ミーアトリアの斧
「さて、布陣の確認だが……再前衛はイゼとミーアトリア、その1歩後ろに俺とレイア、その後方にハトリールとアズリア。マシロは自由にしといていいぞ」
「じゃあみんなの応援してますね」
「邪魔にならないようにしてくれよ」
「ふっふっふ、自慢じゃないですけど私、誰かの邪魔になるのだけは得意なんです」「やっぱり留守番してもらうか」
「頑張るので連れてってください!」
とりあえずマシロは無視しておいて話を進める。
「イゼは寝てるからあとで伝えるとして……ミーアトリア、好きに暴れてくれていいからな。いつも通りやってくれ」
「はい。うっぷん晴らしにちょうどいいでございます」
「え? その子、戦えるの? メイドちゃんじゃなくて?」
「ん? ああ、俺よりちょっと強い」
「主様、ご謙遜はいけませんよ。主様の3倍は強いです」
「嘘でしょ……?」
信じられないらしいアズリアが驚愕に目を見開く。
確かに、13やそこらの少女が、しかも決して筋肉質には見えない少女が最前線で戦えるとは思えないよな。
「3倍はどうか分からないが、俺よりも強いのは確かだよな。耐久面はともかく、攻撃力は、な」
「主様、喧嘩を売っているのなら買いますよ?」
「何でだよ……耐久力については絶対俺の方が上だろ」
「否定はしないで上げます」
「何で譲歩したみたいに言うんだよ……」
「いや、なんにしても驚きよ。その細腕のどこに……それにこの前だって真っ先に逃がしたじゃない」
「あー、それには事情があるんだよな」
「事情?」
これは、果たして話をしていいものなのだろうか。
「いやまあ、一緒に戦うわけだし、教えておくか?」
「私は構いませんよ。むしろ、私からお話ししましょうか?」
「そうだな、それがいいかもな」
「え、そんなに勿体付けるような理由があるの? 聞くのやめておこうかしら」
アズリアが嫌そうに顔をしかめたが、もう逃がさない。
「私の扱う武器、《死の斧》はとある神殿で手に入れた、邪神の加護を受けた斧だそうです」
「邪、神? 竜じゃなくて?」
「私にも詳しいことは分かりませんが、邪神とは、邪竜を生み出した存在らしいです。ただ、私たちの訪れたダンジョンの石碑に書かれていただけなので、真偽は確かではありません」
「いや、そのダンジョン凄い興味あるんだけど。ハトリールは行ったことあるの?」
「私は無いヨ。連れてってってお願いはしてるんだけどネ。いつも断られル」
「あのダンジョンは危険なんだよ、俺はもう行きたくない」
勇者時代に潜ったはいいが、マジで死にかけた、二度と行かない。
「話を戻しますと、私の斧は物理的な実態を持つものにしか効果がないんです。なので魔力生物である精霊の類は相手できなくて。なので、前回アズリア様とご対面したときは大変不服ながら、仕方なく、しょうがなく、撤退を決めました。ご本人を叩き切るわけにもいきませんでしたので」
「な、なんか悪かったわね。ビビってるわけじゃないけど一応謝っておくわ。ごめんなさいね」
「ビビってるじゃないか……」
「う、うっさいわね! ビビるわけないでしょ! こ、この……こんな可愛らしいお嬢様のどこにビビる要素があるのよ!」
顔を真っ赤にするアズリアを見て、俺はもう何も言わないことにした。
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