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大掃除

「では、これよりこの古小屋の大掃除を始める」


 朝食後、俺は集まった三人に向けてそう告げた。


「めんどくせぇでございます」

「マシロ、綺麗なのは好きですけど自分が汚れるのは、ちょっと……」

「別にいいけどお昼ご飯頂戴ヨ?」

「よし、やる気の無さは存分に伝わった」

「あれ、私は最低限のやる気だしてたよネ?」


 小首を傾げるハトリールはこの際放っておくとして、他の二人をどう説得したものか。


「じゃあミーアトリア、終わったら手斧用の砥ぎ石買ってやる」

「喜んで手伝わせていただきます、主様」


 ミーアトリアは怠そうだった態度を一変させ、ワンピースの前で両手を重ねて礼儀正しくお辞儀した。

 あまりに扱いが楽過ぎる。


「うわぁ、先輩最低です。こんな幼気な少女を物で釣って働かせるとか。ミーアトリアちゃんもミーアトリアちゃんですよ、そんな手のひらクルクルドリルなんてしてたら足元見られますよ?」

「ここ、綺麗になって物が減ったら宿代わりに出来るかもな」

「先輩! マシロ死ぬ気で頑張ります! おやつ抜いてでもここを最高の空間にして見せます! だからお願いですしばらく泊めてください!」

「ましろんチョッッッロ。そしてめいめい大人げないナ……」


 ハトリールがジト目を向けて来るが気にしない気にしない。


「じゃ、始めるか」

「はい!」


 俺の言葉にマシロが元気よく返事した。


「おお、結構綺麗になったな。修復不可能な場所以外は」

「はい、綺麗になりました。修復不可能な場所以外は」


 家の中は本当にあのボロ小屋だったのかと目を疑うような輝きを放っていた。修復不可能な場所以外は。


「では主様、リビングと寝室を跨ぐ壁の修復をさっさとやってしまってくださいね」

「……なあ、マシロ。マシロは建築に携わったことはないか?」

「精々が鳥小屋造りを手伝ったくらいですね。それも荷物運びです」

「……」

「……」

「あ、私の魔法でやっておこうカ? 材料さえあれば出来るケド」

「おお! 本当かハトリール! 材料ってなんだ? そこら辺の木でも切ってくればいいか?」

「いやいや、錬金術だかラ。錬金術で壁直すから金買ってきてヨ、五グラムでいいカラ」

「ねえハトちゃん、錬金術ってなんか違くないですか?」


 そう、今現在この家、もとい古小屋の壁には人ひとりが容易にくぐれるほどの穴が開いている。どうしてかと言われれば、掃除中にふざけた俺とマシロが勢いよくぶつかった結果だったりするのだがそれはまた別の話だ。


「まあ、しょうがないな。本当に必要なら買って来るけど、嘘じゃないんだろうな?」

「別に嘘じゃないヨ。実際、金が五グラムもあればこれくらいの壁は簡単に直せ――」


 やる気のなさそうな声で説明してたハトの声を遮るように、小屋の入り口の方から突然轟音が響いた。


「ここね! 幽霊騒ぎが起こっているって言う小屋は! ん? あなたたちは?」


 朝の鋭い光を背中に受けながらそこに佇んでいたのは修道服を身にまとった青髪のシスターだった。黒を基調に、白のラインが入ったその修道服は街中で見かけたことがある。この街に所属するシスターだろうか。

 突如として現れたその訪問者、もとい強襲者は、扉の周りの壁ごとぶち破って入ってきやがった。

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