猫の世話
どら猫、俺がそう呼ぶのは人猫族の娘である。
ふんわりと柔らかい猫耳が特徴。耳は白色、髪もそれに準じていて肩の上あたりで整えられている。瞳は夜更けのような紺。普通の人間に猫の耳と尻尾を付けたような、そんな外観をしている。ちなみにかなりの美少女だ。
しかしまあ、大きくなった分厄介さは猫の数倍以上だ。
「おいイゼ、いつの間に入ってきやがった。戸締りはしてあるはずなんだが……」
「にゃ? 二階の窓が開いてたにゃ」
「誰だ締め忘れた奴」
マシロが勢いよく目を逸らした。
「ちょ、ちょっとあんまり詰め寄って来ないでください近いですキモいです! だってここにまで来るとは思わなかったですし、そもそもマシロはイゼちゃんを締め出す意思なんてありませんよ!?」
「違うわ! イゼに限った話じゃなくて泥棒が入って来るだろうが! こいつが入れるってことは、他の奴も入れるってことなんだよ!」
「はい全面的にマシロが悪いですすいませんでした!」
勢いよく、かつ素直に謝ったマシロに溜息を吐きながら、改めてイゼを見る。
口元をカレーで汚してお皿を持ち上げ、お代わりを待つ構えだった。
「ミーアトリア、よそってやってくれ。あと、お皿を一つ追加だ」
「いえ、これは元々イゼ様の分ですので」
「流石の適応力だなおい」
つまり、俺よりも先にイゼに気付いていたということか。
「ああ後イゼ、口元にカレー付いてるから。ほら、顔寄せろ」
「にゃ」
小さく頷いたイゼは、ミーアトリアにお皿を渡してからずいっ、と顔を寄せて来た。俺はイゼの頬に手を添え、ナプキンを手に取って口元を拭いてやる。
「ほい、とれたぞ。次からは綺麗に食べろよ」
「ん、分かったにゃ」
「ほら、皆も食べようぜ」
「「「……」」」
「ん?」
皆何突っ立ってるんだ?
「先輩、今さりげなくほっぺ触ってましたよ」
「てか距離感近すぎだよナ」
「こ、恋人同士なんですか? メイゲルさんに、恋人……」
「違うからな? イゼとはそんな関係じゃないからな?」
「ん、めいにゃんはにゃーの彼氏にゃ」
「先輩見損ないました! イゼちゃんを食べ物で釣りましたね!?」
「めいめい、幾ら女に飢えてると言っても寝ているイゼにゃんを襲うなんテ……」
「み、未成年への強制わいせつですか!? メイゲルさんがわいせつ行為を……!? これは連帯責任で担当の私にも被害が!?」
「お前ら覚えてろよ」
俺への信頼はどうなっているんだ。あとマシロ、それで釣られるのはお前だけだ。
「ていうか、いいから飯にしようぜ。早く食わないとイゼに全部食われる」
「誤魔化そうとしても無駄ですよ!? ここではっきりさせてくださいイゼちゃんにどんな要求と報酬をってなんですか怖いです近寄らないで冗談ですから本気じゃないですからお願い止めて……っ!」
マシロの頭に出来たたんこぶは三日で治った。流石はタンク、回復力が違う。
「で、イゼ、どうしてここが分かったんだ?」
「ん、カレーの匂いに釣られてきたにゃ。そしたらおみゃあがいたにゃ」
「よし、次腹が減ったらここに来い他の所には行くなどれだけいい匂いがしてもだ」
すまんマシロ、たぶんイゼもご飯で釣られるわ。
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