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ミーアトリアとの出会い

 ミーアトリアを拾った日の出来事を、俺は昨日のことのように覚えている。

 あれは、悪徳貴族を懲らしめるために潜入した館の地下室での出来事だった。悪徳貴族の悪行の証拠を見つけるために潜入していた時のこと、俺はキッチンの収納の中に地下への隠し通路を見つけた。


 そこで見たのは、悪徳貴族に手首を掴まれた少女の姿だった。少女の方は必死に抵抗しており、貴族の手を振り払おうと身を捩っていた。


「こら、暴れるんじゃない! どうせここから逃げることは出来ないんだ! 大人しくしろ!」

「た、す、けて……っ! 誰か……っ!」


 少女の舌は拙く、声は小さかったけれど涙を浮かべながら助けを求めていた。最初は様子を伺おうと地下室に繋がる階段の上に身を潜めていた俺は、すぐさま地下室に飛び込んだ。


「そこで止めろ、このクソ外道」

「だ、誰だっ! どこから入ってきた!」

「近頃話題の毒使いの勇者だ、バカ野郎。顔くらい知っとけ」


 当時の俺は若いということもあって口が悪く、そんな罵詈雑言を浴びせた後で悪徳貴族を懲らしめてやった。現行犯だったため証拠は十分、その後その帰属は厳正な裁判の下で裁かれ、俺は表彰された。

 それから数日後、その時助けた少女から対談を申し込まれた。どうなったのかが気になっていたのもあって二つ返事で了承、即日予定を取り付けて合うことになった。


「初めまして、ミーアトリア、です」


 かなり幼い少女だった。くすんだ金髪が痛々しく、青い瞳の奥には闇が眠っている。悪徳貴族に監禁されるようなこの少女の人生が明るいものだったはずもないだろう。それからしばらくあそこに監禁される経緯を語られ、俺の中の怒りはふつふつと煮えて行った。


「そ、それで、お願い、なのですが!」


 その頃のミーアトリアは言葉を上手く話せず、たどたどしい言葉で言った。今思えば、あの頃のミーアトリアが一番子どもっぽくて可愛らしかったかもしれない。本人に言ったら殺されかねないので絶対に言わないが。


「私を、あなたの仲間にしてください! 私、勇者様のお力になりたいんです!」


 その後、ミーアトリアには行く当てが無いということで、孤児院に行ってもらうという選択肢もあったのだが偉くなつかれているということもあり、俺が面倒を見ることにした。

 と言っても俺はろくな幼少期を過ごしていない身、子ども育て方なんて分かるわけはない。出会って早々に物凄い筋力があることが分かり、武器の練習をさせるなどの暴挙に出た。

 後で姫様にそんなことよりもまずは健康管理が優先です! このままではやせ細って死んでしまいます! などと言われたっけな。今では笑い話だ。と言っても、ミーアトリアは今でもやせっぽちだが。


 それから半年経つ頃にはミーアトリアは立派な戦士になっていた。その成長の過程には期間の割に濃密すぎる出来事もあったのだが、今は関係ないな。


 そしてそれから一年近くが経った頃。俺が追放されるきっかけを作った直後のことだ。

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