど、あんたやけに手慣れてるわね。多いの?」

「それなりにな。アズリアは?」

「助祭みたいな高位の聖職者が野宿なんてやってみなさい、信者に幻滅されるわよ。……それ以前は、まあ何回かね。でも、こんなちゃんとしたのは初めてよ」

「あー、なるほど。それじゃあ、一先ず寝ていてくれ」

「分かったわ。ほら猫、あと桃髪とシスターハトリール、そして馬鹿。さっさと寝るわよ」

「誰が馬鹿ですっ!? 取り消してください! ほら、取り消してください!」


 騒がしい連中がテントの中に向かい、それからもしばらく騒がしさが続きながら、そんな様子をミーアトリアと並んで眺める。


「ありがとうございます、とは言いませんよ、主様」

「何のことだ」

「こうしてお話しの場を作ってくださったことです」


 まっすぐと空を見上げて、ミーアトリアは言う。

 いつも通りの不器用な無感情を張り付けて。

 しかし、ちゃんと喋れるんじゃないか、こいつ。勉強してたしな。


「私にとって、主様が誰余地も大切な人だということを理解してくれていた」

「だから何のことだよ。そんなこと言った覚えないぞ」

「もちろん、それでも構いません。それでも……」


 呟き、少しだけ寂しそうに俯いて。

 それから静かに、小さな頭を俺の肩に預けてきた。


「私と明日を約束してくれて、ありがとうございます」

「……おうよ」


 不器用で面倒くさいやつだけど、周りに人がいなければベッタベタに甘えてきて。やっぱり子どもだなと思いながら、こんなミーアトリアのことを好きでいる自分も自分だと、小さく自虐を浮かべてみた。

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